編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

通常国会が始まる

 通常国会が始まる。安倍晋三首相は今月4日、三重県伊勢市で今国会を「働き方改革」と宣言。昨年、突然の解散で先送りされた「働き方改革」関連法案が胆になるのだろう。昨年11月24日号で、木下壽國、竹信三恵子両氏が「『働き方改革』に潜む技術革新の光と影」で警告を発している。もちろん今国会では改憲発議が本命であることを忘れてはいけない。いずれにせよ政権は明るい未来しか示さないので、その虚飾をひっぱがして本質を示していく必要がある。

 そういえば、安倍首相が”最も国会に来ない”首相への道を歩んでいるという分析が話題になっている。南部義典氏が「”国会に来ない総理大臣”ワーストは、この人!」(「マガジン9」URL・http://maga9.jp/180110-4/)で、過去18名の首相の在任期間中の会期日数や、衆参本会議、委員会への出席頻度などを比較した結果だ。これが意味するところは──説明責任への疑問だろう。知人に教えて貰った記事だが、本誌記事だったらなおよかった?!

たくさんある

 年が明け、ベランダに放置していた枯れ草の残る鉢をようやく手入れした。鉢の中からバッタがひょいと出てきたのには驚いた。あたたかい枯れ草のなかで身を潜めていたのに、気まぐれの掃除のために引っ越しを余儀なくして、申し訳ないことをした。

 国政は昨年からの重い課題を抱える。沖縄・普天間基地周辺で起きた米軍ヘリからの落下物の案件は、納得できる解決とはほど遠い。

「モリカケ」問題も大きな進展がみられない。森友学園の籠池夫妻はいまだ勾留中という。本来事情を聞くべき疑惑の主から話が聞けていないのに、これで真相解明ができるとは思えない。なによりも不当な人権侵害ではないのか。

 昨年の今頃、山城博治さんの不当逮捕・長期勾留に憤っていたことを思い出す。今週号の大髙正二さんのケースも異常としかいいようがない。裁判所が“憲法番外地”になってしまったのだろうか。

 その憲法を改悪する勢力との闘いも正念場だ。通常国会召集は22日。やるべきことはたくさんある。

立憲主義を守るべく

 昨日の本誌創刊24周年記念集会は、盛況のうちに幕を閉じた。

 第1部、9団体による「日中戦争から80年共同キャンペーン」には、「中身が濃い」という感想を会場で耳にした。師走の日曜日、1部、2部を通すと6時間を超える長丁場だった。ご来場いただいたみなさま、ありがとうございました。

 今年最後となる今週号には、櫻井よしこさんが登場してくれた。電話インタビューではあるが、「猪瀬直樹知事(当時)批判」以来だ。本来は先週号の特集で掲載できればよかったが、日程的にそれは叶わなかった。憲法観、国家観など、本誌と正反対の立ち位置にいる櫻井さんが本誌に登場してくださったことには、最大限の敬意を表したい。

 今年は、朝鮮半島危機や中国の脅威に乗じた日米同盟の強化や南西諸島への自衛隊配備などが進み、日本が根底から変えられていく危惧を抱いた。来年は憲法改正の発議、そして国民投票が待っている。立憲主義を守るべく、本誌もみずからの使命を果たしていくつもりだ。

エアーフェスタと戦時体験

「緊急発進は全国平均で1日3回。南西エリアがもっとも頻度が高いです。台風の中でも避けられません」「日本の空を守っているのですね。これからは飛行機の音がうるさいなんて思わないで」

 訳あって沖縄にいる。空自那覇基地で週末に開かれたエアーフェスタに行くと、ステージでこんな会話が。戦闘機の試乗コーナーで若い隊員に質問すると、実に素敵な笑顔で答えてくれた。

 その前日、基地の近隣で開かれた旧小禄村の戦時体験を聴く会で、元琉球新報社記者・平良亀之助さんの話を聞いていた。同村は「飛行場を中心に陣地が密集しているがゆえ」真っ先に空襲を受け、避難を余儀なくされたので、数字上の人的被害は少ない。だが避難先、「友軍」や民間人同士の「もう一つの戦争」で、筆舌に尽くせぬ苦難を舐めたという。

 今も戦時体験を掘り起こすのは執念に近い。二度と戦争を起こさぬためだろう。一方で、戦争をする軍隊をよしとする世論づくりがソフトに進められている。

追悼 印牧真一郎さん

 去年の今頃は、アイスラーの『戦争案内』や歌物語『魔法使いの弟子』をだしものに歌のあつまり“風”の仲間とコンサートを開き、悠々と指揮をしていらしたのに。

 オペラシアターこんにゃく座の制作に長年関わられた印牧真一郎さんが今年の4月に亡くなり、偲ぶ会がこの週末に開かれた。私は「ぶんか欄」担当以来のおつきあいだ。

 印牧さんは〈自分の声〉〈自然な声〉〈率直な声〉そして〈今の声〉を求めてこられた。2007年に東京・星陵会館で“風”の歌を初めて聴いた時は、ショックだった。

 人生のキャリアを積んだ人たちが借り物ではない、それぞれの声で、堂々と〈私の歌〉を歌う。実になまめかしくてゾクゾクとするのだ。それぞれの存在がそれぞれの言葉を持ち、響き合う。その時の力に気圧された。私はそれがとても政治的だと感じた。

