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金曜日から

金曜日から(2009/4/24)

▼ある精神障がい者の地域活動支援センター(作業所)を運営するNPO法人の代表は、NPOが掲げる理想と経営の現実との狭間で悩んでいる。経営に徹して労働強化し、“使えない”スタッフを切り捨て経営効率を確保するべきか。しかし互いの違いを認め、補い合い、信頼し合う社会を目指すというNPOの理想を、職員に対しても貫いてゆくべきだとも考える。

 経営者はどうあるべきか。会社は働く人々にとって、どういう存在であるべきか。または社会にとってはどうあるべきか。……、理想や社会的意義が高ければ高いほど、現実との狭間で経営の責任を持つ者たちは苦しむのだろう。

 一方で、何のために知事になったのかわからないのが、森田、橋下、東国原のタレント三知事と石原東京都知事だ。この知事らは理想との狭間で悩むことがあるのだろうか。東京の端のわが駅前の商店街に突然、オリンピックの旗がはためきだし驚いた。五億円のジオラマに豪華ランチにと、招致活動のために一五〇億円も使ったというのだが。(吉田亮子)

▼そういえば、今年はフキノトウ食べてないなあ。ああ、苦いもの食べたい……。春になるとむしょうにフキノトウが食べたくなるのですが、それもこれも「わざわざことわざ」第一回(三月六日号)にあった、クマの本能と同じなのでしょう。ことわざにこめられた昔の人の知恵を、柔らかな語り口で教えてくれた沢木みずほさんの連載コラムは、残念ながら今号で終わり。沢木さん、ありがとうございました。

 次号からは、マネーライター丸田潔さんによる、「お金があまりない人のためのマネー術」をお届けします。世の中、ビンボー人のためのマネー情報がなさすぎる。ビンボーだからこそ、一円も損しないためにお金を守らなければなりません。そして、一円でも確実に増やしたい。そのための基礎知識を、読者のみなさんと一緒にお勉強していければと思います。

 さらに宣伝をもうひとつ。本誌連載の「さしすせその仕事」が、単行本になりました! 四月末ころから全国の書店に並びます。見かけたら、ぜひ手にとっていただければ幸いです。(渡辺妙子)

▼愛媛県松山市が、司馬遼太郎の小説を基に進めている<「坂の上の雲」のまちづくり>に違和感を持ち続けてきた。民俗学者、故・宮本常一に関係して佐野眞一さんが語った言葉から、違和感の原因がよくわかった。<「ふるさとをよくしよう」なんてお題目を唱えたってよくなりっこないですよ。お互い、たとえば隣に住んでる人間がどういう人間で、どういう志を持ってるのか(中略)お互いが知り合うことがなければ、そんなもの絵に描いた餅ですよね。人と人の関係だけじゃなく、人と地域の関係もそうですね。>(『宮本常一のメッセージ』みずのわ出版)

 小説で描かれる正岡子規や秋山好古・真之兄弟について、松山には多くの一次資料がある。もし顕彰するというのなら、それらを丹念に掘り起こせばよい。小説という虚構に頼ってまちづくりを進めようとするから危なっかしくなってしまうのだ。自ら掘り下げるのではなく、大小説家がつむいだ物語で地域を語ることのなんと愚かしいことよ。このことは小誌のブログでさらに詳しく書くことにしたい。(伊田浩之)

▼同僚のSさんが経理課に来てすぐのころ、「パラマウント映画の星みたいに数字が頭の上をぐるぐる回ってる」と嘆くのを聞いて笑ってしまったことを思い出した。決算期が近づき、私も最近、営業赤字の数字が夢の中で踊ったり回ったりするようになったのだ。長い経理生活でも初めてのこと。

 パラマウントのオープニングに出てくる星は、往年の専属スター二二人を表しているらしい。私のはそんな華やかなものではなく、うなされて胸が苦しくなる星。

 売上は振るわないのに、販促費、印刷費などの費用は増え、過去の利益を蓄えたわずかな内部留保は減り続けている。赤字を最小限に抑えるには、来期予算できびしいやりくりをせざるをえない。もっと楽しい話ができたらいいのに、と滅入りながらも、支出を制することばかりを口にしている。

 経理には「筋道を通して治める」という意味もあるそうだ。うまく治められなければ「金曜日」の未来は暗い。そう言い聞かせて毎日数字を追っている。今夜もうなされそうです。(神原由美)

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