週刊金曜日 編集後記

1154号

▼不倫、不倫、不倫......!!! 今週号でインタビューしているリリー・フランキーさんの言う通り、最近のメディアは「人んちの米びつの隅つつく」報道で溢れかえっている。つづけてリリーさんは「そのことを記事にしている編集者も探偵もライターも不倫しているんじゃないの?」と語ったが激しく同意。あるとき、リリーさんが某スポーツ新聞の記者に「そのカオスをどういう風に思ってるか」と尋ねたら、「いや、そんなこと考えたら仕事できないから」と返されたという。
 一方、9月末で「スッキリ!!」のコメンテーターを降板する宇野常寛さん。ツイッターでの「『いま、こいつは叩いてOK』という空気に乗っかってしかものを言えない奴が、いまいちばんこの国を窮屈に、卑しくしていると思う」という言葉にも激しく同意。不倫報道の根底にもつながる。
 なんでこんなに息苦しい世の中になったのか。稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんが開設した動画の言葉を借りれば「塗り替えていこう」「さあ、風通しよくいこう」。(赤岩友香)

▼今週号を手にされた方はラッキー(なはず)です。この9月はカール・マルクスの主著『資本論』の第1巻発刊150年なのに、『資本論』の特集記事を他の一般誌ではほとんど見かけないからです。
 ソ連の崩壊に衝撃を受けた方は、たしかに多かったのだと思います。でも、本誌で白井聡さんが指摘しているように「なぜソ連が崩壊した程度のことで、マルクスの資本主義分析の正当性が疑われないといけないのでしょうか」(27ページ参照)。不思議です。
 新自由主義の猛威が吹き荒れているいま、『資本論』を学ぶ意味はますます大きくなっています。小社刊『はじめてのマルクス』(鎌倉孝夫、佐藤優著)は2013年11月の発行ですが、いまも売れ続けています。
 おかげさまで、続刊的な位置づけとなる『21世紀に「資本論」をどう生かすか』を出版することになりました。鎌倉孝夫さんと佐藤優さんによる3回の講義をまとめた、充実した内容です。こちらは10月に書店に並ぶ予定です。安倍政権に対抗するために手にとっていただければ幸いです。(伊田浩之)

▼小池百合子氏が「都民ファーストの会」代表を辞任(現在は特別顧問)してから数カ月しか経っていないのに、今度は新党「希望の党」の代表に就任した。新党に合流しているのは「小池人気」にあやかりたい烏合の衆で、都議選のときのように自民党批判票の受け皿になるとも思えない顔ぶれだが、とくに内閣府副大臣を辞職した福田峰之氏は、マイナンバーカード普及の先頭に立ち、制度開始前には雑誌のインタビューで「私は自分の番号が入ったTシャツを作ろうと思っている。番号を知られても問題がないということを、自ら実践する」と豪語(後に発言を撤回)していた無責任な人物だ。
 そもそも新党結成を引っ張ってきた若狭勝氏は、昨年の東京10区の補欠選挙において「ぶれず、ひるまず、正論」とのキャッチコピーで立候補し、対する民進党の候補者が「大塚生まれ、池袋育ち、練馬大好き」というさらに低レベルのキャッチコピーだったので、「小池人気」のもと圧勝しただけの人物である。「希望」どころか「絶望」を感じさせられる。(渡部睦美)

▼季節は変わり秋ドラマスタートです。の前に夏ドラマの感想。一番面白かったのは「僕たちがやりました」。9時枠にはちょっときつい内容だったとは思うけれど、いい具合に予想を裏切ってくれる展開と結末でした。仲間の資金を奪っての優雅な逃亡生活からの悠々自適ライフのマル君という「カルテット」での吉岡里帆を彷彿とさせる存在があって、より面白くなっていたと思います。"僕たち"それぞれの結末から、視る側が好みの結末選んで気持ちを納められる終わり方もなかなか良かった。界隈では私1人がはまっていた「ウチの夫は仕事ができない」。デキル夫のいる生活を求めないカップルがもっと浸透して欲しい。の前に、お荷物社員(=ニモちゃん)や窓際社員も生息できる社会が必要か。スペシャルで育休編を是非お願いします。「愛してたって、秘密はある」はフールーまではおつきあい出来ずスミマセン。
 秋ドラマは一生くんに、クドカンに、デーモンに、ディーン様。他にも気になるドラマばかりで、すでに満腹感。(志水邦江)