編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

144国中、日本は114位

 ニュージーランドでは首相が6週間の出産休暇があけて公務に復帰した。パートナーが育児に専念するという。かたや日本では、女性の医学生・医師の数を抑えるよう、医学部入試で点数操作が行なわれていたことがわかった。

 東京医大の女子受験者に対する一律減点操作の記事には目を疑った。いい悪いはともかく大学入試は点数だけが支配する世界と思ってきたからだ。

 このニュースに北原みのりさんが同大学の前で抗議のデモを呼びかけ、多くの女性たちが声をあげた。ジェンダー・ギャップ指数が144国中114位という悲しい状況は、こういうところで着実に作られてきたのだと呆れながら合点した。その後、3浪、4浪以上の受験生もそれぞれ減点されていたことがわかった。どういう価値観か?

 医師の働く職場の劣悪さが問題になって久しいが、女性医師がもっと増えていたら、働き方改革はおのずと進んでいたに違いない。翻って自分たちの職場では……。それぞれの業界での問い直しが始まっている。

2年後の東京五輪

 サッカーの試合が7月22日に始まり24日に開会式、8月9日が閉会式。2年後の東京五輪のことだ。殺人的な暑さの東京に選手や観客をお招きするのは忍びない。だが、住んでる私たちもたいへんだ。

 N県に住む鍼灸師の友だちは、国際総合大会ドーピング・コントロール・オフィサーに向けて研修をうけているという。もちろん東京五輪を前提にしてだ。半年前には東京マラソンに新幹線で駆け付け、日比谷公園で鍼のケアボランティアとして参加していた。「トップランナーに混じる車椅子ランナーに声をからして応援し」、仕事の前に力尽きたと苦笑していた。3・11の時も避難者に鍼灸のボランティアをしていた。 

 一方、東京五輪はボランティアの待遇の悪さが問題になっている。儲けるところは儲けて、ボランティアには経費も渡さない。開閉会式のチケット最高額が30万円というのは相場なの? 一体だれの懐に入るのだろう。残った赤字はわれわれ都民でシェア? それだけは勘弁願いたい!

現場の判断力

 暑い。こんな時に子どもは高校のテニス部でマラソンという。ご苦労なこと。え? 顧問は不在で×周走破を事前に申し渡すだけって? 「それ危ないよね」、というと、「みんなわかっているから」と意味不明な答え。

 姪の小学校は自衛隊機の騒音で窓があけられないのに市長の意向でエアコンなしだった。水筒は持参できても授業中は飲めない。昨夏、体調を崩し医者に運ばれたところ、命に関わる熱中症と診断された。市長は方針転換したが、いまだエアコンなしだ。最近も熱中症で小学生が亡くなった。学校は命や安全を何より優先すべきだ。

 東京都立高校で「君が代」斉唱拒否をして再任用をされなかった教員が都を訴えていた裁判で、最高裁は逆転敗訴を言い渡した。納得できない。上からおりてきたルールを100%守らせることが、どれほど現場の判断力を奪っているのか、現実を見てほしい。

「君が代」拒否で処分された教員を支援する「コンサート・自由な風の歌」の情報が本誌「はらっぱ」にある。よろしかったら是非!

自然災害

 この編集後記を書いている17日現在、国会は大詰めだ。酷暑の中、西日本を中心とした豪雨による被災者たちの苦労は想像を絶する。支援金の引き上げを取り入れた「被災者生活再建支援法」の改正案を、ぜひ成立させてほしい。

「国民の生活が大事なんて政治はね、私は間違ってると思います」とかつて言ってのけた議員さんもいるが、ここは救援すべきときでしょう。誰かの金儲けのためのカジノ法案と、党利党略のための公職選挙法改正案よりも優先すべき、と内心考える与党議員だってきっといるはず。

 この連休、津波工学の研究者と話をする機会があった。「自然災害が増えていませんか」と問うと「海水の温度があがってますからね。台風も起こりやすい」とのこと。

 以前から気になっているのが、リニア中央新幹線の工事だ。手をつけてはいけない危険な地域が工事の対象になっていないか。さまざまな環境変化がもたらす長期的な影響を考えると、取り返しのつかない事態が起きそうに思えてしまうのだ。

問われるのは

 130人を超える死者を出した今回の西日本を中心にした豪雨による災害。行方不明の方がまだ70人以上もいらっしゃる。救助を待つ方に、救援の手が一刻も早く届くことを祈るばかりです。被災された方々にはこころからお見舞いを申し上げます。

 現地から冨田きよむさんがレポートしてくれました。今後いろいろな問題が明らかになってくることでしょう。当然問われるのは政府の対応です。大雨が心配された5日夜、安倍首相が閣僚とともに酒宴に興じていたこと、7日の災害対策の関係閣僚会議が15分だけだったことなど……危機感はどこに? 当座の外遊はキャンセルとなりましたが、7月14日、パリで行なわれる仏革命記念日の軍事パレードに安倍首相は自衛隊と共に参加する予定でした。こころはパリに? 改憲の名目に緊急事態条項がありますが、今回の失態を踏まえれば、恥ずかしくて口にできないと思います。思惑が別のところにあることがバレバレだもの。台風8号の行方も気になります。

怒濤の1週間

 6月30日(土)、92歳と85歳の父母が暮らす山梨の実家の居間から、炬燵が片付いたという。ようやく──。皮下脂肪がなくなった父はめっきり寒がりになって、これまでも片付ける機会はあったが、承諾しなかった。今後は一気に熱中症対策だ。

 夕方からTさんの退職祝い。フットワークよく世界を駆け巡る尊敬する研究者だ。流動的で混沌とした社会に悲観的なご様子。

 7月2日(月)、ワイファイの調子が悪いが、仕事前に2紙の電子版を読む。沖縄紙の投書欄にある「再編交付金の在り方に疑問」は、本誌でもお世話になっているTさんの投稿だ。朝食はベランダのプランターからルッコラを引き抜きサラダに。安上がり!

