週刊金曜日 編集後記

1206号

▼「土地は命 基地は破滅」――。
「沖縄のガンジー」と称された故・阿波根昌鴻氏の活動の拠点であった伊江島にある資料館兼研修施設「ヌチドゥ(命こそ)タカラの家」の前には、このような看板が掲げられている。阿波根氏は戦後、伊江島を中心に米軍基地が拡大されていく中で、米軍による強制接収に抗い、土地の補償制度の確立などを求めた人物だ。
 伊江島は、9月30日に投開票された沖縄県知事選で当選した玉城デニー氏の母親の故郷でもあり、玉城氏は選挙の第一声をこの地で行なった。同氏は、辺野古新基地をめぐって、埋め立ての承認撤回をした故・翁長雄志前知事の遺志を継ぎ、今後も基地負担の軽減や子どもの貧困解消に向け取り組んでいくとしている。現在も沖縄、日本のみならず、世界に通底する「土地は命 基地は破滅」という言葉の重みを、新県知事の誕生とともに問い直したい。(渡部睦美)

▼低空飛行の任務を持つというオスプレイ5機が、10月1日、横田基地に正式配備されたことで、忘れていた記憶が甦った。それは十数年前のある日の夜、凄まじい爆音が住宅地の低空を覆いながら通り過ぎる機体を暗闇の中に探していた時の恐怖だった。すぐに自衛隊等に問い合わせた人もいたが、結局原因はわからずじまい。基地近くに住む身としては不安でたまらない出来事だった。
 今年1月には、沖縄県で普天間基地所属のAH1攻撃ヘリの不時着が相次いだ。政府は基地内への自衛官の派遣を米軍に申しいれたというが、いまだ拒否されたまま。地位協定を持つ、同じ第2次世界大戦の敗戦国であるドイツ・イタリアでは事があった時には米軍基地内に入ることができる。それを可能にしたのは「世論」だったと知り驚かされた。世論を受け止め、行動に移すことのできる政権を持った国民が羨ましい。(柳百合子)

▼週末を利用してソウルに行った。プライベート半分、仕事半分だ。行きは午前2時羽田発の仁川空港行き。缶ビールに機内食で睡魔に襲われ、そのまま眠ってしまった。目を覚ますと、もう間もなく着くというアナウンス。羽田から仁川まではたったの2時間半。のぞみで東京から新大阪に行く時間とほとんど変わらない。仁川空港に到着した時にはさすがに開いているお店もなく、ソウルの中心街へ行く列車も動いていない。灯りも最低限しかついていなかった。ベンチに座って仮眠をとった。
 爆睡してしまったようだ。2時間ほどたった頃、周りの喧噪で目が覚めた。空港が稼働し始めたのだ。カフェで朝食をとり、列車でソウル駅へ。3日間、取材に見学にと、めいっぱい動き回った。昼食は屋台でおでんなどを食べて済ませた。帰りもギリギリの飛行機で仁川から羽田に戻った。弾丸ツアーの取材結果は、後日誌面でお伝えします。(文聖姫)

▼「あて所に尋ねあたりません」。郵便物は何らかの理由で配達できないと差出人に戻されることになっています。小誌も定期購読の読者様にはゆうメールでお届けしているので、戻されることがあります。その場合は、転居されたかどうかご当人に確認し、転居されていたら送付先を変更し、再発送しています。よくあるケースは「転送」です。転送届を出せば転送してもらえますが1年過ぎると転送してもらえません。お心当たりがございましたら、ご連絡ください。
 郵便については、先般、土曜日の配達をやめるという報道がありました。ゆうパックは土日も配達しているので、ゆうメールも該当するのかどうか? 日本郵便は、与える影響を考慮してか、この件を公開していません。小誌の配送にもかかわってくることなので心配です。なお、次週11月2日号は3日が土曜休日のため通常より配達が遅れるかもしれません。謹んでお詫び申し上げます。(原口広矢)