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金曜日から

金曜日から(2011/4/22)

▼「東日本大震災、福島原発事故」以来、「いまこそ『週刊金曜日』に期待する」という声をたくさんいただくようになりました。正直、戸惑いの気持ちがぬぐいきれません。三万人近くの死者・行方不明者を前にして、一体、私たちは何をなすべきか、何ができるのかと立ち止まってしまいます。

 あるとき、我知らず、こんなことを考えていました。

「三万人の方が三〇年の人生を奪われたとしたら、九〇万年の人生が一瞬にして消え去ったことになる。四〇年なら一二〇万年……」

 被害者一人ひとりの思いが、それこそ大津波のように押し寄せてくる感覚がしました。この「無数の無念さ」をどう受け止めたらいいのか。所詮、それは無理なことです。どんな想像力をもってしても不可能です。

 それより、ほかにすべきことがあるだろう。自分で自分に言い聞かせました。報道に携わる者は、いまこそ、可能な限り「事実」を抉り出し「言葉」にして伝えるのだ。ジャーナリストが「言葉」を失ってどうする――。

 とりわけ、被災者の方を二重被災に遭わせた福島原発事故に関しては、徹底的な追及が欠かせないと、今週号を含め六週にわたって特集してきました。本誌は一九九三年の創刊以来、脱原発を目指して筆をとってきました。しかし、遺憾ながら、五四基の一基たりとも廃炉に追い込むことができませんでした。被災者の方々には申し訳ない思いでいっぱいです。とともに、今度こそ徹底的に事実に基づいた「言葉」で戦い、何としても廃炉を勝ち取るぞと誓いを新たにしています。

 しかし、まだまだ私たちには力が不足していることを打ち明けるしかありません。現在、定期購読者数は一万六〇〇〇部を割り込んでいます。永田町や霞ヶ関、あるいは電力会社を含めた財界に対しさらなる影響力をもつために、少なくとも二万部を達成しようと努力してきましたが、届いていません。被災された定期購読者の方も多く、瞬間的には一万五〇〇〇部を下回ることも覚悟しています。

 何としても、どんなことがあっても『週刊金曜日』の灯は絶やしません。その思いはきっと、読者の方々にも共有していただいていると思います。心よりのお願いです。お一人で結構ですので、友人、知人の方に定期購読を勧めていただけないでしょうか。もちろん、決して期待を裏切らない誌面をつくることをお約束します。

 手前味噌ながら、『週刊金曜日』が元気になることで、いつの日か、被災者の方に「春」を届けられるのではないかと思っております。

 なお、福島原発をめぐる最近の記事と過去記事を集めた『臨時増刊 原発震災』を四月二六日に発行します。こちらは書店売りです。保存版として手に取っていただければ幸いです。(発行人・北村肇)

▼国際原子力機関(IAEA、本部ウィーン)は四月一四日、福島原発事故に関する条約締約国会議を来年八月に開くことを決めました。ロイターは <特別会合を開き、さらに具体的な対策に着手するとしている> と伝えています。

 これは、事故の終息がみえ、全体像を話し合うまでには来年八月まで待つ必要があるとIAEAは考えている、ということです。外務省関係者はこう指摘します。

「世界の原発推進派は『原発は安全・安心だが、日本人の能力が低いため深刻な事故が起きた』との物語を創ろうとしている。だから会議は、極東軍事裁判のように日本を一方的につるし上げる場となる。そして、能力が低い日本人には原発は任せられないとして“国際管理”にされる恐れすらある」

 そうなると、「脱原発」を選択することさえ私たちはできなくなるということです。実に恐ろしい。

 読者から「脱原発にはなにが有効ですか」との質問がありました。簡単な答えはありません。一人ひとりがしっかり考え続けることです。その一助となるよう本誌の編集に力を注ぎます。(伊田浩之)

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