現在位置
ホーム(最新号紹介) > バックナンバー > 金曜アンテナ(一覧) > 金曜アンテナ(詳細)

金曜アンテナ

金曜アンテナ(2009/11/13)

「年越し派遣村」の再現許すな
政府緊急雇用対策本部が発足


「年越し派遣村」を再びつくらないために、鳩山政権はどう取り組むのか――。
 昨年秋に起きた経済危機によって、製造業を中心に多くの派遣労働者が雇い止め(派遣切り)されたことは記憶に新しい。失職と同時に派遣会社のアパートを追われた労働者がホームレスに陥り、「年越し派遣村」の出現につながった。
 そこで、政府は一〇月二三日、緊急雇用対策本部(本部長・鳩山由紀夫首相)を設置し、貧困・困窮者、新卒者支援、雇用創造の取り組みが始動した。本部の「貧困・困窮者支援チーム」事務局長には、「年越し派遣村」の元村長の湯浅誠氏(内閣府参与)が就任。同日発表された「緊急雇用対策」では、ハローワークの雇用支援機能の強化、年末年始の生活総合相談、住居を失った人たちへの支援などが打ち出された。いずれの施策も厚生労働省、国土交通省、総務省の関係省庁だけでなく、地方自治体の協力が不可欠だ。年末を控え、生活困窮者の支援が鳩山政権の喫緊の課題となっている。
 総務省の労働力調査によると、失業者数(今年九月)は三六三万人となり、前月より二万人も増加した。完全失業率は五・三%と前月と比べ〇・二ポイント低下したが、有効求人倍率は〇・四三倍であり、依然として過去最低の水準で推移している。各都道府県労働局の調べによると、昨年一〇月から今年一二月における非正規労働者の雇い止めは、四一二七事業所で二三万九〇〇〇人と見込まれている。
 そんななか、非正規労働者の救済策として、今年三月には雇用保険法が改正され、雇用保険の加入要件は「一年以上の雇用見込み」から「六カ月以上」に、失業保険の受給要件も「一年間」から「六カ月間」に緩和された。さらに、再就職が困難な人には給付期間を六〇日間延期した。だが、厳しい雇用情勢のなかで、依然として職に就けない非正規労働者がかなりの数にのぼるとみられている。
「年越し派遣村」の元実行委員で、派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は「昨年秋以降に『派遣切り』にあった人たちが、いまだに就職ができずに(失業者として)滞留している。このままでは昨年以上に失業者が増える」と警鐘を鳴らす。
 深刻なのは、就職できない状態で失業手当が切れる労働者が出始めていることだ。関根氏は「九月末に失業手当が切れた人が、給付を二カ月間延長されても一一月末には切れる。切れた段階で生活保護になってしまうが、『福祉事務所で追い返された』という相談も多い。そうなれば野宿生活を余儀なくされてしまう」と話す。
 緊急雇用対策では二〇〇九年後半期(六月~一二月)に雇用保険の切れる受給者数を推計することが盛り込まれたが、このままでは年末には失業者であふれ、「年越し派遣村」が再現される危険性が高まっている。
 緊急の支援措置は、雇用と住居を失った人への住居の確保や生活費の貸付だ。「就職安定資金融資」のつなぎ貸付や、「住宅手当」の支給、「総合支援資金」の貸付など、雇用保険と生活保護の間に位置づける「第二のセーフティーネット」を、利用者にわかりやすく情報提供できるかがカギとなる。


