週刊金曜日 編集後記

1219号

▼暮れに入院していた最中、沖縄・辺野古への「土砂搬入」が強行された。病院で一人地団駄踏んでいたが、呆れたことに、テレビはこの"蛮行"をほとんど報じなかった。後日、病室に届いた本誌の最新号に、「土砂投入」がとりあげられているのを見て、「校了日」との関係でそれがどれだけタイトでキツイ作業かわかるだけに、自分が働く雑誌とは言え、「よく頑張ってくれた」と同僚に感謝した。
 小誌は定期購読中心ゆえ書店売上の割合は少ないが、毎号の書店販売率は営業から届く。その数字は特集テーマによって差があり、 "沖縄"がテーマのときには必ずしもよくないことがある。では、沖縄の記事はあまり載せないのか。
 もちろん逆だ。他メディアが扱わず、書店で伸びなくても、いや、だからこそ、圧殺されている沖縄の「声」を、ともに抗い続ける人びとの「姿」を、できるだけ伝えること。それが小誌の責務であり矜持と信じている。(山村清二)

▼幼児教育と保育の無償化を今年10月から実施するとし、安倍政権は高校と合わせて教育の無償化を看板政策の一つに掲げているがまたかと思う。財源は誰もが負担することになる消費税率の引き上げで増える分を充てるというのに、朝鮮学校の幼稚園は対象外の方向で調整しているというのだ。
「それでなくても、朝鮮学校の幼稚園は補助金がないので保護者の負担は大きい。ほかの幼稚園が無償化になったら、朝鮮学校に入れたくて子どもを通わせている保護者たちも、考えざるを得なくなるのではないか。朝鮮学校から子どもの数が減りそうで心配です」
 とは、ある朝鮮学校の関係者。現在、補助金を出しているわずかな自治体でさえも国の政策に合わせて、見直すことも考えられる。在日コリアンにこんな対応をし続けておいて、春から外国人労働者を受け入れるというのは、無理があるとしか言いようがない。(吉田亮子)

▼NHKの朝ドラ『まんぷく』。主人公の萬平さんのモデルは日清食品の創業者、安藤百福さん。台湾出身者であったことは、私が見る限りドラマでは一切触れられておらず、あくまでドラマ、フィクションなので文句は言えません。
 ところでこの時代、けっこう台湾出身の方が日本で起業していて、あの「551蓬莱」もそうですよね。「551蓬莱」の豚まんといえば、関西出張のお土産の定番。関東人にとっては憧れの品でございます。仕事終わってあとは新幹線に乗るだけ、しかも出発まで数分というときに、間に合うかな、大丈夫かなとドキドキしながら列に並び、ギリギリのタイミングで豚まんを購入し、新幹線に飛び乗る――というのは、みなさんご経験おありかと思います。
 数年前、創業者の方が亡くなったとき、在日華人向け新聞で「パオズ包んで2億円」という記事を見つけました。豚まんを包んで2億円の遺産を残したとのこと。すばらしい。(渡辺妙子)

▼当社は6月末決算です。上半期にあたる12月末までの概要を記します。ご承知の通り、この間、厳しい経費節減を実行した効果で、僅かながら営業利益をだすことができました。また読者の皆さまには多大なご迷惑をお掛けしておりますが、購読期間の変更により、定期購読の売上単価が上昇しています。実はここ数年、半期を終えた時点で既に赤字でした。少しずつではありますが、財務体質は改善に向かっています。ただ定期購読の部数自体は前年比マイナスです(1月25日号現在、1万3403部)。新しい読者の方からの、お申し込みのベースは上がっているのですが、一昨年末から昨年中盤にかけて実施した、大規模な販促の反動で、更新される方の割合が、やや減っている様子が窺えます。また書店販売は本誌に限らず、雑誌全体の販売実勢が年々厳しくなっており、当初予算から凹んでいます。どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。(町田明穂)