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地元財界も廃炉要求の伊方原発――再稼働へ強まる策動

 原子力安全・保安院は三月九日、四国電力が提出した伊方原発3号炉(愛媛県伊方町)の再稼働の前提条件となる安全評価(ストレステスト)の結果について「妥当」とする審査書の素案をまとめ、専門家による保安院の意見聴取会に提示した。この原発の前面海域断層による地震について国の地震調査研究推進本部は、「M八・〇程度もしくはそれ以上」と推定している危険地域(本誌三月九日号参照)。再稼働手続きを進める政府に対して反発が起こっている。

 愛媛県の財界を代表する県商工会議所連合会(会頭、白石省三・三浦工業会長)は一二日、再稼働に反対する見解を発表。運転開始から約三〇年を経た1号、2号は廃炉とし、3号は電力の安定供給のために一〇年程度稼働した後の廃炉を要求した。日本商工会議所は再稼働を求めており、地方組織の廃炉要求は異例だ。

 カギとなる地元合意について中村時広県知事のハードルは低いとみられているが、県議会合意について阿部悦子県議(環境市民)は「最大会派の自民党県議は福島を数多く訪れ、原子力安全委員会の班目春樹委員長の発言が二転三転したことへの不信感もある。再稼働一枚岩ではない」と分析する。

 一方、経済産業省前には九日夜、雨にもかかわらず七〇人以上の市民が集まり、「ストレステスト妥当」判断に抗議の声を上げた。東京都品川区から駆けつけたという二九歳の女性は「東電福島第一原発のような事故が起きない対策が取られているなんて信じられない。ご都合主義だ」と話している。

 再稼働強行を企む政府は、この国を滅ぼしたいのだろうか。

(伊田浩之・編集部、3月16日号)

福島との連帯呼びかけ――山田医師が柏市で講演

 首都圏に近いホットスポット(高濃度放射能汚染地域)の一つ、千葉県柏市の中央公民館で三月一一日、小児科医の山田真さん(東京・八王子中央診療所理事長)を講師に「子どもたちを放射能から守る! 小児科医が見た福島」と題する講演会が開かれた。主催は、二〇〇四年に結成された「食の安全と環境を考える会」(柳沢典子代表、会員約五〇人)。

 冒頭、山田さんが同日に柏市役所の生け垣で測定した放射線量を紹介。「〇・三五マイクロシーベルトあり、これは僕が福島以外では見たことのない高い数値」と述べると、約八〇人で埋まった会場からは驚きと不安の声が漏れた。

 講演の中で山田さんは、福島市内で健康相談会を重ねてきた経験から、「今や福島はあきらめの現状に見える」とし、「昨年秋以降、引っ越したくても引っ越せないという人の相談が増え、年明けからは『避難』という言葉も出なくなってきた。行政に要求してもダメなので要求しない。健康調査も住民に情報が開示されず、福島の中で封じ込められている」と指摘。一方で、福島県出身者への差別が広がっている事例を紹介しながら、「福島が助からないことには他の土地も助からない。“放射能は安全”などと福島で押さえ込まれている限りは、柏市など線量の高い場所のある地域も放置される」と話し、福島との連帯を呼びかけた。

(片岡伸行・編集部、3月16日号)

「勤務時間の把握は可能」と高裁――「みなし」認めずHTS敗訴

 派遣旅行添乗員で組織する全国一般東京東部労組HTS(阪急トラベルサポート)支部組合員六人が、添乗員に対する「事業場外みなし労働」適用の是非をめぐって提訴していた不払い残業代請求訴訟控訴審の判決が三月七日、東京高裁で言い渡された。大竹たかし裁判長は、「事業場外みなし労働の適用あり」と判断した一審判決を取り消し、付加金を含め、総額約二七〇〇万円の支払いを阪急トラベルサポートに命じた。

 判決では、「正確な添乗日報」等から、添乗員の労働時間の把握が可能であるとし、「事業場外みなし労働」の適用を否定。組合側の逆転勝利となった。

 判決後の会見で、原告の一人である大島由紀さんは「四年近く闘ってきた。会社は添乗員の処遇を改善するべき。この判決が自分たちだけではなく、すべての会社に波及することを望む」と訴えた。

 国内ツアーにおける「事業場外みなし労働」の適用はないとした昨年九月の高裁判決に続き、今回は海外ツアーについても司法は「時間把握は可能」と判断。この判決で、国内・海外ツアーにおける高裁レベルの判断が出そろったことになる。

(菅野存・全国一般東京東部労働組合執行委員長、3月16日号)