「ワンストップサービス」
兵庫県宝塚市の取り組み



 こうした貧困・困窮者支援を実効あるものにするのが、「ワンストップサービス」だ。「ワンストップサービス」とは、生活困窮者が一つの窓口(ハローワークなど)で、雇用や住居、生活の相談ができ、必要な手続きを可能にするサービスだ。縦割り行政の弊害から、利用者が相談窓口をたらい回しになるのを防ぐ。湯浅氏は「『あそこに行けば何らかの制度につながる』という実効あるワンストップサービスは、人々の生活が破綻する前に生活を下支えし、生きる支援を行なうのに有効だ」と述べる。
 ところが、「ワンストップサービス」の開催は、現時点では一一月三〇日に東京、大阪、名古屋の一部ハローワークで試行的に実施されるだけだ。厚労省は「(ワンストップサービスの)年末年始の開催については日程も具体的に決まっていない」としている。
 湯浅氏は「社会全体の関心が高まっていかないと、こうした問題は結局後回しになる。政権が変わったからといって、がらりと変わるわけではない。今の段階では、今年『派遣村』が不要となるような劇的な状況の変化が生まれるとは、とうてい楽観視できない。私の力不足も、日々痛感している」と、苦悩を語る。
 この事態に、反貧困ネットワーク代表で、「年越し派遣村」の元名誉村長の宇都宮健児弁護士は「全国でホームレスが昨年以上に急増している現状を見れば、政府が打ち出している対策はまったく不十分。この問題に対する鳩山政権の危機感がきわめて不足している」と批判したうえで、「政策参与として起用された湯浅さんだが、官僚をはじめ、政府部内の抵抗が予想される。このままでは民間団体による『派遣村』の取り組みがまた必要となる。湯浅さんを政府部内で孤立させないためにも、『派遣村の再現を許すな』という全国的な運動をすすめていく必要がある」と危機感を募らせる。
 さらに、「ワンストップサービス」では福祉事務所職員の派遣など自治体の協力が不可欠だ。困窮者への食事の提供や、宿泊施設の手配も必要となる。総務省は職員の派遣や、住宅の経費を特別交付税として支給することを決めたが、自治体の動きは鈍い。
 そんななか、兵庫県宝塚市は「ワンストップサービス」の取り組みに動き出した。ただ、宝塚市内にはハローワークも保健所もない。このままでは職員の派遣もできず、「住宅手当」の支給も一元化できない。元衆議院議員の中川智子宝塚市長は「(ハローワークのある)近隣の自治体に『ワンストップサービス』への協力を呼びかけていく」と積極的な姿勢を示す。
 湯浅氏は「雇用の流動化で、どの自治体サービスからも漏れた人たちが貧困層を形成している」と指摘したうえで、「まじめに取り組んだ自治体が(相談者が集中するために)『損』をする構造があり、率先して取り組もうとしない。一つでも多くの自治体が『ワンストップサービス』に参加して欲しい」と呼びかける。


失業者の心のケアと
自殺対策緊急支援



 貧困・困窮者支援は雇用や住居問題にとどまらない。失業者の心のケアも重要な課題だ。
 政府は一一月五日、「自殺対策緊急戦略チーム」を立ち上げ、メンバーに自殺対策支援センター「ライフリンク」代表の清水康之氏が加わった。清水氏は「失業者の自殺は生活苦や多重債務から『うつ』状態になり、自殺にいたるケースが多い」と話す。派遣労働者の場合は住居の喪失、人間関係の希薄さ、病気も自殺の要因になりやすい。自殺者が多発する時期は、年度末から年度初めだ。
「自殺対策緊急戦略チーム」では一一月三〇日、東京、大阪、名古屋の「ワンストップサービスデー」にあわせて、全国のハローワークで心の健康相談を開催する方針だ。相談は原則的にハローワーク内で行なうが、スペースが取れない場合は近隣の公共施設や市庁舎を利用することも検討している。相談員には保健師を配置するが、人員が確保できないときは「地域自殺対策緊急強化基金」を活用して臨床心理士の協力を求める。
 清水氏は「利用者がどんな支援を必要としているのか。その支援にたどり着ける『当事者本位』のシステムをつくることが必要だ。今度の『ワンストップサービス』はその試金石だ」と話す。
「年越し派遣村」が再び必要となってしまうのか。
「今はそうならないように最大限努力するとしか言えません」
 湯浅さんの言葉である。
平舘英明・ジャーナリスト

