週刊金曜日 編集後記

1256号

▼2017年6月に成立した「テロ等準備罪」法は、「現代の治安維持法」とも言われる。
 本誌9月20日号の写真企画「赤い帽子」で、78年前の治安維持法のもとでおきた「生活図画事件」の現存者を取材した?橋健太郎さんの写真記事を掲載した。
 この事件の現存者である松本五郎さんと菱谷良一さんの絵画展が札幌市のギャラリー「北のモンパルナス」で11月5日(火)から12月21日(土)まで開催される。
「松本五郎・菱谷良一 『無二の親友展』」11時~18時(日・月・休日休館)。最寄り駅は地下鉄東西線琴似駅。入場無料。問合せ(TEL・011・302・3993)。展示期間中、「赤い帽子」が掲載された本誌9月20日号も販売される。ぜひギャラリーを訪れて、お2人が描いた絵を鑑賞してください。
 今週号の「田んぼの記」は、待ちに待った収穫なので、特別編として4ページで掲載しました(台風報道などのため10月25日号から移動)。基本的に毎月末の号で掲載する予定でしたが、11月の誌面が混んでいてページを確保できないため、次回の掲載は12月20日号となります。(本田政昭)

▼今週の「話の特集」は番外篇を組み"惜別 和田誠"としました。和田さんのイラストレーションを矢吹申彦さんに描いてもらい、写真は藤倉明治さんにご無理を言って探してもらいました。写真嫌いの和田さんなのです。
 矢崎泰久さんと作ってきた『話の特集』。16歳のとき本屋で見つけて、「なんじゃこりゃ!」とカルチャーショックうけてから読者に。84年に話の特集社に入り、95年に休刊。この11年間は会社としてもなかなか苦しかった時代。
 和田さんの真骨頂はパロディとギャグ。いま手元に77年刊行の『倫敦巴里』があります。目次を少しみただけでも、007贋作漫画集/殺しの手帖/雪国・またはノーベル賞をもらいましょう/ふとどき風土記/初夢ロードショー/オラオラオラ世界的に鼻血ブーだもんね......。
トンネルでたら ゆきぐにだったゆきのなかには うさぎがいてねどろのなかには うなぎがいる
 これは川端康成『雪国』の冒頭部分を、もし谷川俊太郎さんが書いたらという一部。何十人もの著名人の「雪国シリーズ」はその人の似顔絵とともに、パロディの古典になっている。(土井伸一郎)

▼私は、1995年に「話の特集」が本誌に引っ越ししてから以降が和田誠さんとのおつきあい。岩城宏之さんの「楽のとき」を担当することになり、毎回原稿をお送りし、イラストを描き下ろしていただいた。素材を探してと頼まれることもあり、働いている妹の写真をお渡ししたことも。今となっては妹よ、うらやましいぞ~。
 岩城さんの体調が悪くなってからは"お留守番"としてコラムを引き継ぎ、阿川佐和子さんや小室等さん、斎藤晴彦さん、佐山雅弘さん、野上照代さんと対談したり、ご自身が装丁した本の中から数行を紹介する「ほんの数行」の連載は100回まで続いた。交友の広さや知識の豊富さ、観客の一人になって対談を聞いたものです。
 困ったときに相談すると、「金曜日はお金ないでしょ。いいよ」と快く仕事を引き受けてくれた。助けていただいてばかりで、感謝しかない。本誌では「なまくらのれん」のイラストが最後。小室さんの意向を最優先に考え、仕事をしてくださった。タタッと軽快に階段を降り、はいよっとイラストを手渡してくれた、笑顔がすてきな和田さんでした。(吉田亮子)

▼先週号の「金曜日から」でもふれた徳井義実氏だが、各方面に影響が出始めている。出演番組「今夜くらべてみました」では、進行役の徳井氏がカットされナレーションになっていた。それにしても、税金未納は悪いが追徴分も含めて払っているのに叩かれすぎなのではないか。もっと悪い奴はいっぱいいるだろうに。ただ、本人が弁明したように先延ばしはよくない。そこは反省してもらいたい。
 かたや、弊社業務部員Hは、自他ともに認めるミスター先延ばしであり、あげくに忘れてしまうことも多い。「明日、健康診断でした」と突然思い出す。当日は朝食抜きで、「初めて」胃の検査を受けるという。翌日検査を終えて出社したH。発泡剤でげっぷしてしまい技師から「胃が膨らまない」(ので撮影できない)とたしなめられたとのこと。ならばげっぷするタイミングを教えてほしいと憤慨していた。「バリウムの味はどうだった?」と尋ねたらなんと飲んだことがあると判明。どうやら彼は二度目の胃の検査らしい。1年後の健康診断でHが「初めて」発泡剤のことを語ってくれると思うと今から楽しみだ。(原口広矢)