考えるタネがここにある

週刊金曜日オンライン

  • YouTube
  • Twitter
  • Facebook

,

【タグ】

飯舘村の青年ら避難実現目指し結成――「負げねど!飯舘!」

2011年6月19日7:16PM

 福島県飯舘村の青年グループ「負げねど!飯舘!」の佐藤健太さん(二九歳)は憤っていた。

「原発爆発直後に、村で大学教授が『マスクがなくても、子どもを外で遊ばせても安全』と講演し、私たちは安心しました。だが四月一一日、いきなり計画的避難区域に指定され、被曝していたことに苛立ちました。なのにこの二カ月間、避難は一向に進んでいません」

 五月一九日、「原発依存社会からの脱却に向けて」と題したセミナーが衆議院第一議員会館で開催され、原発事故の関係者数人が講演した。佐藤さんもその一人。

 飯舘村は高い放射線値の検出から、今月末までに全村民の避難を目指す「計画的避難区域」に指定された。

 護岸ブロック製造業の佐藤さんの工場敷地でも毎時三〇マイクロシーベルトという通常の六〇〇倍もの放射線が検出されたのに、村が子どもや妊婦への避難を促さないことから、佐藤さんら青年たちは、避難を実現するために「負げねど!飯舘!」を立ち上げた。

 今、村では誰も今月末までの避難完了を信じない。村が確保した避難先は、人口の半分以下の二七〇〇人分しかないからだ。それも、車で四〇分の福島市周辺だけだ。

 なぜか? 佐藤さんは続ける。

「村は、村の基盤を維持するため大手事業所や老人ホームを残し、そこに通勤させるためです。これは国も認めた特例措置。被曝を怖れる職員は怒っていますよ」

 最も問題なのは「選択肢が与えられないこと」と佐藤さんは語る。
 
「福島市でも放射線値は高いから、僕は県外避難したい。でも、県外自治体からの『村民を受け入れる』との申し出を、通勤にこだわる村は蹴っています。すでに二カ月経ち、内部被曝した人もいるはず」

 最優先課題は子どもたちを守るための県外避難だ。

(樫田秀樹・ルポライター、5月27日号)

【タグ】

●この記事をシェアする

  • facebook
  • twitter
  • Hatena
  • google+
  • Line

電子版をアプリで読む

  • Download on the App Store
  • Google Playで手に入れよう

金曜日ちゃんねる

おすすめ書籍

書影

黒沼ユリ子の「おんじゅく日記」

ヴァイオリンの家から

黒沼ユリ子

発売日:2022/12/06

定価:1000円+税

書影

エシカルに暮らすための12条 地球市民として生きる知恵

古沢広祐(ふるさわ・こうゆう)

発売日:2019/07/29

上へ