貸金業法規制緩和の動き表面化
「発信源は田村謙治政務官


 貸金業規制を緩和する動きが表面化している問題で、内閣府の田村謙治政務官(金融担当)が暗躍していたことがわかった。
『日本経済新聞』は一一月一日付の一面で、「貸金業規制の緩和検討 政府 事業主の資金繰り配慮」と報道。政府が関係閣僚らによる「検討会議」を設置し、貸金業法の「再改正も視野に入れて議論する見通し」とした。報道後、消費者金融の株価が一斉に上がった。
 グレーゾーン金利と過剰融資を禁止した貸金業法等改正は、借金苦による自殺が相次ぐ異常事態を正そうと、二〇〇六年一二月に全会一致で可決。来年六月までに完全施行されることになっている。政府と自治体は、弁護士会、司法書士会、被害者の会とも協力し、多重債務者救済を進めていた。
 こうした努力に水を差し時計の針を逆戻りさせる動きはどこから起こったのか。七日、川崎市で開かれた高利金融被害者らの集会で大門実紀史参議院議員(共産党)は「発信源は田村謙治政務官だ。法を曲げる動きを芽のうちに摘もう」とアピールした。
 田村政務官は財務省出身の “過去官僚”で四一歳。大門議員によると、金融庁にヒアリングしようとしたら田村氏から電話があり、「あそこまで言った覚えはない」と釈明しつつ、『日経』へのリークを事実上認めたという。
 一方、内閣府関係者は「業界からの圧力がすごい。事業性金融への規制を緩めることがすでに検討されている」と明かす。在日米国商工会議所(ACCJ)も、規制見直しへの意見書を出している。
 七日の集会では民主党の城島光力衆議院議員もあいさつ。「民主党はタムケン(田村氏の愛称)だけではない。国民の命を大事にする鳩山政権が、貸金業法の規制を緩和することはありえない」と断言すると、参加者から大きな拍手が起こった。
 自らも自殺を考えたことがある、全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会の山地秀樹会長は「貸金規制を緩和すれば、政府が自殺者をつくることになる」と訴えた。
 事態を重く見た日本弁護士連合会が一一月一二日、国会内で緊急集会を開くなど、貸金業規制緩和への反撃が広がっている。
北健一・ジャーナリスト

沖縄普天間基地移設問題
政権迷走で県民の怒り爆発


 八日午後二時、米軍普天間飛行場の「辺野古への新基地建設と県内移設に反対する県民大会」が宜野湾海浜公園で開かれ、二万一〇〇〇人が参加した。伊波洋一宜野湾市長は「オバマ大統領に、沖縄の基地負担の重さや辺野古の海の貴重さを鳩山首相は訴えて欲しい」と強調すると、会場は大きな拍手で包まれた。
 参加者で戦争体験者の知花幸子さんは「政権交代で県外・国外移設が実現すると期待したのに」と話し、辺野古の大城敬人さんも「なぜ鳩山首相は県外・国外移設を進めないのか」と怒っていた。
 総選挙で民主党は県外・国外移設を訴え、沖縄県内の四選挙区はすべて辺野古移設案に反対する候補が当選。三日の『琉球新報』の世論調査でも、辺野古移設反対が六七%、嘉手納統合反対も七二%と沖縄の民意は明らかだ。それなのに、北澤俊美防衛大臣は辺野古移設案容認に傾き、岡田克也外務大臣も「県外移設は困難。嘉手納基地統合案しかない」と言い出した。
 七日には、統合案の地元・嘉手納町で二五〇〇人が参加した抗議集会が開かれ、宮城篤実町長が「米軍再編で騒音は少なくなると言われたが、騒音はひどくなった。岡田大臣が来ても嘉手納統合案には絶対に乗らない」と訴えた。
 照屋寛徳衆院議員(社民党)はこう話す。「沖縄タイムスの屋良朝博著『砂上の同盟』には米軍再編の際、米国側が『佐賀空港が普天間移設先の適地』と日本側に提起したと書いてある。沖縄だけが候補地ではない。鳩山政権は佐賀空港など県外移設の具体的な候補地をあげて検討を進めないと、沖縄の怒りは収まらないでしょう」。
 閣内に佐賀選出の原口一博総務大臣がいても、佐賀空港等への県外移設検討が進むかが注目される。
横田一・ジャーナリスト


