週刊金曜日 編集後記

1201号

▼佐高信氏が今号の「新・政経外科」で引用している『市川房枝自伝』。1974年刊行の同書の中で、市川房枝は自らの国策協力についても語っている。戦中、国策に協力した多くの女性活動家が、戦後は沈黙を保った姿とは対照的ということは指摘しておくべきだろう。
 一方で、「『商品』のレベルに達していない」たとえにされた鈴木裕子氏の8月31日号記事は、「近代日本のフェミニズムと女性たちの抵抗から学ぶ」というタイトルが示すように、近代日本の女性たちが焦点で、戦後の市川について触れていないという佐高氏の批判は論点がズラされている。該当記事は市川の人物評ではないし、市川の国策協力についても触れている。戦争協力ということでは、女性よりはるかに男性が多いが、鈴木氏はこれまで女性の戦争協力の問題を積極的に取り扱ってきた。
 今後も「商品」についての批判は必要だが、編集委員と編集部がまずは顔を付きあわせて根本的問題については議論すべきと、一編集部員として思う。(渡部睦美)

▼風刺漫画家の橋本勝さんは、毎月9の日にイラストを送ってくる。憲法9条を守り生かしたいという思いからだ。本誌「投書」欄でも随時紹介している。そんな橋本さんが「9条のTシャツを着て街に出よう!!」と題して、Tシャツの図案を送ってきた。すてきなデザインだったので、8月10日号で紹介したところ、読者から「購入したい」というメールや電話をいただいた。投稿に「この9条Tシャツを沢山作りたいと思っています」と書かれていたからだろう。カラーペーパーアート作家のこいけけいこさんは、自身がデザインした「9条Tシャツ」の写真を送ってくれた。予想外の反響はうれしい。でも、すみません。これは橋本さんの願望を書いたもので、いまのところ作成する予定はありません。でも、橋本さんからは「ぜひ『週刊金曜日』で実現してほしい」と言われている。原画も送っていただいた。いまは弊社が大変な時期で、その余裕はないが、いつか実現したいと密かに思っている。(文聖姫)

▼年末調整の時、いつも、「寡婦」控除の言葉(男女平等で寡夫も)に違和感を感じます。その「寡婦」に、未婚のひとり親も来年度から含めるように、厚生労働省が財務省に要望するそうです。「寡婦」は『広辞苑』では、「夫と死別または離婚して再婚していない女。やもめ。未亡人」。未亡人は、本誌では原則使わない言葉ですが、「(まだ死なずにいる人の意で、本来は自称の語)夫と死別した女性。寡婦。ごけ。びぼうじん」。後家も本誌では原則使わない言葉ですが、「(1)夫に死別して、その家を守っている寡婦。やもめ。未亡人」。夫が死んだのに、まだ死なずに生きている女性です。
 未婚のひとり親が、死別の「寡婦」と同じ割合存在しているのに控除が受けられないのは不公平なのが理由です。婚姻の枠を崩す改定に自民党には反対が多いので、どうなるのかわからないとのこと。
 退職いたします。長い間ありがとうございました。別の形で勤め続けますので、今後ともよろしくお願いいたします。(樋口惠)

▼北海道胆振東部地震で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
 大阪北部地震、西日本を襲った大雨被害に大型台風の上陸。度重なる自然災害に言葉を失います。こうした災害が起きるたびのお願いごとになりますが、一部の地域で郵便の配達事情が悪くなっているようです。定期購読のお届け先に変更等がございましたら、業務部宛にご連絡をいただければ幸いです。当社で一時お預かりして後日まとめてお送りすることも可能です。この他ご不明点がございましたらお問い合わせください。大変な状況のなかお手を煩わせることになりますが、よろしくお願いいたします。どうか一日でも早く日常を取り戻せますように。
 右欄でお知らせの通り、10月28日に「創刊25周年集会」を開催いたします。詳細は追ってとなりますが"出版危機"が進行するなかでも本誌の灯を消さぬよう、今後の『週刊金曜日』の行く末を示す集いができればと考えています。(町田明穂)