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東京・墨田区、江東区、渋谷区で強制排除の動き活発化――路上越冬を強いられる野宿者増

2011年11月21日11:18AM

「地域住民の要望」という大義によってホームレス排除がなされている。(提供/山谷労働者福祉会館)

 都市再開発に伴い野宿者の居住地域や共同炊事の拠点が危機に晒されている。特に問題となっているのは、東京都墨田区の荒川河川敷堀切橋周辺、江東区の竪川河川敷公園、渋谷区の美竹公園である。この年末も多くの野宿者が路上での越冬を余儀なくされる可能性が高いが、行政は福祉対策よりも排除・追い出しに熱心なようである。

 荒川河川敷の堀切橋周辺は、一〇~二〇年という長期の野宿者も少なくない。ところがこの秋から、この生活空間を脅かす工事が始まった。担当の国土交通省荒川下流河川事務所および小名木川出張所によれば、「墨田自然再生工事」「小名木川管内除草及び維持工事」というもので、この八月、当該エリアの当事者に対して、「一〇月から工事」「九月末までに退去するように」と通告してきた。

 一〇月二四日には小名木川出張所で、二七日には河川敷で当事者を交えた話し合いが持たれたが、出張所長は「公有地である以上、勝手に家は建てられない。放置すれば河川敷中が家だらけになる」「自然再生工事は地域住民の長年の要望だ」と強弁した。この「地域住民の要望」というのは、「ホームレスが密集していて一般住民が河川敷に入りづらい」「安心して散歩ができるように環境を整えてほしい」といった差別と偏見に満ちたものだが、実は行政サイドでも、地域住民向けのアンケートに「ホームレスへの不安」の有無をあえて質問の選択肢に入れるなど、たくみに排除を正当化するための道筋をつくってきた。かつて隅田川沿いでも続発した少年たちによる野宿者襲撃も、こうした差別・偏見の土壌の上にあることは何度も指摘されていることだ。

 国交省側は話し合いが平行線のままにもかかわらず、工事予定地を囲うフェンスづくりに乗り出し、小屋のすぐ近くまで重機を入れ、作業を強行している。一一月四日には、支援者らが現場で出張所の職員を問い質すやいなや警察に通報。三〇人の制・私服警察官が職員を引き離し、話し合いを妨害した上、弾圧の構えで恫喝してきた。〈お互いに支え合う「人にやさしいまち」の実現〉という同区の理念はどこへいったのか。

 七月二二日号本欄で報告した江東区・竪川(一部有料のスポーツ公園としてリニューアル)も状況は緊迫している。一〇月七日には、江東区水辺と緑の課長が区職員や私服警察官とともに、警告書をもって強圧的に通告を行ない、翌日、区役所に抗議に訪れたメンバーに対して、「行為は適切だった」「言いがかりだ」「誰がそういうことを言っているのか教えろ」と、それまでの話し合いの姿勢が豹変した。

 東京スカイツリーのオープンが来春に迫り、山谷をはじめ野宿者の比率が高い東部圏では野宿者への排除・排斥の動きがさまざまな所で起きている。共通するのは、行政の姿勢が高飛車になり、警察の監視が強まっていることだ。

 一方スカイツリーとは関係ないと思われる渋谷では、宮下ナイキパークのオープンに加え、児童会館改修工事を名目とした野宿者の夜間のみの寝場所・毎週土曜の共同炊事の拠点つぶしが画策されている。

 都の施設である児童会館は九月二七日、「地震被害調査の結果、近々耐震工事を行う。そのために仮囲いを行う」と通告してきた。しかし、調査結果によれば、耐震工事が必要なのは会館の外壁とホールの天井のみで、工事終了後も仮囲いを撤去しないなど、一連の経緯は疑問だらけ。「のじれん」(渋谷・野宿者の生存と生活をかちとる自由連合)は、会館側や渋谷区福祉保健局とのやりとりで何度も疑問をぶつけたが、「専門家の判断だ」の一点張りであった。

 そして一一月一日朝、職員やガードマン、警察官も動員され児童会館玄関前が全面封鎖され、公園の一部にはバリケードも新設された。連日の監視・抗議行動を通じて、ここでも行政の聞く耳を持たない姿勢に憤激の声が高まっている。震災から八カ月、野宿を強いられる人々の居住・生存権をないがしろにして、なにが復興なのか。

(藤田五郎・山谷労働者福祉会館活動委員会、11月11日号)

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