週刊金曜日 編集後記

1072号

▼新聞の首相動静を一応気にしている。会食やゴルフはさておいて、不思議に思うのが、東京都内でのホテル宿泊。ストーカーをしているわけではないが、以前、渋谷の首相宅を通りかかったことがある。渋谷の閑静な住宅街にあり、すこぶる便利なところだ。仕事柄、遅くまでホテルで人と逢うというのはわかるが、自宅に帰れるのに帰らないというのが不思議なのだ。もちろん他人様がどういう生活を送ろうとかまわないが、こういう方に"(庶民の)生活感"を求めること自体が無理というもの。
 民主党の山井和則衆議院議員が予算委員会で、パートの増加や一人あたりの賃金の低下を指摘した際の安倍首相の答弁。「え〜私と妻。妻は働いていなかったけれども、『景気はそろそろ本格的に良くなっていくからそろそろ働こうかしら』と思ったら......わが家の収入は妻が25万円で私が50万円で75万円にふえるわけでございますから」。景気が改善するから働こうと考える人って、実におもしろい例だ。来週号の社会保障特集で、数字自体のおかしさも指摘する予定だ。 (小林和子)

▼東日本大震災の時のあの緊急地震速報! 電子音がなるたび、何度身をすくめたことだろう! いまでは思い出すことも少なくなってしまっている現実。福島第一原発の事後処理も先の見通しもないというのに、原発再稼働に突き進んでいる安倍政権。そんな社会に警鐘を鳴らすべく一冊の小説が昨年8月に出版された。それは北野慶さんの『亡国記』(現代書館)。
「2017年4月1日、南海トラフ巨大地震が発生し、静岡県の島岡原発が大爆発した。100キロ圏内の人間や動植物は死滅したうえ、本州と四国は高濃度汚染ですめなくなる。首相と閣僚らは放射能を逃れるため、真っ先に『臨時政府』と称して札幌へ逃げ国家機能も停止する。福島原発事故で京都に移住していた親子も命がけで西へ西へと国外へ避難するなど1000万人が難民と化した」
 あまりにもリアルすぎて、これはまさしく明日の日本の姿ではないのかと錯覚するほど。安倍政権は原発再稼働で「日本」を地図から消してしまうのではないかという不安さえよぎった。 (柳百合子)

▼家族ぐるみの付き合いをしていた方が不慮の事故で亡くなり、暮れも押し詰まった12月26日の通夜に参列した。享年39、運送会社に勤務。トラックの荷台に乗せる荷物が崩れ、その下敷きになるという痛ましい事故だった。憔悴しきっているはずの遺族は参列者への配慮なのか、努めて明るく振る舞っており、中学生になった愛娘にお悔やみの言葉をかけようとすると、泣き腫らした顔にとまどいの混じった笑みを見せてくれ、その姿に涙した。
「人は何のために生まれてきたのか?」という永遠の問いに対して私は「人は死ぬために生まれてきた」という言葉を用意している。ただし、それは天寿を全うしたうえでの話である。幸不幸の種類は数多あり、人それぞれなのだろうが、最大の不幸のひとつは突然に命を断たれることだ。概ねその要因は自然災害を除き、人間がつくり出すもの。過労死、交通事故死、いじめによる子どもの自殺、ましてや戦争による死を天命とは呼ばせない。天寿を全うして死ぬことは我々の権利なのだ。 (町田明穂)

▼「安倍チャンは嫌だけど、野党はもっと嫌」
 2014年4月に刊行した臨時増刊号「検証 暴走する安倍政権 さらば、独裁者」の匿名記者座談会において、ある記者が公明党を表した言葉だ。「平和と福祉」の党が聞いて呆れるが、今もその気持ちは変わらないのだろうか。最近では呆れを通り越して怒りが湧いてくる。
 そんな中、元参議院議員の平野貞夫さんをお招きし、「金曜日文庫」第8回目を開催します。聞き手は弊誌編集委員の佐高信で題して「創価学会・公明党の行方」。日程は2月5日(金)18時開場、18時30分〜20時予定です。場所は、いつもと同じ寺島文庫(東京都千代田区九段北1-9-17 寺島文庫ビル1階)。今年から参加費を1000円(1ドリンク付)としました。先着30人、要申し込み。申し込み先はFAX・03・3221・8522、またはMail・book@kinyobi.co.jpまで。申し込み件名は「金曜日文庫第8回申し込み」でお願いします。ご参加お待ちしています。(赤岩友香)