週刊金曜日 編集後記

1187号

▼米朝会談の行方はなお不透明だが、東アジアの平和へ向かうこの間の劇的な進展に、南北分断に責任のある日本の政権やメディアが、いまだに懐疑的な発信ばかり続けることにはただ呆れるしかない。南北融和に大きく貢献している文在寅政権への低評価も同様だ。
「運動圏の人にもアジアへの上から目線が染み付いている」──韓国の民主主義運動や市民運動と交流する方から聞いた言葉である。ヨーロッパ諸国や米国などの運動に学ぶことには熱心だが、アジアの近隣諸国、とりわけ、韓国の長い民主化運動の歴史になぜかほとんど学ぼうとしない。隣国蔑視は、決してネトウヨなどの「嫌韓派」だけではないのかもしれない。
 韓国の運動の先進性をぜひ本誌で紹介してほしい、との要望は、昨年秋の編集委員との懇談会で、ご自身も度々韓国を訪問、市民と交流している宇都宮健児さんや雨宮処凛さんから出たものだった。今回ようやく特集できたとは言え、紙幅の関係もあって、掲載できたのはまだまだほんの一部に過ぎない。今後も断続的に紹介できればと思う。(山村清二)

▼「週刊金曜日オンライン」を3月に立ち上げて、インターネットユーザー向けの独自ニュースも配信し始めている。サイトに設置した記事ランキングを見ると定期購読者ではない世間一般の読者の関心も知ることができる。最近、目立つ話題は再春館製薬所バドミントン部移籍問題、電通の株主総会、日本大学・田中英壽理事長などだ。いずれも話題の固有名詞が見出しに含まれている。ちなみに電通についてはロングセラーの『電通の正体』に新たな記事を加えた『新装版 電通の正体』を6月末に発刊する予定である。
 また第一生命が海外石炭火力に投資しない理由も配信した。投資はインベストメントだが、近年「ダイベストメント」という言葉がある。これは「投資撤退」「投資排除」を意味する。二酸化炭素を排出する石炭火力発電、飛行機、社会コストを増加させるタバコ産業などには倫理やイデオロギーではなく将来収益の問題から投資をしないと判断もされる。日本の政治や政策にもこのような評価がなされるべきだろう。(平井康嗣)

▼先日、伊丹空港(大阪国際空港、大阪府豊中市ほか)南端の「千里川土手」に行ってきた。
 ここは滑走路の端から数十メートルしか離れていない。着陸する旅客機の航過を間近に観察できる、国内有数のスポットなのだ。ヒコーキ好きの筆者としては、かねてより訪れたいと思っていた。
「シュッ」。遠かった飛行機が見る見る大きくなり、一瞬で真上を通過。少し間をおいてブワッと風が流れる。数十メートル上を飛んでいたはずだが、機体が大きいので頭上スレスレに感じる。脚立に望遠レンズを構えた撮影マニアはもとより、親子連れや散歩、サイクリング途中と思しき人など、ギャラリーも多い。
「イルカ姿のプロペラ機は天草エアライン。1日1便で~す」「間もなく『西郷どんジェット』が来ま~す」。常連さんが飛来機をアナウンスしてくれるのも楽しい。
 ところで、この場所から飛行機の進入路にそって2キロメートルほど南東に「瑞穂の國記念小學院」がある。数年後にはアベ政治のひどさを後世に伝える歴史スポットになっている?(斉藤円華)

▼春ドラマもいよいよ佳境。一番の楽しみは『シグナル 長期未解決事件捜査班』。もとは韓国のドラマみたいですが、こちらもよく出来ていると思います。過去と無線機でつながるという超常現象、しかもその通信の結果、現在が変わるというあり得ないことを受け入れられる、そして変わることを心待ちにさせるクオリティです。死者よ全て生き返れと念じつつ。
『モンテ・クリスト伯』はキャスト以外あまり期待していなかったけれど、ドキドキしながら視聴中。幸い原作を覚えていないので、これからも予想外の展開に期待大。ダークな部分が多すぎるために、幸せにはなれないだろうけど、冷たいディーンさんも素敵です。
『ミスデビル』、自らに大企業経験がないからかストーリーのすっきり感はピンと来ないけど、菜々緒のハイキックには痺れます。木村佳乃との衣装黒白対決は白に軍配。その他の刑事ドラマと医療ドラマもなんとなく見てるけど、そろそろファンタジックなドラマも見たいなぁ、来シーズンあたり。待ってます。(志水邦江)