タミフルで突然死
因果関係「否定できず」
と厚労省担当官


 タミフルの副作用などを警告してきた医師でNPO法人医薬ビジランスセンター代表の浜六郎さんらが一〇月二七日、厚労省医薬食品局安全対策課や健康局新型インフルエンザ対策室の担当官らと面談。タミフルを二度使い、二度とも呼吸障害を起こして死亡した五歳児について、安全対策課担当官が「否定はできません」と因果関係を認めたのに等しい発言をした。
 浜さんは「医学的には二度の使用で同じことが生じた場合は、それだけで因果関係は『確実』と判定する」と解説。「因果関係が否定できない有害事象は『副作用』。本来使用中止すべきだが、少なくとも呼吸抑制や突然死などを副作用として添付文書に記載・警告し被害救済が必要」と話す。
 また、タミフルの副作用で子どもを亡くした秦野竜子・薬害タミフル脳症被害者の会代表は、「いつの間にか一〇代やそれ以下にも使われている。副作用が『ない』とは否定できないのだから、きちんと対処してほしい」と訴える。
 報道についても、「タミフル推奨記事には専門家を出すのに、副作用の記事には被害者の訴えばかり。浜医師のような専門家の意見も平等に取り上げてほしい」と批判した。      吉田亮子・編集部

生徒の沖縄戦展示
都教委が“検閲”か


 都教育委員会の「職員会議での挙手・採決禁止通知」(〇六年四月発出)に異議申し立てするなどし、定年退職(今年三月)後の非常勤教員採用を不合格とされ、その取り消しを求めた土肥信雄・前都立三鷹高校長の裁判(東京地裁・青野洋士裁判長)が五日開かれ、都教委が文化祭の生徒の展示物を実質「外せ」と求めた対象は、沖縄戦に関する研究発表だったことが、明らかになった。
 〇五年九月頃、ある都立高の文化祭で沖縄修学旅行に関連し、生徒たちが自ら調査し沖縄戦(集団自決強制等)の展示をした内容に、“一都民”が「偏った考えに基づく展示物だ」との意見を都教委に寄せた。
 これを受け、都教委指導部の小山利一・高校教育指導課主任指導主事(当時)は、同年一一月の校長連絡会で「沖縄戦」等の内容に一切触れないまま「考え方が一方的な展示物には、校長は十分注意し指導してほしい」と発言した。これは暗に「外せ」という脅しだと理解した土肥さんは挙手し、「憲法の禁じる検閲に当たりませんか」などと発言したが、小山主任は非常に曖昧な回答しかしなかった。
 都教委は以前から、「文化祭の掲示物や配布物の表現について、人権尊重の立場から点検を行う」旨の通知を出しており、土肥さんも差別表現や事実と違う内容の展示ならば、訂正させる必要性を認めている。しかし都教委が、今回初めて、「考え方が一方的なもの」に踏み込んだことに、土肥さんは準備書面で「都教委はリベラルな思想・発想を極端に忌み嫌う傾向があり、『考え方が一方的』=『リベラルな表現』を意味しているのは明らか。都教委は校長連絡会での指示に反する行動を許さない姿勢をとっており、この発表は絶対不可という検閲・言論統制だ」と陳述した。    永野厚男・教育ライター

道警裏金問題が題材に
映画『笑う警官』公開
北海道で記念集会


 映画『笑う警官』の公開を記念して、原作者の佐々木譲氏のトークショーが、六日、札幌市で開催された。主催は「市民の目フォーラム北海道」。会場には二〇〇人以上が詰めかけた。
『笑う警官』は、佐々木氏の北海道警シリーズ第一作。フィクションだが、現職警部の覚醒剤使用・拳銃不法所持事件、裏金問題などの実話をモデルにしている。「信じられない不祥事が次々発覚し、北海道にいて、書かずにはいられなかった。百条委員会(調査権の行使を規定した地方自治法百条に基づき、地方議会が議決により設置する委員会)の設定は、元道警本部の原田宏二さんが道議会に出る場面そのもの」と佐々木氏は執筆中のエピソードに触れた。
 同席した原田氏は、「小説では百条委員会を開いたが、実際には、七回否決されている。結局誰も刑事責任を追及されずに終わってしまった」と現状を述べた。
「警察組織と闘う警察官をテーマに、等身大の警官を描こうと思った。警官はスーパーマンではない。権力を行使する立場で、正義を語るのはおかしい。道徳を口にするのも胡散臭く、ウソになる。警官は法のみをよりどころにし、法の執行者のプロであるべきだ」と佐々木氏。
「小説には、正面切っての批判は出てこないが、警察の腐敗を暴いている。真実に根ざしたエンターテインメントは訴える力が強い。全国にこの事実が伝わるのは喜ばしい」と原田氏は期待を寄せた。
木村嘉代子・ジャーナリスト

