編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

政治家だけではない

 今年は言葉、わたしにとっては「事実と論理」が脆弱化するか否かの正念場だ。

 戦後民主主義的な思想を否定する安倍首相の価値観は異様だが、内心の自由の領域ではある。しかしながら、首相やその周辺が立憲主義や歴史事実を無視、いや蹴り飛ばしている行為は許しようがない。日本の政治家に課せられた最低限の約束を破る行為だ。理性社会の底が抜ける。しかしそれでも国政は動かせるのだから逆に開き直るばかりだ。

 今週号ではその安倍政治を二人三脚で進める経済産業省に光を当てた。今起きている現象は天変地異ではない限り、誰かがやっていることだ。その誰かを太陽の光の下に引きずり出すのが小誌の仕事である。

 政治家は表に立ち目に入り易いが、官僚や企業が裏で協同しなければなにもできない。そして選挙という審判を一応は受ける政治家よりも、官僚や大企業のほうが立場は盤石でもある。つまり私たちのプロテストの相手は政治家だけではないのである。物事を単純にとらえる怠慢に警戒しつづけたい。