 会社に着くと、先週ネット配信した2本の記事が大きなアクセス数を記録したことが話題に。1日100万アクセスを超えたのは初めて。紙のほうの手応えは? そのうち「メキシコで左派大統領誕生」の報。……まずい、Iさんに連絡していなかった。怒濤の1週間が始まった。

トップ人事に異変か

「甘えた気持ちで……」。参院予算委員会で6月25日、福山哲郎議員が〈なんで問題がないのに公文書の改竄や交渉記録の廃棄や虚偽答弁をしたんですか〉という質問をしたことに対して、矢野康治財務大臣官房長はこう答弁した。

 平山みきの往年のヒット曲をつい思い出してしまうが(!)、あんまりへんてこで、驚くしかない。こういう発言も含めたいまの事態を招いた安倍政権の罪は重い。

 国会は延長するそうだが、IR法案にしても高プロ法案にしても、特にこれから社会に出ていく若い人たちの人生を左右する法律を、こんな人たちに決めて欲しくない。

 ある官庁のトップ人事を見て驚いた。菅義偉官房長官が目をかけているといわれた審議官が下馬評では先行していたが、王道をいくコースを歩んできた局長が就任を決めた。昔、フォークダンスを一緒に踊った先輩だ。

 こんな政権で、苦労多きことでしょう。政治家も官僚も、こころある人ならば、この政権に愛想をつかしているはず。では、どうすればいい?

危ない、危ない

 6月18日、大阪北部を震源とする地震で被災された皆様にお見舞い申し上げます。まだ余震も続いているとのこと。1日も早く元の生活に戻れることを祈念しています。

 梅雨の合間の強い日差しを浴びながら、自転車で会社に向かう。散歩する保育園の子どもたちが、横を通り過ぎていく。がやがや楽しそう。あれ、白い小さな靴がポツンと落ちている。振り返って集団を見ると、先生に手をひかれ最後を行く子どもの片足が……。慌てて靴を拾い「せんせ~い」と呼び止める。

 梅雨時は道路が滑る。後ろを自転車で走っていた女性が「きゃっ」と声を上げて自転車ごと転倒。前籠に入っていた上着だの本だのが道路に散らばる。前を走っていた男性と一緒に拾い上げる。擦り傷くらいで大事には至らなかったようだ。「危ない、危ない」

 信号の加減で川沿いの自転車歩行者道路を珍しく走行。緑が生い茂って久々に心が弾む。向かいからは誰も来ない。気持ちよく走っていると、うわっ。道の真ん中にうねうね動く蛇!

闘うメディア

 注目の米朝首脳会談。一連の流れの中で日本外交の問題点も浮き彫りになった。だが、大手メディアはなかなか報道しない。政府と大手メディアのリードする方向にとかく世論は流れて行きがち。では本誌の役割は? そんなふうに思い悩んでいると、時にガツンとされる出来事にあう。

 この週末、韓国ドキュメンタリー映画『共犯者たち』の自主上映会とシンポが連日行なわれた(本誌6月1日号で監督インタビューを掲載)。東京・なかのZEROホールでの上映会では507人の定員に、それを越える大勢の観客が詰めかけた。

 場内は騒然。結局、立ち見は許されず、払い戻しを主催者が丁重にお願いした。文句も聞かれたが、「これは画期的なことですよ、この映画にこれだけの人が集まるというのは」との一言が耳にとまった。

 映画はまさに韓国の権力とメディアとの闘いを描くもの。その闘うメディアを韓国市民が支援する。そして、そのドキュメンタリー東京上映会にこれだけの人が集まる――その事実に勇気づけられた。

安倍首相の辞め時

「アベノミクスに頑張ってもらわんと困るさ」。なんて一時は言っていた私の母。自分におこぼれがこないとわかったからか(?)昭恵さんと仲良く頻繁に外遊を重ねる安倍首相の姿に激しく怒りをぶつけるようになった。

 いまはそのウソつきぶりに「テレビで顔を見るのもイヤ」。トホホ。でも、いまも安倍さんの支持者は確実におられるようだ。

 財務省が4日に発表した森友学園関連の調査報告書で、記録廃棄が国会での首相答弁「私や妻が関係していたなら国会議員も辞める」の後だったことが明らかになった。とすれば、安倍首相の辞め時だ。周囲が身を挺して首相を守ろうとしたことに責任を感じて辞任を決意したとすれば筋が通る。

 ただ首相自身、自分がこれほどに守られている理由もわかっている。最高の権力を持つ身だからだ。その権力を手放したときに何が起こるのか。安倍首相が続投を求めるのは、本当に悲願の“自主憲法”制定にあるのか。改憲・降板後も安倍首相が自らを安泰と考えているとすれば、それは怖すぎる。