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風速計

小沢の考えを忖度するな!(中島 岳志) 2009/10/30

 民主党政権がスタートして以来、みんなが小沢一郎の顔色を窺うようになっている。

「小沢の議論を批判すれば、人事で要職からはずされ、次の選挙で冷遇されるのではないか」と恐れる議員たち。「小沢の意向に沿わなければ、自分たちの組織は潰されてしまうのではないか」と恐れる業界団体の幹部たち。「小沢批判をすれば、民主党政権への影響力を保持できなくなるのではないか」と恐れる有識者たち。

 この一カ月半ほど、そんな人々に何度も出会った。彼らは小沢の存在を勝手に恐れ、自らの理念や考えを押し殺している。特に議員と業界団体幹部は深刻で、小沢の考えを必死で忖度し、行動しようとしている。

 小沢の人心掌握術は巧みだ。

 彼と浅い付き合いの人物の口からは、「小沢さんは愛想のいい好人物」との印象を聞くことが多い。事実、彼は初対面に近い人達や関係を良好に保っておくべき人達の宴席では、自らお酌をしてまわり、愛想よく振舞う。

 しかし、直接の利害関係が絡む人達に対しては、直接面会する機会を極端になくし、側近を通じてメッセージを発する。彼に批判的な発言や行動を起こした人間に対しては、無言のまま人事でペナルティを与え、批判を封殺していく。

 彼は姿を見せないことによって、相手に過剰な忖度をさせ、その行動をコントロールしていく。みんなが「小沢の考えていること」に想像をめぐらせ、それに準じた行動を取ると、自らは明確な指令を出すことなく、人々を意図する方向へと誘導することができるのである。

 これは、フーコーが近代的支配の象徴とした監獄システム「パノプティコン」に似ている。この「一望監視システム」では、監視している側の姿が見えないことがポイントだ。囚人たちは、いつ自分たちが監視されているかがわからないため、常に権力のまなざしに怯え、従順な規律化が進む。権力の姿が見えないほど、権力に恐怖心を持つ者の従属化は進むのである。

 小沢は、著書『日本改造計画』で明確にしているように、徹底した自己責任論者である。彼は「究極の目標は個人の自立」とし、「個人に自己責任の自覚を求めること」を理念としている。

 小沢の政治理念をみんなが忖度し、従順な犬に成り果てる社会は、まさに監獄である。

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