週刊金曜日 編集後記

1283号

▼「目のつけどころがシャープでしょ」のシャープはさすがに目のつけどころが鋭くて、マスクの販売を始めたところ注文が殺到した。すさまじい人気に「家電メーカーのシャープの最大のヒットはマスクになりそう」とシャープ自身が、つぶやくほどである。今は抽選販売になっている。私も応募したが、いまだ当たらず。それもそのはず、5月27日の第5回抽選の応募総数はなんと約799万人だったそうだ。当たるまで毎回自動的に抽選対象者になる。毎週抽選するので気長に待つとするか。
 巷では、品薄だったマスクがスーパーや薬局でみかけるようになった。5枚で500円前後と高値だが、手軽に買えてありがたい。仕事で立ち寄った日販でもマスクを販売していた、30枚、1300円なり。これはお買い得のはずだが、「布マスクを洗って何回も使うので1枚10円になるまでは買わない」と経理課員S。さすがである。そんな中、忘れた頃にアベノマスクが到着した。今更遅いわ。着払いで返品したいが、悪政の象徴として末代まで語り継ぐため、手元に置いておこうかな。マスク総理、もう辞めたら。(原口広矢)

▼今週号では、3・11後に福島県で行なわれている放射線教育の実態と、原発事故もみ消しの裏で"暗躍"する電通について特集した。ちょうど筆者の野池元基さんとゲラのやりとりをしている最中に、持続化給付金の手続き業務が一般社団法人サービスデザイン推進協議会から電通に749億円で再委託されたことがニュースに。
 情報公開制度で電通の仕事を追及する野池さんはこう言う。
「政府の給付金業務で電通とパソナの名前が出て、福島県伊達市で行なわれた『心の除染』や環境省の事業が思い浮かんだ。電通からパソナへ再委託、子会社を挟んでの再々委託が行なわれるパターンだ。そんな場合、契約書でパソナの名は隠され、再委託の金額は黒塗りされる。それでもたまに実態が見える。お手盛り、山分け......。給付金業務も同じではないか」
 野池さんの情報公開によると、人材派遣会社パソナは「東日本大震災に係る除染等に関する広報業務」の体制図でも電通とともに名前があがっていた。そもそも、最大200万円を支給されても苦しい企業が多いなか、この金額はいったい何なんだ。(吉田亮子)

▼グーグルフォト先生が時折知らせてくれる「××××年×月×日の思い出」。それを見ては、「××××年の今ごろは×××に行ったんだなーとか、そういえばこんなこともしたんだったとか、この旅行、本当に楽しかったなーとか、感慨しきり。ここ数年、GW明けは近所のバラの名所めぐりが楽しみで、グーグルフォト先生からも過去のバラ写真のお知らせを受けたんですが、今年はどこも行きませんでした。
 3月からこっち、楽しみにしていたコンサートや公演、ライブは全部中止になりました。残念だけど健康や平和があってこその娯楽、コロナが落ち着いたらいくらでも楽しめるさ、だから今はステイホーム──という思いで過ごしておりましたが、やっぱりつまらない。
 と思っていたら、私の好きなバンドが5月最後の日、オンラインコンサートをやってくれました! 待ちかねたぜ! PCの前でサイリウムを振り(笑)、一緒に歌っている(笑)うちにコンサート終了。1時間と短かったですが、とにかく感謝&感動。と同時に、やっぱり生で見たい! という思いがフツフツとわいてきたのでした。(渡辺妙子)

▼東京都は6月1日、休業要請などの緩和の段階を「ステップ2」に進めた。当初、小池百合子都知事はひとつでも都の指標を上回る場合は「東京アラート」を発動すると宣言していたのに、それを無視して進めた。3月には東京オリンピック開催のために「安心・安全」を吹聴し続け、オリンピック延期が決まった途端、厳しい「自粛」を強い、今度は「専門家からステップ移行は妥当との意見」があったとして緩和策を進めた。そして6月2日、感染者増で批判が高まると、東京アラート発令の検討を示唆した。都知事選前の人気取りでしかない。どこまで自分のさじ加減で進める気なのか。
 さまざまな業種が営業再開し始めたが、コロナ前の水準に戻れるわけではない。みなが口を揃えるのは、補償がまったく足りていないということ。最近のテレビ東京のドラマ「絶メシロード」で、後継者問題などで絶滅してしまいそうな絶品メシ(=絶メシ)が紹介されていたが、コロナ禍で閉店し、絶メシ化してしまった店は大量にある。これ以上、そんな店を出さないためにも、「感染防止策の徹底」のみを叫ぶのではなく、補償をきっちり考えるべきだ。(渡部睦美)