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「慰安婦」問題解決求め院内集会――日韓政府の交渉に注目

2011年10月13日7:00PM

 日本軍「慰安婦」被害者が日本政府に対して持つ賠償請求権が日韓協定で消滅したか否かの解釈上の紛争について韓国政府が解決のための努力をしていない、つまり不作為が憲法違反であるという決定を韓国の憲法裁判所が八月三〇日に出した。この決定は「補償問題は日韓協定で解決済み」としてきた日韓両政府を驚かせたが、驚いたのは政府だけではない。

 九月二七日に衆議院第一議員会館で行なわれた「一日も早く『慰安婦』問題の解決をもとめる市民と議員の集い」に参加した尹美香・韓国挺身隊問題対策協議会常任代表は「私たちも非常に驚いた。提訴から五年も経っており世論が騒がないような時期を狙って却下すると思っていた」と述べ、「被害者の中には何も変わらない、と言う人もいたが、九月一五日に韓国政府は日本政府に対し二国間協議を提案し、二四日に日韓外相交渉するなど積極的な行動を見せている」と政府交渉を歓迎。一方で「高齢の被害者たちには時間がない。民主党が主張してきた解決策でこの問題が解決されるのが最も望ましい方法だ」と強調した。

 この解決策とは民主党が野党時代に共産党、社民党と共同提案していた「戦時性的強制被害者問題解決促進法案」成立による解決を指す。民主党の石毛えい子議員は院内集会で「日韓外相交渉で玄葉(光一郎)大臣は解決済みと言ったが、協議を拒否した回答ではない。残された時間はほとんどないので解決に向け動いていきたい」などと挨拶したが、山口壮外務副大臣は一五日の記者会見で「法的には最終的に解決済みというのをこれからも言っていく」と述べ、従来の政府解釈を崩していない。

 韓国側はこの発言を「これまでの立場を繰り返したものにすぎない。日本政府からの正式な回答はない」と見ているという。重い腰をあげた韓国政府に対し、民主党政権がどう応えるか。国際世論が注目している。

(宮本有紀・編集部、9月30日号)

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