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米国は「戦闘準備はできている」と大使――対イラン攻撃を求める決議が可決

 米国の対イラン政策が、キナ臭さを増している。下院本会議は五月一八日、四〇一対一一の大差で、「イランが核兵器能力を獲得」した場合に事実上軍事攻撃を求める決議583を可決した。これに対して反対票を投じたクシニッチ議員(民主党)は、「核兵器能力」という曖昧な用語は民生用も含んで拡大解釈が可能だとして、「対イラン戦争へ一歩踏み出すものだ」と強く批判。また、パウエル元国務長官の補佐官を務めたウィルカーソン氏も「この決議はイラク戦争前の記憶を呼び覚まし、武力行使の先駆けとなる」と指摘している。

 一方、米国のシャピロ駐イスラエル大使も一七日、イスラエル法曹協会でのスピーチで「(イランに対しては)軍事攻撃より外交的手段が望ましい」と述べながらも、「軍事的選択が有効でないということではない。その準備はできている」と断言。暗に戦争態勢が完了していることを示唆した。

 事実、ペルシャ湾の対岸にあるバーレーンを拠点とした米第五艦隊のフォックス司令官は二月の段階で「いかなる不測の事態にも対応できる準備を完了した」と言明。第五艦隊は現在、イランとの開戦を想定して二つの空母機動部隊を展開しているほか、イランが警告しているホルムズ海峡の機雷封鎖に備え、すでに掃海艇も現地に派遣されている。

 中東と中央アジアを担当する米軍の統合部隊・中央軍も五月一日付の米『ワシントン・ポスト』紙(電子版)によれば、「開戦から約三週間でイラン全軍を空・海からの攻撃で壊滅できる」と表明している。中央軍の発表によれば、イラン周辺に一二万五〇〇〇人の部隊をすでに配置。うちアラブ首長国連邦には、米空軍の最新鋭ステレス戦闘機F22も先月末から配備されている。

 オバマ大統領はこれまでのところ、「軍事攻撃の選択は排除しない」としながら、イラン石油の禁輸措置など国際的な経済制裁を中心にイラン側に圧力を加えて「核武装の放棄」を迫る方針。だが米国のシンクタンクが一八日に発表した世論調査では、米国民の実に六三%が「イランの核兵器入手を阻止する」ためなら軍事行動に賛成すると表明しており、再選を目指す大統領に戦争を回避させる国民的圧力はきわめて弱い。

(成澤宗男・編集部、5月25日号)

EUでは2009年に禁止ずみ――化粧品の動物実験に法的規制を

関係官庁の担当官僚を集めた集会で話す福田衣里子議員。5月15日、永田町にて。(撮影/平井康嗣)

 化粧品業界では、うさぎを保定器にはめて眼に化粧品を点眼するなどの動物実験を続けてきた。しかし代替法の開発も進み、「動物の福祉」の思想も強いEU(欧州連合)では、化粧品指令により二〇〇九年には動物実験は禁止になっている。一方の日本はといえば法的規制はなく自主規制任せ。最大手の資生堂が二〇一三年までの全廃を目指すという状況である。

 そこで本年に改正される動物愛護法と薬事法で動物実験廃止を実現しようと、JAVA(動物実験の廃止を求める会)やARC(アニマルライツセンター)など六つの動物保護団体が五月一五日、初めてといえる大規模な集会を開いた。関係官庁である厚生労働省、経済産業省、環境省や代替法の検証・評価をする日本動物実験代替法評価センターの職員らが出席し、国会議員や市民団体の質疑に応じた。

 動物実験に一円も使わないという化粧品会社のラッシュジャパンもキャンペーンを展開し、今年だけで約一万七〇〇〇の反対署名を集めた。薬害肝炎の被害者だった福田衣里子衆議院議員と市民団体が協力し、同社は四月に環境省や厚労省に署名を提出した。

「厚労省では藤田一枝政務官が署名の対応をしてくれた。すると翌日に、厚労省が『皮膚感作性試験代替法及び光毒性試験代替法を化粧品・医薬部外品の安全性評価に活用するためのガイダンスについて』を発出しました。省として動物実験での代替法利用の促進を図っていく方向になったわけです」(ラッシュジャパンの秋山映美氏)

 この動きに市民団体は喜んだが、たった一日でこのような文書を作成できるはずもない。厚労省は以前から「医薬部外品のガイダンス」を棚ざらしにしていた疑念も湧く。代替法に早く取り組むことは企業にとってマイナスではないはずだ。もちろん実験動物(実験を目的に生産される動物)の命を無用に犠牲にすることもないのである。

(平井康嗣・編集部、5月25日号)