週刊金曜日 編集後記

1140号

▼本欄執筆の6月13日時点において、共謀罪の内容を含む組織的犯罪処罰法改正案の参議院での審議が佳境を迎えている。この組織的犯罪処罰法が成立したのは1999年。当時、同法は通信傍受法(盗聴法)、刑訴法改正と並び組織的犯罪対策3法案の一つとして、「マネロン規制法」という俗称で呼ばれることが多かった。組織犯罪集団の資金洗浄(マネーロンダリング)規制が主眼だったからだ。
 99年当時の反対運動は盗聴法が中心であり、一般市民や多くのメディアも2015年の「戦争法」成立時と同じくらい大々的に反対した。その結果、かろうじて盗聴法には歯止めがかかり、通信傍受には裁判所による令状審査はもとより通信事業者の立ち会いが義務化された。しかし、その盗聴法も16年5月の通常国会で拡大改悪され、業者の立ち会い義務規定も排除された。今回の共謀罪は、大臣すらも理解できない状況で審議不十分は明らか。しかもろくに歯止めもかからぬまま成立しようとしている。共謀罪法案に反対するのは当然だ。(平井康嗣)

▼今週号から連載「朝鮮学校〈ウリハッキョ〉という権利」がはじまった。筆者の中村一成さんは今年2月、東京朝鮮高校生裁判を支援する会の総会で次のように講演した(『ヨンピル通信』第13号)。
「民間による民間への攻撃に対しては、人種差別撤廃条約などを援用しながら勝訴を導く流れが定着してきた。あとは『公』をどうするかが大本です。京都で学校に襲撃にきた人たちがトランジスタメガホンを使ってぶちまけていたことは、立法府や行政府の人たちがやっていることと同じなのです」
 私たちは直接的な差別のほうがよりヒドいと、どこか勘違いをしていないか。2009年の京都朝鮮学校襲撃事件の映像を見たとき、「在特会」のメンバーらによる怒号とレイシズムに子どもたちがどれほど恐怖を感じ、傷ついたかを思ったが、高校無償化から朝鮮学校が排除されていることは形こそ違うが本質は同じなのだ。
 次回は襲撃を受けた京都での取り組みの予定です。お楽しみに。(吉田亮子)

▼先月だったか先々月だったか、ドアに指をはさんで爪に血豆ができてしまった。ずっと1本だけ爪が真っ黒で、血豆のネイル状態だったが、最近、その血豆ネイルが徐々にかけ始め、下から新しい爪が顔をのぞかせ始めた。おお、これが再生というものなのか、なんとすばらしい、人体の神秘だなあと、日々、感動している(かなり大げさ)。
 再生といえば、東日本大震災以後、被災地や日本の再生が声高々とうたわれてきたが、今の政治を見ていると、再生どころか"再現"ばかりなような気がする。「もりかけ」のようなことは、安倍のみならず、これまでも行なわれてきたことなのだろうし、既視感ありありだ。でも今回は、将来、また同じような事件が再現されることを許すのか、あるいは再生につながるのかは、有権者にかかっているのではないだろうか。
 というようなことを、わが爪を見ながらつらつら考えてみました。早くきれいな爪にならないかな~。(渡辺妙子)

▼内閣官房と地方自治体による弾道ミサイル避難訓練が秋田県、山口県、山形県などで行なわれた。韓国ですら避難訓練は行なわれていない。まして標的になりそうな目標もない地域で訓練をやる意味とは、危機を煽るプロパガンダ以外のなにものでもない。ネットニュースで流れた訓練の写真は戦時中の防空訓練のプロパガンダ写真そっくり。避難訓練を疑問視する声に投げつけられる言葉には「非国民」と言わんばかりのものまであり、恐怖の利用目的が垣間見える。煽られる恐怖には煽る目的が奈辺にあるのか見通し、指摘する声をあげ続けることが必要だろう。
 6月3日の全国紙などに「沖縄意見広告」による辺野古埋め立て工事即時中止を求める意見広告が掲載されました。その報告集会が、関東は6月18日14時から千代田区永田町の星陵会館で、関西は6月24日の18時から大阪市中央区のエルおおさかで開かれます。本誌も協賛しています。安次富浩さん(関東)、山城博治さん(関西)の現地報告もあります。(原田成人)