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政治資金規正法違反の疑いも――関電労組政治団体に使途不明金

 大企業の代弁者として原発推進を掲げ、民主党政権を支えている「連合」―「電力総連」傘下にある関西電力労組。二万人近い組合員を持つこの巨大労組と表裏一体の政治団体「関電労組政治活動委員会」(岸本薫代表・総務大臣届)が、「地区本部」などと称する正体不明の二一団体に対して繰り返し支出を行ない、過去三年間で四〇〇〇万円以上の使途不明金を発生させていることがわかった。

 無届け団体の政治活動は政治資金規正法で禁止。またかりにこれらの支出先団体に実体がなければ、収支報告書虚偽記載の恐れがある。いずれにしても違法性は濃厚だ。

 関電労組政治活動委の政治資金収支報告書によれば、「政策研修会費用」「職場後援会活動費」「友好議員懇談会費」などの名目で一回数万円~一五〇万円、年間三〇~四〇回にわたって過去三年で計四一六三万円を支出。支出先は「関電労組政治活動委員会大阪北地区本部」「関電労組政治活動委員会兵庫地区推進委員会」といった名前の、近畿・北陸・東海九府県に所在する二一団体だった。

 これら二一団体のうち、ひとつとして政治団体の届出をしたものはなかった。当然ながら収支報告書の提出もなく、関電労組政治活動委から支払われた四一六三万円の最終的な使途がわからない事態を招いている。さらに関電労組政治活動委が提出した領収書を点検したところ、すべて欄外に同政治活動委の名前が印刷された「内部伝票」のような書式であることが発覚。組織内部でのカネの動きを対外的な支出に見せかけた「資金洗浄」の疑いも拭いきれない。

 関電労組政治活動委の会計責任者・的井弘氏に聞くと「収支報告書を見ていただければわかる。それ以上は説明する必要がない」とけんもほろろに述べた。各団体の「会長」にも電話取材したが「こちらからは答えられない。的井氏が対応している」などと口は重かった。

 関電労組が地方議会に送り込んだ「関電社員議員」は確認できただけで二五人(うち五人は現在関電OB)。ほぼ例外なく関電労組政治活動委の献金を受け、原発推進の立場で活動をしている。

 なお関西電力には、大阪市歴代幹部と並んで元検事総長の土肥孝治氏が社外監査役として「天下り」している。

(三宅勝久・ジャーナリスト、6月1日号)

信州大学を勝訴させた裁判官は大学講師だった――裁判官派遣めぐり国賠訴訟

原告の小山氏(中央)と代理人の山根二郎(右)、山内道生両弁護士。(撮影/片岡伸行)

 信州大学の医学部教授解雇事件(本誌二月一七日号既報)をめぐり、前代未聞の国賠訴訟が提起された。関連三つの訴訟を担当し、すべて被告(信州大学側)に勝利判決を出した長野地裁松本支部の田代雅彦裁判官(四七歳)が信州大学の非常勤講師を務めていることが判明したため「憲法で保障された公正な裁判を受ける権利を侵害された」として、原告の小山省三・元医学部教授(六五歳)が国を相手取り損害賠償を求めた。裁判官の派遣をめぐる最高裁人事のあり方を問う異例の裁判となる。

 原告らは提訴した五月二五日に東京地裁内の司法記者クラブで会見。「裁判官の派遣については派遣に伴う支障や事情を考慮しなければならず、最高裁の行為は裁判官派遣法四条に違反している」と指摘した。訴状などによると、炭素素材カーボンナノチューブの安全性研究を担当していた小山氏は二〇一〇年七月に懲戒解雇されたが、その解雇無効を求める地位保全仮処分申請など三件の訴訟を途中から担当したのが一一年四月一日付で長野地裁松本支部長に着任した田代裁判官。同裁判官は赴任から約三カ月後の六月二九日に仮処分を却下、今年一月一一日には他二件の請求も棄却し、いずれも信州大学側勝訴の判決を出した。

 ところがその後、田代裁判官が松本支部に赴任した当日から信州大学法科大学院の非常勤講師となり、仮処分を却下した六月には大学との間で「教授等の業務を行なう」正式な契約書を締結していたことが、原告側の調査でわかった。

 原告代理人の山根二郎弁護士は「最高裁は信州大学の裁判の担当になることを知って田代裁判官を大学に派遣したはず。知らなかったでは通らない。しかも大学での裁判官の上司が、小山氏を解雇処分にした当事者だ。田代裁判官は裁判を降りるか、講師を降りるかを選択すべきだった。徹底的に闘う」と述べた。

(片岡伸行・編集部、6月1日号)