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武器輸出三原則「見直す」前原氏、沖縄に“踏まれる”玄葉外相――いくつもの火種抱える野田政権

2011年9月27日7:10PM

「人っ子一人いない、まさに死の街」との発言で辞任に追い込まれた鉢呂吉雄前経産相。

 軽率との誹りは免れないとはいえ、辞任には「違和感が残る」(別の議員秘書)結果となった。後任には菅政権下で官房長官を務め、福島原発事故の対応に深く関与した枝野幸男氏が抜擢された。

 鉢呂氏は農協出身で、旧社会党にも所属。TPP(環太平洋戦略経済連携協定)の旗振り役である経産相の立場にありながら参加交渉に慎重な姿勢をとり続け、今後の原発行政についても野田佳彦首相の「新規建設は困難」との意を受け、「(将来的には)ゼロになる」と明言していた。経産官僚からすれば、まさに“目の敵”のような存在だったろう。

 ジャーナリストの小谷洋之氏は鉢呂氏の発言について、「配慮を欠いていたとはいえ、ゴーストタウン化していることは事実。弁明の必要はあっただろうが、果たして辞任するほどのことだったのか」と疑問を呈した上で、「民主党内においては、従来から原発政策を是とする『凌雲会』(仙谷由人・前原誠司グループ)に籍を置く枝野前官房長官が経産大臣に就任した。これにより、就任直後より脱原発発言を繰り返した鉢呂路線から一八〇度転換する可能性が出てきた」と指摘。「放射能つけちゃうぞ」といった、本来ならば表に出てくるはずのないオフレコぶら下がり取材での発言が、確たる根拠や証拠を示されることなく集中砲火のように取り上げられたことについては、「原発擁護派が本気になって巻き返しを図った可能性を否めない」(小谷氏)と分析する。

 沖縄人を「ゆすりの名人」などと発言したと報じられ更迭されたものの、最近『決断できない日本』(文春新書)を刊行し、オフレコでの発言を否定しているケヴィン・メア元米国務省日本部長よろしく、“巻き返し”は至るところで起こっている。

 枝野氏は経産相の就任会見で「稼働できる原発は再稼働する」との見解を示した。

 また、玄葉光一郎外相は五日の取材に普天間移設問題に関し「踏まれても蹴られても誠心誠意、沖縄の方々と向き合う」などとコメント。踏んだり蹴ったりする加害者は沖縄側だというのか。本誌記者は翌日の会見で同氏に真意を確かめてみた。

「決して加害者とか被害者とか、そういうことを意図して申し上げたとは、私はほとんどの方は解釈されないと思います。私自身がある意味、非常に厳しい立場に立ってもさまざまな不満を(中略)耐えなければいけないという意味で申し上げたわけでございます」

 日本と沖縄の差別構造は、大臣の言葉一つにも現れる。

 また、玄葉氏は六日の会見でも普天間問題について、私案として「(閣僚経験者らの)資産、蓄積を活用した方がいい。野党の資産だって活用すべき」などと述べた。この発言には伏線がある。

 今年七月、前原誠司氏や中谷元元防衛相ら、超党派の議員で構成する「新世紀の安全保障を確立する議員の会」メンバーは訪沖し、辺野古移設を容認する地元議員や経済関係者らと会談している。今回の玄葉外相の発言についても「七月の段階で、辺野古移設を超党派で進める、という方針を打ち立てていたのではないか」(地元記者)という見方がもっぱらだ。

 そして前原政調会長。九月八日にワシントンで行なった講演では、武器輸出三原則について「見直すべきだ。三原則により、日本の防衛産業界は民間レベルの先行的な共同技術開発などへの参画すらできない」(『朝日新聞』九月九日付)と、防衛相の頭越しに、自説を展開してみせた。この前原氏の“暴走”に対し「極めて正しい」と援護したのが自民党政調会長の石破茂氏だ。両氏はともに日米両国の防衛産業界に通じた仲であり、石破氏が「辺野古移設」でも援護に回る可能性は極めて高い。

 しかし、沖縄と真摯に向き合ってこなかった民主党に対する地元の不信感は根深く、民主党関係者は「超党派で臨んだところで、辺野古への移設は事実上不可能だ」と言い切る。

(本誌取材班、9月16日号)

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