週刊金曜日 編集後記

1309号

▼GoToトラベルもGoToイートも、何の恩恵にもあずからないまま空中分解状態となりました。東京都民じゃないけれど、ほぼ毎日東京に来ていてランチは東京で食べるわけだから、せめてGoToイートだけでも――と思っていたら、発売延期。
 唯一恩恵にあずかったのが、地元の自治体で売り出したプレミアム商品券です。1万円で1万3000円分の買い物ができるというものですが、それも日々の買い物で底をつきました。もっと買っておけばよかったー。
 総じて大きな得もしていないし、損もしていないわけで、GoToが先行き不透明になっても「そうですか」くらいの感想しかありませんが、「GoToトラベル方針転換によるキャンセル料は政府が負担する」なんてニュースを見ると、お金を使うべきはそこじゃないだろうと言いたいです。コロナで大変な思いをしている医療関係や生活困窮者のために使ってほしいと思うのは私だけではないはず。だってGoToトラベルもイートも、原資は税金でしょ? 自分が納めた税金がGoToのキャンセル料に使われるのは本当に解せないですよ。どうかしてるよ、ガースー。(渡辺妙子)

▼「コロナなので、県をまたぐ移動が制限されたりしているけど、それが何年も続いている私たちの日常」。日本での在留資格がなく、仮放免(収容を一時的に解く措置)で暮らす子どもと話していると、こんな話になった。仮放免者は、県をまたぐ移動をする際に「一時旅行許可」を所定の地方入国管理官署でもらわなければならない。そもそも著しくさまざまな権利が制限されており、就職もできなければ国民健康保険にも入れない。
 話をしていた子どもは、つい最近は、立ち上がれないほどに具合が悪くなり、吐いて熱もあるようだと連絡してきた。「熱を計ってみて」というと、「体温計を持ってない」という。コロナ禍ということもあるし具合が悪いのが続くのならば病院に行くのはどうかというと、「お母さんには具合が悪いこともいえない。どうせお金がなくて、病院もいけないから、心配かけたくない」という。具合が悪いことさえも隠して、一人で苦しまなければいけないその子は、まだたったの10歳だ。子どもだけでなく仮放免者は、国民健康保険がないので病院に行けない人が多い。さらにコロナで貧困の度合いが強まっている家庭もあり、事態は深刻化していると感じる。(渡部睦美)

▼「あれ、遅いなあ」月曜日、夕方になっても郵便物の配達がない。先週の金曜日、ネット通販大手が大規模なセールを行なったので物流が滞ったのか。加えて休み明けは郵便物が多いためか。翌日、状況を確認しようと配達局に電話したら、郵便物が多くて処理が遅れたのではなく、新型コロナの感染により月曜日は業務休止だったようだ。ほどなく郵便物は配達されたが、コロナ禍にあって日々の配達はたいへんだ。感謝したい。
 ところで、郵便といえば、郵便番号である。上2桁が00の札幌市から始まって99の山形で終わる。なぜ北から南ではないのか? このように巷にあふれる番号を考察したのが『番号は謎』(新潮新書)であった。番号には「欠番」というドラマもある。4、13は「忌み数」で欠番が多いそうだ。逆に好まれる番号もある。往々にして、7はラッキー7といわれ、三つ並ぶと儲かることも。また、7といえば、先週終了したドラマ「七人の秘書」だ。秘書たちが集うラーメン屋「萬」は実在した? 店構えが弊社のビルの並びにある中華料理店にそっくりだった。今日も漂う煮豚(おそらく)の匂い。ああラーメン食べたい。(原口広矢)

▼もうすぐクリスマス。子どもたちが毎年たのしみに待っているサンタクロースは、このコロナ禍のなかでも来られるのかな。心配になった8歳のモンティからの手紙に英ジョンソン首相は、確認のため北極に電話したところ「サンタは準備を終えて、今か今かと待ちわびている様子。ルドルフ(赤鼻のトナカイ)やほかのトナカイも同じ」、今年もサンタは英国にやってくると返事を書いたという。
 イタリアでも5歳の子どもからの手紙にコンテ首相は「サンタは世界中の子どもに贈り物を届ける許可証がある」「マスクを着け、自分とみんなを守るため、ちゃんと距離を取っているそうだ」と答え、EUにいたっては「サンタは子どもにプレゼントを届ける必要不可欠な労働者であり、コロナウイルス対策の移動制限から除外することでEU加盟国が合意した」などとツイッターに書き込んだ。
 さて日本にはサンタは来るのかな、菅首相。子どもからの手紙も記者からの質問もなかったのかもしれないが、サンタへの言及は今のところなし。ユーモアのセンスだけではなく、子ども観が違うのだろう。心配している日本の子どもたちが安心できるメッセージを発してもらいたい。(吉田亮子)