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瓦礫処理事業を受注する鹿島建設――役員に石原知事元秘書

2012年3月9日6:15PM

 被災地の災害廃棄物処理をめぐって、東京都の石原慎太郎都知事と鹿島建設との不透明な関係が明らかになりつつある。

 瓦礫処理は、鹿島建設を中心とした大手ゼネコン九社が約二〇〇〇億円で受注しているが、その鹿島の常務執行役員に石原都知事の元公設第一秘書である栗原俊記氏がいることがこのほど分かった。

 瓦礫処理について、石原氏は会見で「反対する人には黙れ、と言えばいい」と豪語し、不思議なほど積極姿勢を示している。

 栗原氏は鹿島に入社後、まもなく石原氏の公設第一秘書に。その後、一五年にわたって石原氏に仕えることになるが、その間「黒シール事件」を起こしている。これは一九八三年、第三七回衆議院総選挙で、石原氏の対抗候補である故新井将敬氏の選挙ポスターに「元北朝鮮人」などと書いたシールが貼られた事件。シール貼りを主導した栗原氏は公職選挙法違反の容疑で書類送検された。石原氏はこの時「秘書が勝手にやった」と弁解していたが、栗原氏が石原氏の身がわりになった形だ。

 栗原氏は、一五年という空白期間があったにもかかわらず、復職後は営業本部副本部長を務め、現在は同社の常務執行役員にまで上りつめている。

 鹿島は、瓦礫受け入れを発注している宮城県女川町との関係が深い。東北電力女川原発の建設は一号機から三号機まで、いずれも鹿島が請け負っている。女川町は東北電力による電源交付金や固定資産税で豊かな税収が確保できており、総合運動場や野球場、庭球場、陸上競技場など市民向け施設が驚くほど充実している。そしてこれらハコモノ建築物を受注しているのが、いずれも鹿島なのだ。

 町長である須田善明氏は、昨年一一月に行なわれた町長選で無投票当選。原発の是非は争点にすらならず、須田氏は「全国一早いといわれる復興を成し遂げたい」(『朝日新聞』二〇一一年一一月四日付)と語った。須田氏の言う「全国一早い復興」とは、一体誰のためのものなのか。

(野中大樹・編集部、2月24日号)

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