 偲ぶ会でマイクを持ったお連れ合いのおしゃべりの楽しく心に染みいることといったら。共にすてきな人生を送られてきたのだろう。ちょっぴり羨ましかった。

戦争への“感度”

 ここまでとは……。自衛隊が米軍とともに国内外でここまで大展開をしていたことにいまさならがら驚く。これまで知らなかった、知ろうとしなかったことが恥ずかしい。

 今年92歳になった父親は敗戦まぎわに徴兵された。“海軍精神注入棒”とやらでお尻を叩かれた経験を子どもの頃聞かされた記憶がある。20歳そこそこの若者にとり、軍隊は特別な場だっただろう。

 仕事仲間に誘って貰って父とほぼ同じ年代の方と山に登ったことがある。夜中に大きな声をあげるかもしれないと事前に言われたけれど、真っ暗闇のなか、その方が大声で軍歌を歌い出したのには驚いた。軍隊で非常に危険な任務につかれていたという。だいぶ前に亡くなられたが。

 父親は最近、自分が行ったのは陸軍だと言い張る。「海軍さんが陸に登っちゃった」と母親は苦笑する。戦争が身体に刻まれた世代は少なくなり、戦争の記憶は薄れるばかり。だが、戦争への“感度”を、私たちが持ち続けることは可能だ。その愚かさを聞いた者として。

浮かび上がる日米の思惑

 米軍立川基地返還40周年記念の集会に参加した。「砂川平和ひろば」の方々が中心となりながらも大学生らが資料作りなどにも加わり、いい感じの運びだった。

 会場となった砂川学習館講堂はぎゅうぎゅうの超満員。「ここは熱心に運動されている方が集まっているけれども、だれにでも開かれた場になっていることが魅力」。集会の帰り、会をお手伝いされている方と話す機会があったが、こんな感想を仰っていた。なるほど、私もそんな印象だった。

 集会のテーマは「米軍基地の『返還』を問う」。立川基地返還からこれまで、何があったのかを映画を見て議論した。隠された日米の思惑が浮かび上がってくる。

 そういえばパネリストの福島京子さんが、立川基地が米軍と自衛隊の共同使用初のケースとなったことに言及されていた。防衛大臣は今月17日に「自衛隊の態勢を強化するために日米両政府が(米軍基地の)共同使用を促進することを(8月の日米2+2で)再確認」したと発言していた。気になる動きだ。

「排除」ではありません

 11月10日号特集「アベ政権に野党はどう挑むか」について、たくさんの方から問合せをいただきました。どうして日本共産党が入っていないのか、という一点です。

 選挙後の慌ただしく難しい時期でしたが、アベ一強にどう立ち向かうのか、野党にお話を伺いたいと思いました。もちろん共産党にもインタビューの依頼をしました。しかし、調整がつきませんでした。

 立憲民主、希望、社会民主の3党が揃うことがわかっていれば別のプッシュの仕方もあったのですが、ぎりぎりのところで調整がついたのでそれもできませんでした。記事掲載にあたっては、そのむね一言でも説明をすべきだったと反省する次第です。お詫び申し上げます。

 共産党には改めて要請をしています。また別途、長期的な方針を含めじっくりお話が聞ける企画も予定しているのでご期待ください。

 加計学園は安倍首相らが説明責任を果たさぬうちに認可の見通しとなりました。しかしまだ、やるべきことは残っています。

「読んでますよ」

「読んでますよ」。11月3日、「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」の集会で本誌のチラシを配っていると、声をかけてくださる方が何人もいた。なかには「創刊からずっと購読している」とおっしゃる方も。社員だけでなく、読者会のTさんも神奈川から駆けつけてチラシ配りにご協力くださったという。帰りには国会議事堂前駅のホームで本誌「くらし」欄を読んでくださっている方をみかけた。みなさま、ありがとうございます。

 ただ、11月3日の「文化の日」を明治維新150周年にあたる来年、「明治の日」に改称したいと右派国会議員がいうのが気になる。日本国憲法が公布された、「自由と平和を愛し、文化をすすめる」その日を、明治天皇の誕生を祝う日に戻してしまっていいのだろうか。憲法をめぐる象徴的な闘いになりそうだ。より多くの人に理解を求めたい。

 なお、「『10月革命』はロシアの人々に幸福をもたらさなかった」の2回目は次週の掲載になります。

ここにいたっても

 安倍政権には、ここにいたっても驚くことばかりだ。国会での与野党質問時間の配分比を検討するという話だ。野党の質問時間を減らして、政権にとって都合が悪い質問をさせまいということか。

 これには立憲民主党の長妻昭議員がツイッターでも猛反発。「自民党が野党時代、強力に要請をして今の配分比となった。野党の質疑時間を減らす姑息な試みは止めて総理の言う丁寧な説明に努めてもらいたい」と批判している。

 特別国会も当初は首相指名や議席の指定という型通りのものだけに収める予定だったが、さすがにそれでは批判がかわせないということで与党側は検討をしているという。

開票センターでの首相の憮然とした表情の意味がようやく理解できた気がする。第一野党が立憲民主党であることが、気に入らないのだろう。国会の場で突き上げをくらうのが怖いということか。

 しかし、そういう安倍首相をいまもかつぐ人たちの打算こそ、私は怖い。最新調査で、安倍首相の不支持率が支持率を上回っている。