週刊金曜日 編集後記

1045号

▼国交正常化50年の日韓の関係が今ほど冷え込んだことはあっただろうか。植民地時代の清算には朝鮮半島全体との和解の視点も欠かせないが、日韓関係改善の最大のネックは「『慰安婦』問題」と辺真一さんは指摘する。反日や嫌韓を利用する国のトップや政治家たちの責任は大きい、とも。
 その「慰安婦」問題だが、安倍晋三首相が何度も「虚偽だ」と言及する「慰安婦狩り」の「吉田証言」について、今田真人さんと西野瑠美子さんが「本当に虚偽なのか!?」と問題提起。吉方べきさんは済州島の地元紙が「吉田証言」をどう報じたのかを検証した。いずれも一石を投じる内容だ。歴史学会の「慰安婦」声明も重要だ。侵略の認識を問われ「歴史家に任せるべき」と答弁をした安倍首相は、「強制連行は明らか」としたこの共同声明を無視できまい。歴史に蓋する行為こそ恥ずべきものだ。今田さんと西野さんのトークイベントが6月27日午後2時から立教大学池袋キャンパスで開かれる。閉じられようとしている「吉田証言」の蓋を開ける。 (片岡伸行)

▼お気づきかもしれませんが、先週から、「金曜アンテナ」8ページ右下のコーナーで新連載「『安保法制』はおかしいです。」が始まりました。
「安保法制」についての国会論戦をリードするのは、賛成派にせよ、反対派にせよ、40代以上の中高年ばかりが目立ち、若いひとたちの声がなかなか聞こえてきません。
 新連載では、10代~30代前半くらいまでの幅広い分野の方にご登場願い、小さなコーナーですが、リアルな思いを率直に語っていただければと考えています。
 本号第二回目の執筆者は、昨年、11月21日号「なぜ少女たちはJK産業に流れるのか」でご登場いただいた仁藤夢乃さん。日頃から10代の女性たちと接し生の声を聴く機会は多いが、政治的な話は、自然なきっかけが大事とのことで、「今回の掲載もまた、少女たちと安保法案について語るきっかけになれば」と頼もしい。デスクのKさんも「私たち年配世代のほうにヘタレが多く、若いひとたちのほうがガッツがある」と言う。同感。
 連載は、通常国会会期中を予定しています。 (山村清二)

▼名古屋のクリエイターの作品が2日毎に入れ替わる展示「TWO days ONE show」が4月から6月末まで名古屋市のペーパーボイス・ヴェラムで開催されている。イラストレーターの成田君子さんから6月11日、12日の2日間、本誌連載中の「金曜俳句」で発表したイラストレーションを一挙に並べるという知らせを受け、名古屋まで見に行った。第1回目から63回目にあたる今週号の「天瓜粉」までの作品を一気に見ることができてなかなか良かった。
 今週号、実はもうひとつの兼題の「鰻」を描こうともしていたらしい。近年、価格が高騰してなかなか口にいれることができないのが悩みの種だ。会社の近くにレトロな佇まいの老舗のうなぎ屋があるのだが、高いのでいまだ食べたことがない。なにか大きな節目となるようなことがあれば「いつかはクラウン」みたく「いつかはうな重」食べてみたいなと、思う。
 安保法案や労働者派遣法の {大改悪} など重要な問題が山積なので「うな重」は安保法案の成立を阻止できた時に食べに行こうと、密かに願かけをした。 (本田政昭)

▼突然のお願いで申し訳ございません。左頁にてお知らせの通り、7月17日(1048)号より、定期購読の配送方法を日本郵便?の「ゆうメール」に変更いたします。そして大変心苦しいのですが、定期購読料金を改定させていただくこととなりました。新料金の対象になるのは本年12月4日(1066)号から更新となるご契約分です(月々引落契約は12月引落分から)。なお、音訳(CD)版の配送方法と購読料金は現状のまま、変更はございません。
 2010年7月2日(805)号より5年間、定期購読を「クロネコメール便」でお届けして参りました。この間、配達の遅れや「届かない」という声が寄せられ、ヤマト運輸さんにはこれまで、微に入り細にわたり現場対応をしていただきました。ただ週刊誌という特性上その対応にも限界があります。一方で配送方法変更によるコスト増、購読価格への影響等々、多くの難題が山積みとなり、結論出しまで3年の歳月が必要でした。どうか引き続きのご購読をよろしくお願いいたします。 (町田明穂)