防衛庁長官官房広報課長 殿 イラク及びクウェートに所在する自衛隊部 隊に係る立入制限区域への立入取材申請書  イラク域内、クウェート国内その他のイラク人道復興支援活動の現地(以下、「現地」という。)に所在する自衛隊宿営地、他国軍が設営・管理する施設又は区域内の自衛隊が提供された区画その他自衛隊部隊が宿営・展開する区域のうち部隊長が部外者の立ち入りを制限する区域(以下、「立入制限区域」という。)について、取材者自身及び現地隊員の生命及び安全の確保並びに現地部隊の円滑な任務遂行を図りつつ、以下の記者、カメラマン又はその他の所要の要員に立入取材を実施させたく、その身元を保証するとともに、下記の各事項に同意し、その遵守を確約の上、立入取材員としての登録及び「立入取材員証」の発行を申請します。  なお、立入取材者の詳細については、別添 □既提出 □今回提出 のとおりです。 申請者 (報道機関名)     (担当部署名)     (部署長等名)                 職印 立 入 下記の各事項に同意し、その遵守を誓約します。 記者等 (氏名(代筆可))         年  月  日(署名)          印 記 1.危険及び混乱の防止に関する一般的事項  当社(申請者)は、以下の事項について確認・同意し、これを遵守します。 @ 申請者が雇用、契約、資金提供、便宜供与その他協力又は支援を実施している記者、カメラマン、通訳、ドライバーその他の取材活動に従事させる要員(フリーランス及び外国籍の者を含む。以下、「申請者の取材要員」という。)のうち、現地において自衛隊部隊の取材を行う者のすべてについて、立入取材員証又は識別に資する記者証の発行を申請します(未交付の者については、現地において自衛隊の部隊及び隊員並びにその実施する活動の取材には従事させません(不必要な接近も行われません))。 A 申請者の取材要員のうち、立入取材員証を申請せず、又は未だ交付を受けていない者については、例え記者証の交付を受けているとしても、立入制限区域(宿営地外の活動現場に設定されるものを含む。)における取材活動は実施させません(実施させる場合には立入取材証の交付を受けさせます)。 B 前記記者証のみの交付を受けている取材要員が立入制限区域外において取材を行う場合、原則として自由に独力で取材を実施させます。  ただし、例えば隊員の業務の妨害となる取材、隊員若しくは部隊車両を追尾し、又はこれと並走しながらの取材等、隊員の生命若しくは安全の確保又は現地部隊の円滑な任務遂行に悪影響を及ぼすと判断されるような取材の時機・方法は控えさせます。 C 申請者の取材要員が上記1から3に掲げる事項に反する行為を行った場合、当該取材要員が不測の不利益を被るおそれがあることを認識し、違反行為の防止に努めます。 2.立入取材員の地位に関する事項  当社(申請者)及び私(立入取材員)は、以下の事項について確認し、同意します。 @ 自衛隊が宿営・展開する施設・区域及び艦艇、航空機、車両その他の装備品の内部並びにこれらの周辺においては、取材者が現場に所在する隊員と同様の危険に曝される可能性があることを理解し、当該危険に際しての安全確保の責任は申請者及び立入取材員自身が負います。 A 個々の立入制限区域への立ち入りが、立入取材員証を確認の上、その都度関係部隊が許可して実施されることに同意します。 B 安全確保上又は任務遂行上必要な場合には、求めに応じ、適時十分な理由説明が行われることを前提として、部隊の判断により随時に立入制限区域への立ち入りが中止されることに同意します。 C 本申請書に記載する遵守事項に違反があった場合は、立入取材員は立入制限区域外に退出します。また、重大な違反があった場合には、求めに応じ、適時十分な理由説明が行われることを前提として、立入取材員証が無効となることに同意します。なお、いずれの場合においても、異議を申し立てる権利を留保します。 D イラク入域に先立ち、立入取材員があらかじめ少なくとも次の予防接種を終えるよう努めます。 