週刊金曜日 編集後記

1190号

▼沖縄は6月23日、「慰霊の日」を迎えた。複数の資料によると、沖縄戦での死亡者数は推計20万656人で、そのうち住民は約半数の9万4000人にも上る。ただ、ここには沖縄の八重山諸島での戦争マラリア犠牲者や、餓死者は含まれていないという。八重山では、軍命によって住民がマラリア有病地帯に強制疎開を余儀なくされ、3600人余りが絶命した。日本軍による食料強奪や、性暴力が横行した史実もある。以前、住民に話を聞いた際、「日常の隅々に戦争の爪痕や、現在進行形の戦争が横たわっている」と語っていた。
 翁長雄志県知事は23日、沖縄全戦没者追悼式で、「新基地建設については、沖縄の基地負担軽減に逆行しているばかりではなく、アジアの緊張緩和の流れにも逆行している」などと訴えた。辺野古をはじめ、奄美大島や宮古・八重山諸島では、自衛隊配備問題も深刻だ。朝鮮半島情勢が急速な変化をたどる中で、日本が過去の戦争責任から目を背けるように、軍備強化を続ける状況には、危機感が募るばかりだ。(渡部睦美)

▼今年は、カール・マルクス生誕200年。旧ソ連や東欧諸国の共産主義体制が崩壊したことで、むき出しの資本主義が荒れ狂うようになりました。直近で言えば、安倍政権が今国会で成立を強行しようとしている「働き方改革関連法案」です。「残業代ゼロ法案」「定額働かせ放題」など強い批判が出るのは当然。まるでマルクスの時代に戻ったかのようです。
 こういったときこそ、マルクスの主著『資本論』を学ぶことが大切です。弊社では、鎌倉孝夫さんと佐藤優さんを講師に『資本論』を読み解く集中講座(8月3日間・9月3日間の全6回)を開き、『資本論』第1巻をわかりやすく読み解きます。募集の詳細は7月6日号に掲載しますが、弊社公式サイト「お知らせ」には既に掲載しています。インターネットでの申し込みや、クレジットカード・ATM・コンビニなどからのお支払いも可能です。募集は先着70人。成果至上主義に疲れ切っている社会人や、将来が不安でたまらない学生のみなさまなど、多くのご参加をお待ちしております。(伊田浩之)

▼今、ちまたを騒がせている朝ドラ『半分、青い。』。はまる要素はいろいろありますが、私が注目しているのが、トヨエツ演じる秋風羽織のモデル(?)とされているくらもちふさこでございます。
 当時、少女マンガは『りぼん』や『マーガレット』などの勢力に分かれておりました。私は『りぼん』派で、陸奥A子や田渕由美子が大好きでした(年がばれる)。そのため、主に『マーガレット』で描いていたくらもちふさこの熱心なファンだったかというと......(すみません)。でも『半分、青い。』で秋風羽織の作業場に飾られているくらもちふさこの絵を見た瞬間「!」、もってかれました――。
 最近、このころの漫画家さんが再評価され、当時の作品を集めた作品集が刊行されていたりします。「ああ、この作品読んだ、読んだ」と再体験したり、「これ読んでいないやー」なんてやっていると、ピュア(?)だった当時の自分を思い出したりなんかして(テヘペロ)。(渡辺妙子)

▼大阪北部を襲った地震から10日あまりが経ちました。被災された皆さまには心からのお見舞いを申し上げます。現在も余震が続き不安なお気持ちで毎日を過ごされていることと存じます。こうしたなか定期購読のお届け先に変更等がございましたら誠に恐縮ではございますが、業務部宛にご連絡をいただければ幸いです。また当社で一時お預かりして、後日まとめてお送りすることも可能です。どうぞよろしくお願いいたします。
 さて裏表紙に掲載の『新装版 電通の正体』が発売となりました。2006年発刊の『電通の正体 増補版』は8刷まで版を重ねましたが、ここ数年は在庫僅少のため「品切れ扱い」としています。ただ初版から12年が過ぎた現在でも問い合わせは続いていたので、書店からの返品が発生するたびに改装を施しながら少しずつ出荷を続けてきました。そして市場在庫もほぼ出尽くし完全に品切れ状態。今回の"新装版"は再版の声に応え、装いをあらたにして前作に加筆したものです。(町田明穂)