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武富士が「過払い」債権を売り飛ばし――詐欺的な“錬金術”に疑問の声

2010年11月20日5:09PM

  会社更生法を申請して事実上破綻した消費者金融「武富士」が、今年五月から六月にかけて、返済が終わった上に利息を取りすぎている「過払い」状態の貸付債権を売却していたことが分かった。本来なら顧客に返金しなければならないにもかかわらず、これを売却して利益を得ていたわけで、「詐欺的ではないか」などと訝る声が出ている。

  法務局に届け出がされた債権譲渡登記によれば、武富士は今年五月二五日と六月一四日付で、大阪市の消費者金融「富士クレジット(株)」(大岩秀幸社長)に対して債権を売却している。売却された債権の件数や金額は不明だが、このうち少なくとも二件が一〇万円以上の過払いだったことが筆者の取材で確認できた。

  確認できた過払い債権の一つは関東地方在住の顧客に関するものだ。七月下旬に武富士から届いた「譲渡通知」には、九〇万円以上の債務が残って弁済は「富士クレジット」に変更する、といった内容が書かれていた。ところが実際には十数万円の過払いだった。本来、武富士が顧客に返すべきお金なのだが、同社が会社更生法を申請したため返還は困難だとみられている。

  過払い債権を売却して金銭を得たことに問題はないのか。去る一〇月三一日、東京地裁による会社更生法の開始決定を受けて開かれた記者会見で、同社管財人の小畑英一弁護士にただした。そのやり取りは次のとおりである。

 ――過払い債権の売却は事実か。

 小畑管財人 債権譲渡につきましては、貸金業者の資金調達の非常に有力な方法でありまして、その中に過払い金が混じっているということについては、過去の例でも多数あるだろうと思っております。今後、その問題がどのような形で適正かどうかを判断されるかについてはこれからですが、少なくとも債権譲渡に関しては適正対価で支払われていれば、それが、たとえば債務返済の原資とかになっていたというようなことでございますので、それ自体が問題になるということはないと認識しています。

 ――「過払い隠し」ということにはならないのか。

 小畑 「過払い隠し」ではないか、ということについてはむしろ逆で、武富士に請求できるのは武富士に対して弁済されたものだけということになりますので、おのずと債権から過払い部分を切り分けるというような問題になってくるのではないかと思います。

 ――過払い債権の売却は問題ないという認識ですか。

 小畑 いや、売却した時点で武富士のほうにお金が入っているということなので、これが無効となったらお金を返さなきゃいけないでしょう。

  また、こうも語った。

 「譲渡価格についてはプロ同士の取り引きとして富士クレジットが判断することです。それで武富士に入ってきたお金は過払い金返済などに充てられます。取り引き自体が違法だとかという問題は生じません」

  つまり「過払い債権の売却は問題ない」という認識だ。しかし「武富士の責任を追及する全国会議」事務局次長の及川智志弁護士は次のように問題視する。

 「もし武富士が過払いを認識し、一方の富士クレジットが過払いと認識せずに通常債権として価格決定して債権譲渡がなされたとすれば、武富士の行為は詐欺的というほかない。あるいは、富士クレジットも過払いと認識したうえで譲渡を受けていたのなら、富士クレジットが過払い金の全額を返還すべきである」

  富士クレジットの取引先を調べたところ、東京都知事登録の貸金業者「(株)クリバース」の名があった。ここは、米シティグループ子会社のサラ金CFJから大量の不良債権を買い取ってサービサー法や貸金業法に違反した強引な取り立てを行ない、業務停止処分を受けた悪質な会社だ。また、クリバースの経営者である黒田武稔氏がかかわる別の会社の存在も浮かぶ。売却された武富士の「過払い債権」の行方はどうなるのか、要注意である。

(三宅勝久・ジャーナリスト)

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