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検審「起訴議決」で小沢氏に辞職を迫るメディアの不見識

2010年10月11日3:50PM

9月1日、民主党代表選の共同記者会見を終え会場を出る小沢一郎氏(中央)。今も影響力は大きい。(撮影/伊田浩之)

〈こんなの民主主義じゃない、戦争中みたいと78歳の母親が申しております〉(@tokudasu)

 朝刊全紙(『朝日』『毎日』『読売』『産経』『東京』『日経』)が一面トップで「小沢氏 強制起訴へ」と報じた一〇月五日、インターネットの「ツイッター」で、報道を批判するつぶやきが『週刊金曜日』公式アカウント(@syukan_kinyobi)に届いた。

 検察・司法に詳しいジャーナリストの魚住昭さんは、新聞テレビの大々的な報道を批判する。

「検察審査会の結論(起訴議決)はどうってこことない、というのが私の正直な感想です。政治資金規正法違反といっても、土地売買の収支報告書への記載が年をまたいでいただけだし、登記日を売買完了日と考えると違法ですらない。そんなことまで小沢さんが指示しているのでしょうか。弁護士がしっかりしていれば結論は無罪となるでしょう。検察が起訴しても判決が確定するまでは推定無罪が原則。検察が起訴できないと判断した小沢さんの事件ではさらに無罪となる可能性が高いのに、小沢氏を批判するのは法の趣旨を理解していない言論だと思いますね」

 元東京地検特捜部検事の郷原信郎さん(弁護士)は、検察審査会の判断自体に首をかしげる。

「政治資金規正法の解釈自体がおかしいのではないでしょうか。第一義的に虚偽記載に問われるのは会計責任者です。小沢さんが罪に問われるには、明確な関与や指示がないといけない。そこがはっきりしないから検察は二回にわたって不起訴としたのです」

 だが検察審査会の議決は、小沢氏と秘書(当時)との間のやりとりについての調書についてこう記述する。〈取調べを受けたのは、被疑者(注:小沢氏)に説明・相談し、了承を得たときから5年ほど経緯した時点で(略)具体的、迫真的な供述がなされている方が、むしろ作為性を感じ、違和感を覚えることになる〉

 郷原さんはこの記述にあきれる。

「厚労省の局長だった村木厚子さんの冤罪事件で浮かび上がったのは、具体的で迫真性がある供述調書を検察が捏造することがあるという事実です。それを裏返して、『具体的・迫真的でないから信用できる』は論理があべこべです」

     「無罪」のとき誰がどうやって責任をとるのか

 だが新聞全紙は五日、一斉に小沢氏を批判した。『朝日』は社説で〈小沢一郎・元民主党代表は今こそ、自ら議員辞職を決断すべきである〉と断定。『毎日』は〈小沢氏は自ら身を引け〉と題した社説で〈国会での究明と同時に、出処進退について、自らけじめをつけるべきである〉と主張した。『読売』社説も〈小沢氏「起訴」の結論は重い〉としている。

 その理由を『毎日』社説は次のように記す。〈要するに市民感覚として小沢氏の不起訴は納得できないということだ〉〈今回の議決書からは、審査員らが供述調書などの証拠を丁寧に読み込み、結論を導いた様子がうかがえる〉

 前出の魚住さんはこう指摘する。

「検察審査会の審査員は、検事調書しか読んでいない。村木事件ではっきりしたように、調書はストーリーありきの”検事の作文”なんです。なかでも特捜検事は”作文の職人”。プロの裁判官でも騙される作文なんです。どうしても小沢氏を起訴したいという検事の思いが乗り移っている調書を読まされて審査員が影響を受けるのは、審査員の責任でなく、検察審査会の仕組み自体の問題です。まして議決は、フロッピーディスクの証拠捏造事件の前に出されていますから、調書自体は疑わない」

 だが、そんなことは新聞記者は十分承知なのではないか。

「新聞・テレビは東京地検特捜部の筋書き通りに報道してきましたから、検察審査会の結論はこれまでの報道とピッタリ合うのでしょう。小沢氏が記者に嫌われているのもバッシングが加速する一因です。勉強不足の記者がいるのは事実ですが、小沢さんはそれをはっきり口に出すし、またごく一部の記者にしか情報を出さないので記者に嫌われています」(魚住さん)

 ある政治部記者は「社の幹部が小沢嫌いなので、報道がそうならざるを得ない」と嘆いている。

 郷原さんはこう話す。

「議員を辞職すべきという報道には、法的センスや見識を疑う。小沢さんが無罪になったときに誰がどう責任をとれるのでしょうか」

(伊田浩之・編集部)

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