世界のコルト楽器社
解雇撤回を求めて
韓国人労働者来日


 韓国のコルト社でギター製造に携わる労働者たちが来日し、一〇月三一日から一一月七日まで首都圏各所で楽器演奏をしながら、不当なリストラや偽装閉業の中止を求めるアピールを行なった。
 コルト社らは他の大手有名ブランドにもOEM(他社ブランド製造)の形でギターを供給しており、世界のギター市場の三割程度を占めていると言われる。他方で、低賃金のインドネシアや中国に主力工場を移し、韓国内工場の縮小を進めている。この八月にはソウル行政高等裁判所等で解雇の不当性を認定する判決が出たが、会社側は控訴した。
 彼らの「遠征闘争」の目的は「ギターのユーザーが多いドイツ、日本、米国などの楽器展示会を訪れ、音楽愛好家たちにコルト社が労働者の権利をいかに抑圧しているかを知ってもらうこと」(韓国金属労組コルト支会長チョン・ソクチョン氏)だという。
 一一月五、六日に横浜市内で開催された国内最大規模の「楽器フェア2009」会場前でバイオリン演奏や、ラジオ番組風に仕立てた街宣行動で訪れた人々の目を引いた。また、二日にはコルト社の日本代理店であるイシバシ楽器の総務部長に面会し、一定の理解を得ることに成功。来年一月に米国のロサンゼルスで開催される楽器フェアにも「遠征」する予定だ。
竹内一晴・ライター

「住民利益137億円」
住基ネット広報は大ウソ


 住民基本台帳ネットワークによって、住民票の写しの提出を省略できるようになり、年間総額一三六億七〇〇〇万円分の利益が住民にもたらされます――。
 住基ネット導入前夜の一九九八年、政府が宣伝に使っていたこの試算がまるでデタラメだったことが六日、住基ネット差し止め北海道訴訟控訴審(札幌高裁、末永進裁判長)で明らかになった。
 この裁判では、「プライバシーを侵害する住基ネットは違憲」として、道内の一五人が政府などに対し、自分たちの情報のデータベースからの削除などを求めている。
 当時の試算では、住基ネットによって年間一〇〇〇万件の住民票交付が省略され、住民が仕事を休んで役場の窓口に出向く必要がなくなるとし、一回あたりの所要時間七〇分・時給一〇〇〇円・交通費二〇〇円と仮定して、前記の総額を「住民の利益」と弾いた。
 今回、控訴団が「一〇〇〇万件」の内訳を求めたところ、国側が回答。失業保険給付申請と共済年金の現況届けが各三六〇万件、恩給受給者の現況届けが一六七万件、その他一二〇万件、と初めて公表した。
 だがこれらの申請や届けは、もともと住民票の写しを添える必要のない手続きばかり。試算は全くの架空だった。控訴団弁護士は法廷で「国は住民の利便性向上を言うが、その根拠は極めつきに不合理でインチキ」と述べた。
 控訴審はこの日で結審し、判決は来年二月一九日の予定。
平田剛士・フリーランス記者


コラム



“厚労省発表の
待機児童案”で
解決しますか?




