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利益至上主義で「もの言えぬ空気」か――JAL機長、肋骨骨折で操縦

 日本航空(JAL、植木義晴社長)で、肋骨が折れた機長が、診断も受けないまま航空機を操縦していたことが、このほどわかった。

 問題の舞台は一月二日、旭川空港を午後八時二五分に飛び立ち、一〇時すぎに羽田に着いた1116便(羽田行最終便)だ。

 同便の機長は乗務前、航空機の周りを歩いて機体の状態を目で確認する「出発前点検」を行なった。その際、凍りついたエプロン(駐機場所)で転倒し、顔面をすりむき右脇腹を強く打ってしまう。

「機長は顔からは血を出し、痛みをこらえるような様子で『大丈夫だから』と言いコックピットに乗り込んだそうです」(JAL社員)

 機長は、離陸こそ自ら行なったものの、その後の操縦と着陸は副操縦士に委ねた。

「羽田まで無事着けたのは、本当によかった。機長は着陸直後、激しい痛みを覚えて自ら歩くこともできず、担ぎ込まれた千葉県内の病院で『肋骨骨折』と診断された、と聞いています」(別の機長)

 肋骨が折れた機長が、医師の診断も受けぬまま、乗客を乗せた航空機を操縦するなどということがあっていいのか。

 驚くべきことにJALは、「問題はなかった」と考えている。国土交通省航空局の担当者が明かす。

「1116便の件は、『脇腹を打ったが痛みが引いたので、副操縦士と相互に健康を確認して飛んだ。操縦には支障がなかった』と、一月半ばに報告を受けました」

 JALは二〇一〇年年末、直近の病欠を基準の一つに整理解雇を強行した。そのため運航現場では、健康状態を正直に申告しにくい空気が生まれた。「禍根を残した」と悔やむ幹部もいる。

「その上、稲盛和夫名誉会長ら経営陣は、一便一便の収支を社内に掲示し、コスト削減競争を煽っています。1116便の機長は管理職でしたから、売上を減らす欠航につながる申告がしにくかったのでしょう。『もの言えぬ空気』が職場を覆っています」(中堅社員)

 会社更生手続き中の整理解雇を不当として、乗務員らが撤回を求める裁判は、三月二九日(パイロット)と三〇日(客室乗務員)に判決を迎える。風通しのいい職場を取り戻し「空の安全」を守るためにも、原告らを職場に戻す司法判断が切望される。

(北健一・ジャーナリスト、3月9日号)