週刊金曜日 編集後記

1335号

▼本誌編集部で働き始めたのが昨年2月。早いものでもう1年と5カ月になる。
 いつごろか「ここでしか書けない記事を書き、ここでしか掲載できない記事を掲載しよう」と思うようになった。それが、本誌の魅力であり、社会に存在する意義だと考えるからだ。
 そう思うのには、以下の事情がある。私はながらく全国紙の編集部門にいた。権力を監視するとともに、さまざまな人々の尊厳を大事にしようとする空気があり、働きやすい職場だった。一方、権力側や、いわゆる右派陣営から常に激しい批判と攻撃にさらされてきた。当然、脇を固めなければならない。その意識が強くなりすぎると、紙面は息苦しくなり、予定調和的なものに堕してしまう。
 6月11日号の秋山信孝さんの「市民有志が衆参全国会議員へ質問状 安倍晋三氏の議員辞職勧告決議に賛成しますか?」。6月18日号の具志堅なつさんの手記「キャンプ・シュワブゲート前での座り込みで逮捕 『私を逮捕するよりアベを逮捕すべきでしょう』」。二つの記事は、私が働いていた全国紙では掲載は難しかったろう。だからこそぜひとも掲載を実現したかったのだった。(佐藤和雄)

▼先の緊急事態宣言下に、NHKで放映されたドラマ「今ここにある危機とぼくの好感度について」。脚本は、ドラマ「カーネーション」(NHK)、映画『ジョゼと虎と魚たち』などの渡辺あや。主人公はつねに好感度を気にして事なかれ主義に徹してきた大学の広報員。
 ドラマ後半、研究室からの実験生物流出で健康被害を起こした大学が、「国の威信がかかっている」大規模イベントを強行するためにこれを隠蔽しようとするのに闘いを挑む、という風刺劇で、「エビデンス」「都合の悪い真実は必ず隠される」といった言葉が飛び交う。健康被害と大規模イベントという対比で、「今ここにある危機」が現実と恐ろしいほど重なり、一部で話題になった。ドラマの終盤、事実が暴露された一方、健康被害は収束したとされて結局は開催されたイベントに現れた権力者が、なぜかアベノマスク(?)をしているというオチも......。
 新型コロナ感染者数リバウンドの真っ只中で東京五輪開催に突っ込んでいく日本政府。ドラマの題名「ぼくの好感度」を、さしずめ「菅首相の支持率」などと言い換えれば、現実そのもの。今こそ、再放送してほしい。(山村清二)

▼日曜日の楽しみが一つ減ってしまった。ドラマ「ドラゴン桜」が最終回を迎えたためだ。元暴走族の弁護士・桜木建二が、低偏差値で落ちこぼれの高校生たちを東京大学に合格させるために奮闘する漫画が原作だ。2005年に放送された前作の16年後を描いているが、ドラマならではのオリジナルな展開も織り交ぜられている。「ドラゴン桜」と言えば、東大に合格するためのユニークな勉強方法"桜木メソッド"を伝授することでも知られる。現役の東大生が監修に加わっているというから、破天荒ながらもなるほどと思わせる方法を教えてくれるので、参考になることが多い。
 個人的には、桜木メソッドで一貫しているのは、勉強を習慣化すること、なぜという疑問を放っておかないで解決すること――ではないかと思いながらドラマを見ていた。受験というと、とかく暗記に走りがちだが、詰め込みは苦痛を伴う。だが、「なぜこうなるのか?」を考えながらだと、同じ暗記でも忘れることが少なくなる。単なる丸暗記ではなくなるからだ。そうやって身に付けた勉強法や知識は、社会人になっても必ず役に立つはずだ。(文聖姫)

▼体重が順調に落ちています。2017年7月に85・5キログラムだった体重が72キログラム台になりました。学生時代以来と思える60キログラム台まであと少しです。
 理由は、結婚による生活習慣の変化です。昼食は以前と同じようにほとんど外食なのですが、朝食はサラダや目玉焼き、味噌汁などで、基本的にご飯やパンなどの炭水化物は食べません。いわゆる「炭水化物(抜き)ダイエット」ですね。自宅での晩酌も、炭水化物のおつまみはなしで、比較的早めに切り上げています。コロナ禍で外飲みできないのも大きいかな。
 目覚めも早くなりましたし、腰痛もかなり軽くなりました。
 ただ、脂肪と同時に筋肉も落ちているようなのが悩みです。地下鉄の階段の上り下りが少し辛いこともあります。散歩や体操に積極的に取り組もうと思っています。
 そういえば散歩の最中にお香の専門店に気づきました。手ごろな価格の掛香があったので入手。自宅の机の近くにつるしています。掛香とは、袋に入れた香を柱などに掛けたり、身につけたりするものです。季節感を大切にすると、日々の暮らしが楽しくなりますね。
〈母がせし掛香とかやなつかしき高浜虚子〉(伊田浩之)