週刊金曜日 編集後記

1155号

▼憲法改正「賛成」、集団的自衛権の行使「容認」、消費税「引き上げるべき」、原発「再稼働すべき」、辺野古基地建設「賛成」。これは2012年の衆院選挙に自民党から出馬した小池百合子・現東京都知事が全国紙のアンケートに回答した内容だ。こんな回答もある。中国に「強い態度で臨むべき」、核武装「国際情勢によっては検討すべき」。これらの「希望」を叶えるのが「希望の党」代表の政治理念らしい。安倍自民党と変わらない。多くの人にとってこれは「希望」ではなく「絶望」だろう。
 今回の選挙用に「原発ゼロ」「消費税凍結」と言っているが、ならば、大株主である東京都の知事として東京電力に柏崎刈羽の原発再稼働はやめろと言えばいい。民進党は「名を捨てて実を取る」として、改憲・核武装を「希望」する代表の党と合流するという。支持者への裏切りではないか。多くの人の「希望」は国政私物化疑惑を解明し、平和主義や立憲主義を壊すあらゆるアベ的なものからの転換のはずだ。(片岡伸行)

▼大混乱の政局。いろいろ多すぎるツッコミどころや違和感の中で一つ。百合子サマを批判する数少ない政治家や言論人でも、その「政治家としての能力」については、褒める人がやたらと多いことだ。
「稀代のギャンブラー」「勝負師として一流」「度胸があるネ」「勘がいい」「凄みがある」......etc.
 いやいや(笑)。そんな能力、私ら有権者には何の関係もないから。「元キャスターだから、メディアの扱いを熟知してる」とか。ミョーな褒め方をするごとに、皆がその気になっていき、虚像が膨らむ。そして訳もわからないまま「小池さん=凄い人」とひれ伏す。
 有権者もフラフラ騙されすぎでしょ。小泉の「郵政改革」「ぶっ壊す」に簡単になびき、今度は百合子サマの「改革」「リセット」に喝采する。どうしてこう「改革」という言葉に弱いのか。「私たちは主権者教育に失敗したのだ」という誰かの嘆きに、それいま言っても仕方ないと反発しつつ、そうかもね、とは思う。(小長光哲郎)

▼本誌のおしりにある「きんようびのはらっぱで」は、開催内容と電話番号を確認するため、主催者まで連絡させてもらっている。
 番号間違いや、急な中止に対応するためなのだが、毎週30件ほどあるので、不在時や出られないときは留守電設定にしてもらえたら助かりますというお願い。
 1回目の電話で相手の生の声が聞こえると、内心「よっしゃ」と思う。直接の「声」は、相手の人となりや感情を聴覚だけで想像させ、顔が見えないだけにイメージはいろいろと広がる。
 凜とした福山学習講座の伊藤さん、意志の強さとユーモアを感じるのは、庶民史を語る会の柴田正己さんと、違憲訴訟の長坂伝八さん。声が渋いのは何といっても「宮前九条の会」Wさん。東京琉球館の女性の方は明るく朗らかで電話するのが楽しみな場所のひとつ。
 オレは多分、相手からは、すごく真面目そうな人に思われている。(土井伸一郎)

▼朝夕めっきり冷え込んできたが選挙戦も寒々としてきた。仮にも一度は政権を担った党が、海のものとも山のものともわからない新党に吸収され解党の危機にある。自ら公認せずに、新党に公認を委ねるというのは理解に苦しむ。これでは、もはや党としてのたたかいを放棄しているとしか思えない。野党4党合意はどうした?。
 9月28日付の『朝日新聞』の世論調査によると比例区の投票先が自民党32%、希望の党13%、民進党8%で、無党派層では、希望の党が17%で自民党の13%を上回った、とあった。希望の党が投票動向を左右するのは明らかなようだ。党勢が回復しない民進党。思惑通り名を捨て実を取れるかどうか。それとも政界再編の序章か。
 ところで、台風の影響か九州でカメムシが大量発生して一面緑色になった。衆院選も緑色の風が吹き荒れてしまうのか。自民党と「緑のたぬき」の希望の党、どちらが勝っても改憲は進む。同じ穴のムジナに騙されてはいけない。何としても改憲阻止だ。(原口広矢)