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自然保護より雇用確保の愛知県――トヨタ、施設用地買収で提訴される

トヨタ自動車が計画するテストコースの予定地周辺。(撮影/澤村慎太郎)

「全体の奉仕者であるべき公務員が一私企業のために仕事を長らく行なってきたことは悪質である」

 トヨタ自動車が愛知県豊田市と岡崎市に広がる里山に建設するテストコース計画をめぐり、名古屋地裁に三月七日、こんな訴えが起こされた。愛知県企業庁がトヨタから約三〇〇億円の資金を提供され、建設用地の買収を請け負ったことを地方自治法などに違反するとし、無効の確認を求めるものだ。

 原告の一人である「全国環境保護連盟」(神奈川県鎌倉市)の岩田薫代表は「一私企業のために県の職員が土地の買収もアセスメント(環境影響評価)もやり、造成が終わったら引き渡すという。工業団地とはまったく違う。(県の事業として)公益性があるのか、裁判所に判断してもらいたい」と説明する。

 トヨタなどの計画によると、豊田市にある本社周辺での研究開発機能を強化するため、約六五〇ヘクタールの敷地にテストコースや研究開発施設などを建設。トヨタや地元から要請を受けた県が、企業庁内に専門部署「研究施設用地開発課」を設置し、二〇〇七年以降、調査や用地買収を進めてきた。岩田代表は「(地権者が)県の公共事業のためと勘違いした事例が多数存在する」とも指摘する。

 一方、県企業庁は「産業振興に加え、四〇〇〇人弱が働き、インフラ整備や雇用確保など地域振興も図ることができる。一社だけのためではなく、県全体の利益につながる」と主張。環境影響評価書の縦覧が二月末で終了し、今夏にも造成工事に入る意向を示している(用地買収費を含めた事業費約一一〇〇億円はトヨタが負担)。

 予定地内では絶滅危惧種「ミゾゴイ」(サギの一種)の繁殖が確認されるなど、環境破壊への懸念もある。岩田代表らは同時に、大村秀章知事らが公務員職権濫用罪に当たるとして名古屋地検に告発。少しでも着工を遅らせたい考えだ。

(澤村慎太郎・記者ネット名古屋、3月16日号)