週刊金曜日 編集後記

1319号

▼ビルマで軍事クーデターが起きて1カ月が経った。2月28日には治安当局の銃撃で、デモ参加者の26人が死亡し、1000人が負傷した(NLD議員らの組織発表)。26日には、本誌に現地からのルポを飛ばしてくれていたヤンゴン在住のジャーナリスト北角裕樹さんが拘束された。幸い、その日のうちに北角さんは釈放された。
 北角さんに話を聞くと、市民側は非暴力のデモを継続していて、警官が鎮圧にやってこない小規模デモが増えているという。しかし、死亡したデモ参加者はいずれも実弾を受けたとみられ、当局の暴力性は増しているという。拘束時、北角さんはプレスと大きく書いたヘルメットに一眼カメラを持っていた。「明らかに記者だとわかる格好をしていたのに、デモを取材していたところ、警官に挟み撃ちにされ、暴力的につかまった」という。ビルマでは、現地の記者が複数拘束されていているといい、メディアの萎縮を狙っているとみられる。北角さん自身は萎縮することなく取材を続けていて、来週以降も本誌に現地からのルポを飛ばしてもらう予定だ。(渡部睦美)

▼気づいたら、会社近くの桜が咲きはじめていた。オカメザクラといって、早咲きの種類なのだそうだ。今年も卒業式シーズンがやってくる。永尾俊彦さんの著書『ルポ「日の丸・君が代」強制』(緑風出版)によると昨年はコロナ禍のなか、全都立学校の卒業式で「君が代」斉唱(の強制)が実施された。今年はどうなるのかと気を揉んでいたら、根津公子さんの「君が代不起立」による処分取り消しが最高裁で確定したとのうれしいニュースが!(くわしくは、きんようアンテナで永尾さんが報告)。
 次号では、「3・11」と向き合うアーティストを取り上げる。その中の一人、画家の山内若菜さんの作品が原爆の図 丸木美術館と、8キロほど離れた場所にある古民家ギャラリーかぐや(土日のみ)で展示中。色の複雑さや質感、圧倒的な大きさは、実物を見てほしい。かぐやの井上正さん、芙沙子さん夫妻は「原発とめよう秩父人」のメンバー。このグループで毎年つくっているカレンダーへ山内さんが作品を提供したのが縁だとか。ストーブを囲んでお茶をいただいていると次々と人が訪ねてくる。まるで福島の祖父母の家にいるような気分を久しぶりに味わった。(吉田亮子)

▼早いもので、『週刊金曜日』編集部で働きだして1年を過ぎました。新聞記者として四半世紀ばかり働き、その間に週刊誌編集部に異動することもなかったから、初めてのことも少なくありません。
 たとえば、新聞社では「見出し」というものが、ここでは「タイトル」と呼びます。新聞社では原稿を編集センターに出すことを「出稿」と言いますが、ここでは「入稿」なのです。
 私の主たる仕事は、「言葉の広場」と「論考」の4ページです。メール、ファクス、郵便による投稿を1人で読み、選択し、原稿を作成。さらにデスクトップパブリッシング、つまりコンピュータでの誌面づくりまでやっています。
 投稿者のみなさんの編集者となり、やりとりをしながら原稿の完成度を高め、掲載へ。なかなかの充実感です。そして、ここだけの話ですが、実はこの担当ならではの「役得」も。それは投稿をきっかけに知り合った読者の方々から、自分が書いた記事についてのご感想やお励ましをいただくこと。新聞記者時代にはなかった「うれしい経験」です。(佐藤和雄)

▼神保町にいちご大福専門店がオープンしました。熊本のお店だそうで、売っているのはいちご大福オンリー。
 専門店だけあって、まず、いちごがすばらしいです。大きいです。一口では食べられないくらいの大きさで、甘みもちょうどいいです。熊本のブランドいちご使用とのことですが、このいちご1粒だけで、おそらく数百円するのではないでしょうか。スーパーの1パック398円(税別)のいちごとは、全然違います。
 そしてこのいちごを、包むのではなく、お餅でサンドするような形になっているのが特徴です。いちご大福あるある、食べるときぶにゅっとなって、結果、いちごとあんことお餅を別々に味わわざるを得ない問題は発生しないわけで、きれいに食べられます。
 お値段はちょっとお高め1個400円(税込)。なので、週末のお楽しみにときどき買う程度ですが、400円出す価値はあると思える大福です。月収約117万円のあの人なら毎日買えますね。特別職公務員っていいですね。(渡辺妙子)