考えるタネがここにある

週刊金曜日オンライン

  • YouTube
  • Twitter
  • Facebook

,

【タグ】

自由な風刺で権力者の嘘を撃つ――日比谷でダジャンの集い

2012年5月11日6:33PM

軽快なリズムにのったリーダーの一声に、すかさず十数人の男女が応える。伝統的な掛け合い芸能。(撮影/松村洋)

 東京・日比谷公園で四月一五日、ビルマ(ミャンマー)の伝統芸能タンジャが行なわれた。

 ビルマの四月はティンジャン(ダジャン)の季節。伝統暦の新年を迎えるにあたって、水をかけ合う陽気なお祭りだ。東京では水は飛び交わないが、ビルマ料理の屋台が並び、大勢のビルマ人でにぎわった。バンド演奏や伝統舞踊が続き、最後を飾ったのが、在日ビルマ人のミンガラードウ舞踊団による恒例のタンジャだ。

 タンジャの真髄は自由な風刺にある。本国では軍事政権が上演を禁じてきたが、国会補欠選挙で国民民主連盟(NLD)が圧勝した直後の今年は、その禁が解けた。民主化は少し前進したかに見えるが、舞踊団のウ・ウィンシュエ団長は「日本で難民申請した人の多くはまだ安心していません。タンジャで毎年、軍を批判してきたけれど、今年も今の“民主化”を信用しないで、というのがぼくらのメッセージでした」と言う。

 切れ味の良い掛け合いや替え歌で権力者の嘘を楽しく撃つ。タンジャのような知恵と技が、じつは日本にも今必要なのではないか。

(松村洋・音楽評論家、4月20日号)

【タグ】

●この記事をシェアする

  • facebook
  • twitter
  • Hatena
  • google+
  • Line

電子版をアプリで読む

  • Download on the App Store
  • Google Playで手に入れよう

金曜日ちゃんねる

おすすめ書籍

書影

黒沼ユリ子の「おんじゅく日記」

ヴァイオリンの家から

黒沼ユリ子

発売日:2022/12/06

定価:1000円+税

書影

エシカルに暮らすための12条 地球市民として生きる知恵

古沢広祐(ふるさわ・こうゆう)

発売日:2019/07/29

上へ