親の会代表に聞く


会が発表した「保育所にかかわる国基準の堅持・向上を求める緊急アピール」に、刻々と賛同が集まっています。四日、厚労省が、一時的に、東京などの大都市部に限って、保育所設定基準を廃止し、自治体の判断に委ねる方針を発表しましたが、保育所面積や保育士の人員等、国が定める現行の最低基準は、先進諸国と比べて非常に低く、「最低の最低」です。全国社会福祉協議会の「機能面に着目した保育所の環境・空間に係る研究事業」の報告は、面積基準の引き上げを勧告しました。
 これ以上、基準を緩和すれば、保育環境が悪化し、子どもの心身の発達に影響します。この点は、発達や幼児教育、福祉の専門家が口をそろえて警告しています。待機児童解消は急務ですが、保護者は子どもが健やかに育ち、安心して預けられる保育所を求めているのであって、どこでもいいわけではありません。
 託児の現場で起こった悲しい事件、「三歳児神話」の元になった欧米の研究などを、今一度ふり返り、なんのために認可保育所の制度ができたのか、学ぶ必要があります。また、行政刷新会議の「事業仕分け」対象候補に「保育所運営費負担金」が上がっていますが、そんなことをしたら、自治体の保育予算はますます窮迫し、待機児童対策どころではなくなります。待機児童解消の最大の鍵は、基準緩和ではなく、予算確保です。この国の子どもをどう育てたいかを考えて、予算の優先順位を再検討してください。      (談)


保育園を考える親の会代表
普光院 亜紀


ジェンダー



【国会】衆議院予算委員会 自民党が夫婦別姓に否定的な質問 11月5日
 衆議院予算委員会で11月5日、自民党の下村博文議員と稲田朋美議員が民法改正に否定的な立場から質問した。
 下村議員は、日教組の政策提言と民主党の政権公約が一致していると批判し「ジェンダ―フリーによる社会制度、慣行の見直しとして、選択的夫婦別姓の早期実現等々、家族のきずなを破壊するようなありとあらゆる政策。学校現場で実施されているものとしては、男女混合名簿とか保健体育の共修、男女同室着がえ等がジェンダーフリー教育のもとで行なわれている。幼児期から過激な性教育を行なっている」と、持論を展開した。
 稲田議員は夫婦別姓について、「平成18年度調査では、容認派が
やや減り、反対派がやや増えている。通称使用制度化25.1%を加えると、戸籍上は夫婦同姓を維持すべきと考えている人が6割を超えているというふうにも読める。夫婦別姓の問題は家族に対する価値観にもかかわる大きな問題」と述べ、鳩山由紀夫首相の見解を求めた。これに対し鳩山首相は「平成8年に法制審議会が民法改正の要綱を答申している一方で、家族のきずなの問題で懸念の指摘もある。国民の議論を深めていくことが大事で、無理やり押し通すということはいかがなものか。まさに拮抗しているような数字だと思うので、国民的議論を深めることが大事」と、自公政権時代の政府側国会答弁よりもやや後退した答弁を行なった。


【国連】ユニフェムが日本事務所を開設 10月29日
 国連女性開発基金(ユニフェム)は10月29日、初めてとなる日本事務所を大阪府堺市の女性センター内に開設した。
 ユニフェムは、国連における女性のための基金で、開発途上の国や地域の女性が、経済的、技術的に自立できるよう、エンパワーメントやジェンダー平等を実現するための資金提供と技術的支援を行なっている。アジア地域での事務所開設は日本が初めてで、女性に偏っている貧困の減少や民主統治下でも紛争時でも、ジェンダー平等の達成をめざすこと等を目的として設立。支援者の拡大や知名度の向上のため、キャンペーン活動を行なう予定。所在地:堺市堺区宿院町東4-1-27 堺市立女性センター1階


【インフォメーション】
◆11月14日(土)13:00~17:30▼市川房枝記念会 女性と政治センター発足記念のつどい▼基調講演:目黒依子(国連婦人の地位委員会日本代表)/シンポジウム:太田貴美(京都府与謝野町長)、田中和子(文京区議)ほか▼場所:婦選会館(新宿駅、小田急南新宿駅) ▼参加費:無料▼連絡先:電話番号 03-3370-0238 メールアドレス fitikawa@trust.ocn.ne.jp


◆11月14日(土)13:30~17:00▼シンポ<産む・子を持つ>をめぐるジェンダーの磁場▼パネリスト:棚村政行(早稲田大学法学学術院)、塚原久美(翻訳家)ほか▼会場:早稲田大学8号館B107教室(地下鉄早稲田駅)▼参加費:無料▼主催・問い合わせ:早稲田大学ジェンダー研究所電話番号 03-5286-1536


