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浜岡原発の運転停止を要求

2011年4月19日9:03PM

 大震災による福島第一原発の事故を受け、東海地震の想定震源域に立地する浜岡原発(静岡県御前崎市)の運転停止などを求める運動が愛知県名古屋市で活発になりつつある。

「東海大地震の前に一刻も早く、浜岡原子力発電所の停止を図ってください」とする要望書とともに署名簿を中部電力(中電)に提出したのは、名古屋の高校を卒業し、大学入学を控えた若者たちだ。

 代表の関口詩織さんが友人らに呼びかけ、七人ほどで三月一八日に立ち上げた。三月二〇日に名古屋・栄で署名集めを行なった後、三月二二日に中電を訪問した。「数を集めるより早くした方がいいと思った」と関口さん。高校の授業で原発について発表して以来、いろいろと調べてきた。「今の生活を維持するために、誰かを犠牲にするのは『犯罪』だと思う」とも指摘する。

 三月一九日には中電本店前で座り込みをするグループの姿があった。平和運動などにかかわってきた教員の墨総一郎さんは妻と息子の親子三人で駆け付けた。「今こそ原発をやめてください。中電・浜岡原発は防潮堤では守れない」とのメッセージを掲げ、「静かに意思表示をしたい」という。知人らと座り込みのリレーを続けていく考えだ。

 これらに先立ち、名古屋で反原発運動に長年取り組んできた中川徹さんら約二〇人が三月一四日、浜岡原発の運転即時停止を中電に申し入れた。「浜岡は福島以上の(事故になる)可能性がある」と停止を要求したものの、「わが社は別というような態度だった」という。

 
 環境問題に関する多数の著書を持つ田中優・未来バンク事業組合理事長の講演会が三月一九日、名古屋で開催された。田中理事長は「特に問題なのが浜岡原発。次の東海地震の起こる場所は浜岡原発の真下であると予測されている。だから、この原発は吹っ飛ぶ可能性が高い。しかし、中電は絶対に事故を起こさないと言って止めようとしない」と会場を埋めた満員の聴衆に語った。

 中電は震災発生後、浜岡原発を津波から守るため、高さ一二m以上の防波壁を二、三年以内に設置する方針を明らかにしたが、運転停止を求める市民らの声は収まりそうにない。

(澤村慎太郎・記者ネット名古屋、3月25日号)

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