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“タナボタ”相撲騒動にみる警察の暴力団追放運動の虚実 安藤警察庁長官の目線は経済界に

本誌取材班|2010年7月20日5:19PM

元大関の琴光喜らが関与したとされる野球賭博問題で日本相撲界が揺れる中、大相撲の名古屋場所が一一日、始まった。しかし、野球賭博、暴力団交際騒動は、すでに {千秋楽} との声も出ている。
「もともと愛知県は一〇〇年続く博徒の土地。裏カジノだって名古屋市内に四〇カ所はある。野球賭博は年間一〇〇〇億円の金が動くとも言われている。これは四〇年間やってきたし、今も相変わらずだ。その野球賭博の胴元を昨年死んだ、山口組弘道会系組長のSにおっつけたでしょう。まさに死人に口なし。これはもう今回の件は落着させるという意味だよ」
地元事情に詳しい名古屋市内の飲食店経営者はこう言い切る。
警察庁の安藤隆春長官は昨年六月の就任以来、山口組を支配する弘道会壊滅の笛を吹いてきた。
今年四月には愛知県警が本部長をトップとする「山口組弘道会集中取締総合対策本部」を発足。五月三一日には都道府県警の本部長を集めた会議で「弘道会やその傘下組織の首領級の上部幹部検挙と、主要な資金源の遮断を徹底し、弘道会の弱体化、壊滅を現実のものとされたい。弘道会の弱体化なくして山口組の弱体化はなく、山口組の弱体化なくして暴力団の弱体化はない」と号令をかけている。
つまり、来年出所する司忍六代目山口組組長の再逮捕もしくは弘道会の高山清司組長の立件。七月には司六代目が組長を務めた司興業の現組長も警視庁に逮捕された。警察担当の全国紙記者は一連の騒動を次のように分析する。
「警察庁という行政組織が優秀な人間を注力して弘道会壊滅という一点で動けば、この程度の成果は出るでしょう。とはいえ、必ずしもうまくいっていたとはいえません。警察庁は弘道会の分析レポートもまとめましたが、それは(山口組本部のある)兵庫県警と(弘道会がある)愛知県警に出させたデータを警察官僚がまとめただけの代物です。現場は大事な {ネタ} は上にあげませんから。
そんな中、相撲の賭博問題は警察庁にとって、棚からぼた餅のネタだった。しかし現場は大変でしょう。ここまで問題が大きくなって、立件できるかわからない。下手したら捜査している警視庁は大恥をかくかもしれない」
その警察庁はすでに満足しているという。「警察が暴力団と闘っているというイメージを世間の人に持ってもらえた。それに暴力団追放運動で警察権力の及ぶすそ野も広がっています。安藤体制になってから、証券、銀行、建設と暴力団がシノギにしてきた業界が軒並み暴力団追放を発表している」(前出記者)。
安藤長官は証券業取引協会が作成予定の「反社会的勢力データベース」に警察が保有している暴力団員情報を提供するとし、五月二六日に日本証券業協会の安東俊夫会長が警察庁に支援を要請した。
「この {極道データベース} は警察官僚と業界団体が一体となってつくることになるのでしょう。警察庁はだれもが反対できない形で話をもっていくのがうまい。しかし経済界はどこまで警察にお付き合いしたらいいのか、本音では様子見でしょうね」(前出記者)
思えば、長官就任早々の昨年八月、一連の芸能人薬物汚染に関して定例会見で「芸能界に必要な支援をする用意がある」と発言し、芸能関係にも色気を見せていた。
先の飲食店経営者は憤る。
「今回の騒ぎでどれだけ警察が税金を使ったのか。これこそ事業仕分けしてほしいですわ」
これぞ庶民の本音ではないか。

(本誌取材班)

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