▼『土門拳写真集・筑豊のこどもたち』(パトリア書店)を妻の母にもらった。ザラ紙に印刷された雑誌のような体裁の本は、長い時を経て茶色に変色している。
五〇年前の一二月、閉山の続く筑豊で失業にあえぐ人々とそのこどもたち、そして家族ぐるみで団結して闘う労働者たちの厳しい現実を取材し、翌一月、緊急出版されたという。定価は一〇〇円。ルポルタージュの名作として、社会的に大きな反響を呼んだ土門拳の代表作である。エネルギー政策の変遷の途上で、何ら施策のほどこされないまま放棄され、それまでもっていた技術、土地、住居、生活すべてを奪われたたくさんの人たち。国による「人捨て」。この国はなにひとつ変わっていない。
先日、「黒田節」「炭坑節」で知られる伝説の歌手・赤坂小梅のドキュメンタリー映画『小梅姐さん』のDVDが発売された。歌は人に生きる力を与える。五〇年前、土門拳が立った筑豊にもその唄が流れていたはずだ。(本田政昭)
▼総務省の「国・地方間の係争処理のあり方に関する研究会」が七日、「閣僚が高裁に訴訟を提起できる制度の設置を提案」したという小さな新聞記事を見つけた。住基ネットへの接続を拒否している東京都国立市と福島県矢祭町が国からの「接続要請」に応じなかったことをきっかけに今年七月設置されたというが、地方自治体をないがしろにするようなとんでもない提案が、見過ごされてしまいそうな形で報道されたことに驚いた。そもそも民主党はかつて「住基ネット廃止法案」を国会に数回提出しているという事実を忘れているのではないのか。
これほどの無駄な公共事業が今回の「事業仕分け」の俎上にも上らなかった時点で鳩山政権のこの問題に対する方向性が見えたような気がしてはいるのだが、「真の地方分権をめざす」鳩山政権がよもや、司法の力を借りて地方自治体を服従させるこんな提案を実現させるなんて絶対ない、とまだ信じていたい。(柳百合子)
▼ライフリンク代表・清水康之さんが内閣府参与に内定したのはインタビューの直前でした。同じ内閣府参与に就任した湯浅誠さんとも連携しながら、厳しい年末を迎える生活困窮者の支援のため、いま、フル稼働で動いています。
市民活動家が、清水さんや湯浅さんのように「政府に加わる」ことについては、一部に批判もあるようです。しかし、失業者も自殺者も昨年を上回るペースで増えているなかで、深刻な事態を少しでも回避するため、実効性のある施策をめざす姿勢に、個人的には共感します。宇都宮健児・本誌編集委員は「(湯浅さんや清水さんを)政府部内で孤立させてはならない」と強調しています。なお、ライフリンクのサイトでは、清水さんと湯浅さんが連名で、年末の臨時開庁と住宅確保について、自治体に求めてくださいと呼びかけています(URL http://www.lifelink.or.jp/hp/onestop.html)。読者のだれもが自身でできることとして紹介させてもらいます。(山村清二)
▼一〇月から告知していた『週刊金曜日』ご紹介キャンペーン。予想を超えるご紹介をいただき、うれしい悲鳴をあげている。同時に募集していた一二月二五日号掲載予定の「私はなぜ『週刊金曜日』を読んでいるか」というテーマへの応募も予想以上。こちらは掲載スペースに収まるようにしなければならないため、せっかく戴いた原稿の中から掲載するものを選ばなければならない。励まし、心配、批判。表現の差はあれど、どの原稿も本誌に寄せる熱い思いが伝わってくる。
『金曜日』を読み始めた契機も戦時中の体験、『朝日ジャーナル』、編集委員に惹かれてなど様々。「『週刊金曜日』の発刊に寄せて」で「読者と筆者と編集者の積極的協力の道を開き、共同参加、共同編集によって、週刊誌における市民主権の実をあげるモデルの一つを作りたい」と書いた久野収先生の言葉を思い出しつつ、何回も読み返している。(原田成人)
北村肇編集長のコラム「一筆不乱」を公開しています。
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