協力/mネット・民法改正情報ネットワーク


今週の裁判予定



協力/NPJ


11月16日(月)
自治体非常勤嘱託職員地位確認等請求訴訟
13:30~ 東京地裁 527号法廷 ※裁判後、報告集会開催予定
事件内容:東京都武蔵野市の国民健康保険レセプト点検非常勤嘱託職員として21年間勤務してきた女性1名が、毎年1年ごと更新されてきた雇用期間の終了を唯一の理由として雇用打切りされたことに対し、雇用関係の確認等を武蔵野市に対して求めた訴訟
期日内容:第1回口頭弁論


11月17日(火)
外国人に対する偏見が原因か?警察官違法発砲傷害致死国賠訴訟
11:30~ 東京高裁 424号法廷 
事件内容:警察官が職務質問後逃亡した中国人に対し正当防衛と称して発砲し死に至らしめた事件について、遺族が警察官を任用する栃木県に対し損害賠償を求めて起こした訴訟の控訴審
期日内容:第2回口頭弁論


11月19日(木)
富川水害訴訟
13:30~ 札幌地裁 法廷未定 ※裁判後、報告集会開催予定
事件内容:沙流川支流の氾濫によって水害を受けた富川地区住民10名(法人1社含む)が、国に対し損害賠償を求めた訴訟
期日内容:口頭弁論


11月20日(金)
二子玉川東地区再開発事業に関連する公金支出差止訴訟
13:45~ 東京地裁 522号法廷
事件内容:再開発事業に関した補助金交付決定を含む一切の公金支出の差止めを求めた住民訴訟
期日内容:最終弁論(予定)


今週の注目情報



「1000人のピースウーマン」 上映会&写真展
平和のために草の根で活動する、世界の女性たちを讃えるため、2005年、ノーベル平和賞に150カ国から1000人の女性たちが推薦、正式ノミネートされました。その世界の平和を創り出す1000人の女性たち(写真)が一堂に会します。
ドキュメンタリー映画『1000人のピースウーマン』上映会
◆12月3日(木)19:00~上映 20:00~クリスマスパーティ 
料金 500円+パーティ参加者は飲食代実費(持ち寄り大歓迎)
◆12月5日(土)16:00~上映 料金 500円
写真展(入場無料)
◆12月5日(土)~12月11日(金)10:00~17:00 (日曜休)
会場:横浜YWCA(URL http://www16.ocn.ne.jp/~ywca/access.html
主催:横浜YWCA(電話番号 045-681-2903 メールアドレス office-yokohama@ywca.or.jp)
期間中、会場にて『ノーベル平和賞─平和を紡ぐ1000人の女性たち』
(金曜日刊)を販売します。

一覧に戻る


編集長ブログ

北村肇編集長のコラム「一筆不乱」を公開しています。

きんようブログ

社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

おしらせブログ

購読中の方や書店様向け情報からニュース続報も掲載。イベントの動画や音声も楽しめます。

新刊のご案内

『新・買ってはいけない⑦』

著者:垣田達哉・境野米子・渡辺雄二 著

『新・買ってはいけない⑦』

食品や日用雑貨をはじめ、美白化粧品、育毛剤、サプリメント、インフルエンザ予防グッズなど気になる商品を実名で検証する。シリ...


『貧困なる精神V集』
「戸が閉まります、お気をつけ下さい」

著者:本多勝一 著

『貧困なる精神V集』

「公共事業に勝った村と負けた村」ほか、著者の約20年にわたる記事やインタビューを収録。 硬派ジャーナリストの痛烈な批判...


『めぐりくる春』

著者:梁石日

『めぐりくる春』

「慰安婦」問題を初めて正面から扱った小説。 戦時下の一人の女性・淳花(スンファ)の人生を、生々しい筆致で描く。 蹂躙...


『左翼・右翼がわかる!』
天皇制・西郷隆盛・三島由紀夫・日蓮・宮沢賢治・大本・オウム真理教・軍隊

著者:佐高信・鈴木邦男著

『左翼・右翼がわかる!』

左翼と右翼の源流から現在まで。 歴史的な重要人物・事件などを縦横無尽に語る。 「対立」「共感」「爆笑」「苦笑」…… ...