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集会の中止命令など私権制限が主軸か――新型インフル対策法案が国会へ

2012年4月17日2:56PM

 新型インフルエンザの発生時に集会中止などの私権制限を可能にする法案が、今国会に提出された。政府は四月中の成立を目指しているが、医師や法律家から「国民的議論が足りない」「科学的根拠が乏しい」との批判が噴出している。

 法案によると、「国民の健康と生活に著しく重大な被害を与える恐れ」があるインフルエンザなどの新感染症が国内で発生した場合、首相が「緊急事態」を宣言する。宣言が継続する期間は最長三年で、知事が施設管理者や催しの主催者に対し、集会中止を命じることができるようになる。土地の使用、薬や食品の買い上げを強制的に行なうことや、医師に患者の診察を指示することも可能に。物資の保管命令に違反すれば、罰則が科される。管理の対象はメディアにも及び、NHKが指定公共機関として明記され、首相の指示を受けることがあると規定されている。

 一部報道では、法律の適用対象は「H5N1型鳥インフルエンザ」など致死率が高いウイルスに限られるとされているが、日弁連は、二〇〇九年に大流行した新型インフルエンザのような季節性インフルエンザ並みのウイルスにも適用される恐れが大きいと指摘する。法律の規定があいまいな上、ウイルスの性質を短期間で把握する能力が日本政府には不足していることが、〇九年の騒動で浮き彫りになったためだ。

 政府は昨年一一月以降、関係省庁対策会議で法制化の議論を進めてきたが、会議は非公開。法案の全体像が示されたのは、国会に提出された三月九日のわずか三日前だった。集会の中止が感染拡大をどの程度防ぐことができるのか、使用中止を命じられる施設が集会所や公園、駅、店舗、事業所のどこまで及ぶのかも明らかにされていない。

 法案作成に当たった事務方トップの米村敏朗内閣危機管理監、実務を担った杉本孝内閣参事官はともに警察庁出身。医療対策より私権制限が目立つ内容で、厚生労働省の職員からも「治安維持的な法律」と不満が漏れる。

 法案は共産党と社民党を除く賛成多数で三月末、衆院を通過した。新聞労連のほか、日弁連、薬害オンブズパースン会議、日本ペンクラブや医療関係者が相次いで反対を表明している。

(日置陽子・ジャーナリスト、4月6日号)

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