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海側にのみ放射能汚染水遮水壁を建設――馬淵氏は「四方を囲め」

 福島第一原発に溜まっている放射能汚染水問題で、地下水を通じた海への流出を防ぐため、東京電力は昨年一〇月二八日から海側にのみ遮水壁(地下ダム)を造っている。これに対し、昨年六月二七日まで放射性物質の流出を止める遮蔽プロジェクト(後に中長期対策プロジェクト)の責任者だった馬淵澄夫・衆議院議員(当時、首相補佐官)は二月二一日の記者会見(自由報道協会主催)で、原発の四方を囲む必要性を指摘。「うるさく言う人がいなくなったので変わったのでしょう」と話した。

 馬淵氏によると、東京電力や原子力安全・保安院は当初、地下水を通じた流出の可能性はわからないと主張。馬淵氏の指示で「浸透流解析」を実施し、阿武隈山系から原発を洗い流すような地下水流が明確になった。それでも東京電力などは、海側だけの敷設で地下水との水位がなくなれば漏れないと主張したという。馬淵氏は「このときはさすがに声を荒げた。水の動的な流れがなくても、放射性物質が拡散していくことは誰でもわかる。四方を囲んでから地下水を吸い上げて乾燥させ、土地の表面を固めれば海に漏れることはない。補佐官を辞める直前まではそれで進んでいた」「(当時、建設をしぶった)最大の理由は工費だった」などと話している。

 一方、東京電力は昨年一〇月二六日、遮水壁の陸側への設置は「効果がない」として見送るとした。もしカネのために放射性物質の拡散防止に手を抜いているのであれば「体質」はまったく変わっていないと言わざるをえない。

 また会見で馬淵氏は「(五月一二日に)東京電力が発表するまでメルトダウンは知らなかった。このときは辞表を叩きつけようと思った」とも話しており、東京電力の隠蔽体質を具体的に批判した。

(伊田浩之・編集部、3月2日号)