A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、狂犬病ワクチン、破傷風ワクチン E 他国軍が設営・管理する基地その他の施設・区域内の自衛隊に提供された区画への立ち入りに当たっては、別途当該他国軍その他の関係当局の同意を要することを理解します。 3.立入取材員の行動に関する事項  当社(申請者)は以下の事項を立入取材員に遵守させ、私(立入取材員)は自らこれを遵守します。 @ 立入制限区域内においては、現地部隊長及び担当官の指示に従います。 A 立入制限区域内への立入に際しては、自衛官及び外国軍人との識別が容易な服装を着用します。 B 立入制限区域内への立入に際して、及び立ち入り取材中は、立入取材員証を常に身体の見やすい場所に着用します。 C 立入取材員証が失効した場合は、直ちにこれを返納します。 D 現地部隊が必要と認めた場合には、現地部隊又は防衛庁の担当部局が定める取材者自身及び現地隊員の生命及び安全の確保並びに現地部隊の円滑な任務遂行に資する所定の教育訓練を受講します。 E 現地部隊が電波封止・灯火管制を行う場合その他取材者自身及び現地隊員の生命及び安全並びに現地部隊の円滑な任務遂行を確保する上で必要な場合には、緊急時以外には十分な時間的猶予を持って事前に注意喚起が行われることを前提として、通信・撮影器材その他の機械類の使用を控えます。 F 立入取材員は、部隊による所定の取材対応時に取材を行うほか、本申請書の各遵守事項並びに部隊長及び担当官による行動統制の範囲において可能な場合には独自に取材を実施します。  ただし、例えば隊員の業務の妨害となる取材、隊員若しくは部隊車両を追尾し、又はこれと並走しながらの取材等、隊員の生命若しくは安全の確保又は現地部隊の円滑な任務遂行に悪影響を及ぼすと判断されるような取材の時機・方法は控えます。 4.情報の取り扱いに関する事項  当社(申請者)及び私(立入取材員)は、防衛庁又は現地部隊が現地での活動に関する情報を可能な限り公表し、当初公表し得なかった情報も保護の必要がなくなり次第公表することを前提として、その自主的判断に基づき隊員の生命及び安全の確保並びに現地部隊の円滑な任務遂行に関する情報については、以下のとおり取り扱うことを確約します。  ただし、いかなる場合であれ、専ら安全確保等に支障のない情報に関しては、全く自由に評価・論説する権利を留保します。 @ 取材者自身及び現地隊員の生命及び安全の確保並びに現地部隊の円滑な任務遂行に関係する情報については、下表左欄に例示する形式・内容に該当することを自ら確認するなどにより、報道によって安全確保等に悪影響を与えるおそれがあり得ないことを十分に確信した上で報道します。  なお、下表右欄に例示する安全確保等に悪影響を与えるおそれのある情報については、防衛庁又は現地部隊による公表又は同意を得てから報道します(それまでの間は発信及び報道は行われません)。また、秘密指定解除等の手続上又は権限上の理由から、情報によっては広報担当部署の判断で公表し、又は公表に同意できないものがあることを理解します。 A 下表の例からはその性格を一義的に判別することが困難であるものの、取材者などの安全等の確保に悪影響を及ぼすおそれが否定できないと申請者又は立入取材員が判断した情報については、最悪の結果を回避することを重視しつつ、防衛庁又は現地部隊とその取り扱いについて協議し、前記@の例により対応します。 [編集部注:ここからは表の内容です] 報道しても支障のない情報の例 (1)部隊、装備品、補給品等の数 ・派遣部隊の総員数 ・部隊の少数負傷者の概数 ・大括りの業務分担(警備を除く。)別の担当隊員の概数 ・宿営地外での復興支援活動に従事する隊員の概数 ・装備品、補給品等の概数 (2)部隊活動地域の位置 ・宿営地の概略位置 ・宿営地外の現に部隊活動が行われる地域に係る描写、写真、映像であって、当該地域の具体的位置を明確化し得ないもの ・宿営地外における完了した部隊活動が行われた地域の概略位置 (3)部隊の活動に関わる情報 ・部隊の将来の活動に関する一般的な政策及び全般的傾向 ・部隊が現に実施している復興支援活動の内容 ・部隊の過去の復興支援活動の内容 ・部隊の過去の復興支援活動の実施回数及び実施成果 (4)部隊行動基準、部隊の防護手段、警戒態勢に関わる情報 ・部隊の部隊防護及び警戒監視活動に関する一般的な政策及び全般的傾向 (5)部隊の情報収集手段、情報収集態勢に関わる情報 ・部隊の情報収集活動に関する一般的な政策及び全般的傾向 ・公開の場で行われる部隊と現地関係先との一般的な意見交換の状況 (6)部隊の情報収集等により得られた警備関連情報 ・部隊長等の現地治安情勢に関する一般的な認識 ・部隊以外から報道機関が独自に入手したことが明確な警備関連情報 (7)米軍等の関係部隊に関する情報 ・米軍等の関係部隊に関する開示情報 ・米軍等の関係部隊に関する不開示情報のうち米軍等が報道を許可した情報 (8)隊員・家族等の個人情報 ・隊員・家族等に関する個人情報のうち本人を特定できない情報 ・隊員・家族等に関する本人を特定できる個人情報のうち防衛庁が公表したもの及び本人が報道に同意したもの (9)地元住民・部族等との信頼関係を損ねるおそれのある情報 ・地元の宗教・社会・文化の観点から特に反感を持たれるおそれのない隊員の日常の行動 ・犯罪、服務規律違反その他我が国の法令に違反する隊員の日常の行動 (10)その他、防衛庁広報課又は現地部隊が別途具体化する事項に関する情報 ・(1)〜(9)に該当せず、かつ、防衛庁長官官房広報課又は現地部隊が正式に定めて周知した事項に関連しない情報 安全確保等に影響し得る情報の例 (1)部隊、装備品、補給品等の数 ・部隊の勢力の減耗状況(要件(注)を早急に満たした後、遅滞なく公表) ・部隊の人的被害の正確な数(要件(注)を早急に満たした後、遅滞なく公表) ・各担当部門(編制上)別の所属隊員数(概数及び正確な数) ・宿営地外で個別の復興支援活動に従事する隊員の正確な数 ・装備品、補給品等の正確な数 (2)部隊活動地域の位置 ・宿営地外の将来部隊活動が予定・計画されているという文脈においての当該地域の位置(概略及び細部位置) ・宿営地外の現に部隊活動が行われる地域の細部位置(具体的位置を明確化し得ないような当該地域の描写、写真、映像を除く。) (3)部隊の活動に関わる情報 ・部隊の将来の活動の予定・計画その他の部隊に対する攻撃や活動の妨害の計画及び実施を容易にし得る情報 ・現に機動・展開しつつある部隊の機動・展開・配置の全体像又は具体的状況を明らかにする情報 (4)部隊行動基準、部隊の防護手段、警戒態勢に関わる情報 ・部隊行動基準自体、部隊行動基準の内容及び概要 ・教育訓練のうち部隊行動基準の内容を具体的に反映した部分 ・部隊が現に実施している部隊防護及び警戒監視活動の状況 ・部隊が現に実施し、又は将来予定・計画している部隊防護又は警戒監視活動と同様な過去の活動の状況 ・宿営地内の各天幕等の配置及び用途 ・部隊の防護手段又は警戒態勢に関わるその他の具体的な情報 (5)部隊の情報収集手段、情報収集態勢に関わる情報 ・部隊の情報収集手段及び情報収集態勢の非公表部分(非公表の情報収集活動の状況を含む。)に関わる具体的な情報 (6)部隊の情報収集等により得られた警備関連情報 ・部隊の情報収集・分析により得られた警備関連情報 (7)米軍等の関係部隊に関する情報 ・自衛隊が有する米軍等の関係部隊に関する不開示情報(米軍等が報道を許可した情報を除く。) (8)隊員・家族等の個人情報 ・隊員・家族に関する本人を特定できる個人情報(肖像を含む。防衛庁が公表したもの及び本人が報道に同意(社会通念上黙示の同意とみなされるものを含む。)したものを除く。) ・隊員の安否に関する情報(要件(注)を早急に満たした後、遅滞なく公表) (9)地元住民・部族等との信頼関係を損ねるおそれのある情報 ・地元の宗教・社会・文化の観点から特に反感を持たれるおそれのある隊員の日常の行動(犯罪及び服務規律違反を除く。) (10)その他、防衛庁広報課又は現地部隊が別途具体化する事項に関する情報 ・部隊及び隊員に係る練度、士気その他の無形の要素であって、実際に発揮し得る能力の低下又は要求水準以下での停滞を惹起しているもの (注)部隊の減耗・人的被害状況の公表の基本要件: @ 家族への担当部署からの連絡及びその公表への同意又は理解(階級、年齢及び性別については、理解を得た段階で公表) A 当該減耗又は人的被害を踏まえた防護・警戒監視に係る対策及び態勢の確立