週刊金曜日 編集後記

1242号

▼『朝日新聞』の参院選企画で橋本健二早稲田大学教授のインタビューを読んだ。格差が拡大し階級社会になったという考察に興味を覚え、著書の『新・日本の階級社会』を買い求めようと昼休みに東京堂書店をのぞいたが見当たらず。続いて三省堂書店、書泉グランデに向かうも見当たらない。帰りに芳林堂書店高田馬場店にも寄った。講談社現代新書の棚の前に男性客2人、本を探しているようだ。お目当ての本は私と同じかな? 結局、入手できなかったが、他にも面白そうな本を発見した。ネット書店では味わえない出合いがあるから書店めぐりは楽しい。
 参院選の結果はすでに判明しているが、18日付『朝日新聞』の世論調査によると東京都内の政党支持率は自民25%、立憲10%、公明6%、共産4%、維新2%、国民民主1%、れいわ新選組1%だった。この結果を踏まえると改選数6の東京は自民2、立憲1、公明1、共産1で残り1議席がどうなるかだろう。全国的では野党統一候補がどこまで善戦するか、投票率も気になるところだ。せめて一矢報いてほしい。いや一矢どころか二矢でも三矢でも。本気で格差社会を是正してくれそうな候補に1票投じることにした。(原口広矢)

▼夏を前に髪をサッパリしようと先日、なじみの美容室に行った。髪を切る前のシャンプーを若いスタッフが担当したのだが、「ゴシゴシゴシゴシッ」とものすごい指圧で、頭皮を責め立てるように洗うではないか!! 自分が泥付きジャガイモにでもなった気分だ。手を動かす振動で体全体が揺さぶられ、全然落ち着かない。
「指の圧が強すぎる」と伝えたら少しマシになったが、今度はシャンプーの時間がやたらと長い。隣の台では、私より後に入った客がもうシャンプーを終えている。
 地獄のシャンプータイムからほうほうの体で生還し、ようやく調髪。ややブ然としつつも、担当の美容師さんに「今シャンプーをしてくれた人、やたら指の圧が強くて痛かった。一生けんめいなのは分かりますけど、髪を切った後のシャンプーは別の方にお願いしたいです」と話すと、「新人で慣れていなくてすみません。私がシャンプーしますので」と応じてくれてホッとした。
「プチ災難」だった今回の出来事だが、こちらの不満を「相手への要望」としてキチンと言葉で伝えることはできた。「上の者を出せ!!」とか叫ぶクレーマーにならずに済んでよかった。(斉藤円華)

▼参院選投開票日の7月21日に発信された「がんぺー」さんのツイートが話題になっている(23日13時現在で、いいね8・1万件)。
〈選挙のことで彼女と喧嘩までしたんだけどな、どこの政党を支持するとかって話じゃないんですわ。「わからないものはわからない」って言われたんです。学校で政治や選挙のことなんか教えられてないから、選挙に行けとか言われると上から目線に聞こえる、って言われたんですわ。〉
 今回の投票率は48・80%で、過去最低だった1995年の参院選(44・52%)以来24年ぶりに50%を下回った。参院選を扱うテレビ報道が低調(「朝日デジタル」7月19日によると、とりわけ「ニュース/報道」番組の減少が顕著で、前回から約3割減、民放だけなら約4割減)なのも一因と言われているが、そもそも「わからない」のならテレビも見ないだろう。
 私は今回、四つの政党の開票センターを取材した。れいわ新選組は唯一、支持者を招き入れ、幼い子どもを連れた若い人も多かった。山本太郎氏は若い世代にも「政治」を確実に届けている。
 上から目線でなく「政治」を伝える努力をしたい。衆議院選挙は近い。(伊田浩之)

▼月1回連載の「新龍中国」ですが、今回は初の試みとして、2本立てにしてみました。1本目は中国政府から弾圧を受け、今年4月に香港から台湾に移住した「銅鑼湾(コーズウェイベイ)書店」店長・林栄基(ラム・ウインゲイ)氏のインタビューです。2本目はマカオの若手民主派の紹介です。
 1本目の林氏の記事は、今、香港で起きている「逃亡犯条例」改正をめぐる混乱と大いに関係のある事柄です。落ち着くどころか、ますます先行きが見えなくなってしまった香港情勢、どうか最悪の事態だけは起きないように――と祈るばかりです。
 一方、香港と同じ「一国二制度」にありながら、あまり注目されることのないマカオ。そのマカオがどうなっているのかを紹介したのが2本目でございます。ぜひ2本ともお読みいただき、ご感想などお寄せいただけると幸甚です。
 ところで、お笑い芸人の宮迫博之氏と田村亮氏の会見があったり、参議院選挙があったりと、あわただしい週末でした。宮迫・田村両氏の会見と、週明けに行なわれた吉本興業社長の会見は対照的で、「覚悟」のある人間とない人間の違いを感じました。(渡辺妙子)