週刊金曜日 編集後記

1142号

▼『読売新聞』特集では、現役の同紙記者に問題を語ってもらう匿名座談会の企画もあった。だが、いまの読売新聞社は、自社に都合の悪いことを発言した人への「犯人捜し」が徹底しているのだという。具体的な事例を挙げるほど、内容から誰が発言したのかがわかって記者職からはずされてしまう可能性もあるとのこと。こちらとしても心ある記者の将来を奪うのは申し訳ないので断念した。
 以前、『読売』系列の地方紙記者が、「記事に少しでも護憲のにおいがあると載らない」と嘆いていた。ボツにされた原稿を見せてもらったが、「これのどこが護憲?」と思うような「中立」的内容で、これでボツとは、と驚いた。その後、その優秀な記者は辞職。「言論統制」体質では良質な記者は少なくなっていく。 
 大手町にそびえる東京本社ビルは立派で、高層階の眺望は素晴らしいだろう。ただ記者としては、高い位置からの上から目線より、地面をはって歩く視点こそが必要なのではあるまいか。(宮本有紀)

▼加計学園の獣医学部新設に「総理の意向」があったことは濃厚だ。これは内閣府ぐるみの権力犯罪疑惑である。疑惑が浮上すると口先で否定し、具体的に追及されると「証拠を出せ」と開き直り、証拠が(文部科学省内から)出ると「記憶にない」とシラを切り、具体的な日付や個人メールが示されると突然記憶が蘇って否定し、職員のせいにして逃げる。森友学園疑惑も同様で、結局、安倍昭恵氏は逃げ隠れしたまま。これほど卑怯で恥知らずな政権は前代未聞だ。
 さらにデタラメなのは、「1校に限る」と限定しておきながら、選定プロセスに合理的説明ができないと見るや、「今治市以外にも獣医学部新設を認める」(6月24日、安倍晋三首相)などと矛盾したことを言い出す。東京都議選の真っ最中だが、こんな男をトップにもつ自民党と、それと連立を組む公明党に議席を与えたら、都議会も国の縮小版になってしまう。「もり、かけ、つきじ」に共通する"利権隠蔽政治"を、まずは首都から一掃すべきだ。(片岡伸行)

▼自民党のブレーキ役どころかアクセル役になっている公明党。その支持母体である創価学会本部前で6月18日、共謀罪強行採決に異を唱える現役の学会員らがサイレントアピールを行なった。主催は『実名告発創価学会』(弊社刊)の執筆者である野口裕介さん、滝川清志さん、小平秀一さんたちだ。
 安保法制の強行採決など、真に平和を願う学会員たちから見れば、どんどんおかしな状況になっており、サイレントアピールの参加人数は徐々に増えてきている。参議院での金田勝年法務大臣の問責決議案で、「(金田大臣は)誠実かつ 真摯な答弁を行うなど国民のために尽くしてこられました」などと述べた公明党の佐々木さやか参議院議員。サイレントアピールの参加者からは彼女について「情けない」という声が多数聞かれた。
 学会員にとって、「公明党の支援、すなわち選挙活動=信仰活動」になっているという。その活動の先に一体何がなされてきたのか。一人でも多くの学会員に考えてほしいと願っている。(赤岩友香)

▼一括りに「大人」は大雑把すぎやしないか。市販の頭痛薬の使用上の注意、用法を読みながらふと思う。6歳までが乳幼児、7歳から14歳までが小児、15歳以上が大人というのが基本的な区分らしい。高校生も高齢者も同じ大人。男性も女性も同じで他に薬を併用しようがしまいが同じ「大人」という区分だ。これはなにも市販薬に限った話ではない。医者に処方される薬もそう大差ない。勧められるのは、その病状ごとに不特定多数を対象に開発されたもの。「様々な薬を服用しているメタボ気味の30歳男性用の頭痛薬」など存在しない。「今の自分に本当に必要な薬は?」「その最適な量は?」「副作用は?」「他の薬との相互作用は?」等、自分の身を守るには、薬に対して正確な知識を持つことが大切だ。製薬会社からの多額の寄付や援助で成り立つ「日本の医学界」の情報をすべて鵜呑みにするわけにはいかない。だから私は手前味噌で恐縮だが、『ひとめでわかる のんではいけない薬大事典』(浜六郎著)を読む。(尹史承)