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年賀状の配達に混乱の恐れ――郵便事業会社が4万人を雇止め

2011年11月30日6:54PM

 四万人を超える非正規労働者(ゆうメイト)を雇止めした郵便事業会社(鍋倉眞一社長)の支店や集配センターで、人手不足による業務の混乱が起きていることがわかった。このままでは年賀状の配達に影響が出る恐れもある。

 郵便事業会社は、国が一〇〇%株式保有する日本郵政(齋藤次郎社長)のグループ会社で、郵便や小包の配達などを行なっている。

 同社は昨年七月、日本通運と共同で設立したJPエクスプレス社(JPEX)を統合し、ペリカン便を承継した。だが、区分機の不具合や要員配置の甘さなどから、夏のお中元配達が大混乱。顧客離れを招き、営業赤字が膨らんだ。

 郵政労働者ユニオンの役員は、「会社はJPEX統合失敗のツケを非正規に転嫁した」と指摘する。

 郵便事業会社人事部の内部資料によれば、同社は六五歳以上の一万四一一〇人をはじめ、合計約四万六〇〇〇人の非正規労働者を雇止めすることで「三二〇億円の人件費削減」を計画。九月末から、“空前のクビ切り”が始まった。

 民営化前から働いてきた佐野支店(栃木県)の丹羽良子さん(六六歳)も九月末、雇止めにされた。唯一の理由が年齢だ。「いきなり仕事を奪われ、どう生きていけというのでしょう。それに、スキルのある人が減って速達が『遅達』になり、上司も『これで(業務が)回るのか』と不安そうでした」と話す。組合が行なったアンケート調査では、雇止め対象者の四割以上が「生活できない」と訴えた。

 船橋支店(千葉県)では、ゆうメイト八〇人が雇止めされた。支店のベテラン社員が明かす。

「辞めさせられたのは業務に熟達した人ばかり。今日配るべき郵便物を明日に回す『計画配送』や長時間残業で辛うじて何とかしていますが、今からこんな状態で、取扱量が急増する年末年始を乗り切れるとは、とても思えません」

 取材に対し郵便事業会社は「一方的な雇止めでなく、きちんと説明している。業務の混乱は承知していないが、問題があれば至急対応したい」(広報室)と回答した。

 おりしも国会では、「国が持つ日本郵政の株を売って復興財源に充てたい」との思惑も絡み、郵政改革法案の審議が動き出そうとしている。大規模な非正規切りの是正も、改革の重要な課題だ。

(北健一・ジャーナリスト、11月18日号)

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