週刊金曜日 編集後記

1185号

▼2012年9月、沖縄へのオスプレイ初飛来に反対し、市民らが米軍普天間飛行場の全ゲートを封鎖しました。第1ゲート(大山ゲート)前で座り込んだ人びとが歌っていたのが、米国のプロテストソングや、「てぃんさぐぬ花」など沖縄の島唄です。「てぃんさぐ」は鳳仙花のこと。「鳳仙花の汁で爪先を染めるように、親の教えで心を染めよ」という教訓歌がなぜ選ばれるのか当時はわかりませんでしたが、誠実さや情け深くあることの大切さを説いている唄だと知りました。
 今年3月から始まった「シリーズ沖縄」の2回目は沖縄の島唄です。沖縄の現状を考えるとき、海兵隊など在日米軍のあり方や基地被害、地位協定はもちろん大切です。さらに文化を知ることで、理解が進むのではないかと思います。もちろん文化ですから、選曲などでも好き嫌いは分かれるかもしれません。「異論!反論!OBJECTION」がありましたら投書などでお寄せください。(伊田浩之)

▼アメフトのラフプレー事件。もとい、これだと「麻生の暴言」を「麻生節」と表現することで事を矮小化してしまうのと相似形なので、「アメフトの驚愕暴行事件」。
 プレー自体も信じ難いが、もっと信じ難いのは日大の監督の振る舞い。中でも個人的には、謝罪会見で相手の大学の名前を「かんさいがくいん」と何度も間違えたことに呆れた。自分がそうだからわかるが、「変わった名前」な人はそういう相手の態度に敏感だ。わざと間違える人。本人を前にわざわざ言いにくそうに発音してみせる人。ブットバシたくなる(笑)。百歩譲ってうっかりならまだしも、歴史ある定期戦の相手の名前をうっかり、なんてあるわけない。
 疑惑から逃げ回りつつときどき変な暴言で「反撃」さえしてくる政権の人たちと、まさに相似形。
「たるんじゃったな、みんな」
 要はそういうことか。伝えられた岸井成格さんの病床での言葉が的確すぎて、重い。(小長光哲郎)

▼パレスチナ問題を中心に扱った名作『ハイファに戻って 太陽の男たち』(河出書房新社)。6年前に出会い、以来、何度も読み返している。七つの短・中編で構成されている本書には、「悲しいオレンジの実る土地」という作品があるのだが、こんな台詞が書かれている。「オレンジは、その水加減をする手が変わると、枯れるのだ」。
 7年前、パレスチナ難民キャンプで生まれ育った青年と、祖父母が追われた先祖代々が暮らした土地を探したことがある。彼が別件でイスラエル訪問の許可がおりたときに実行したのだ。確実な場所は分からなかったが、おそらくこの一帯だろうと思われた土地の一部にオレンジ畑があった。祖父母からは、瑞々しいオレンジがとれる村だったと聞いていたそうだ。彼はオレンジを手にすると「乾いてしまっているよ」とつぶやいた。
 今、あの時よりも、あの一言の意味が重くのしかかる。その手助けになった本である。(市川瞳)

▼縁あってこの出版業に携わるようになったのは、ちょうど30年前の5月のこと。中小企業向けの直販雑誌や法令集を販売する営業担当として採用された。雑居ビル内の金融業や下町の町工場、新宿高層ビルの大企業まで、アポ無しであらゆる会社に飛び込んだ。辛い仕事であったが、頑張れば雑誌は右肩あがりで部数が伸びた。まだ出版に夢を持つことが可能な時代であった。
「出版科学研究所」によると2017年の出版物推定販売金額は1兆3701億円。13年連続で前年を下回り、特に雑誌は前年比10・8%減と過去最大のマイナス。さらに今年四半期の実績は前年を上回る勢いのマイナス幅だ。
 当社は6月末に決算を迎える。すでに厳しい数字が予測されているが、状況に苦慮しつつもファイティングポーズは取り続ける。史上最悪の安倍政権が続くなか『週刊金曜日』の役目を終えるわけにはいかない。(町田明穂)