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金曜アンテナ

金曜アンテナ(2010/2/26)

僧侶が駒澤大学をつぶす日
巨額損失から一年半、進まぬ再建


 駒澤大学倒産寸前――。そんなうわさが同大の周囲に流れ始めている。一昨年、金融取引の失敗で一五四億円もの損失を抱えた同大。しかし経営再建は遅々として進まず、三月末に任期切れを迎える理事長の後任候補もほぼ白紙という状況だ。問題の背景にあるのは、同大の経営権を握る仏教教団「曹洞宗」の無為無策ぶりだ。
「日東駒専」の一角を占める中堅私大で、箱根駅伝の常連校としても知られる駒大が、金融取引の失敗で一五四億円もの損失を出したのは二〇〇八年一〇月のこと。当時発生した米国発の金融危機「リーマンショック」が日本に与えた影響の一つとして、マスコミなどにも盛んに取り上げられた。
 駒大は二〇〇一年ごろから金融機関を通じてデリバティブ取引を開始。年を追うごとに投資は過熱し、二〇〇七年にはBNPパリバ証券などの外資系金融機関と、ハイリスク型投資の「金利スワップ」「通貨スワップ」取引の契約を締結した。結果的にはこの契約がリーマンショックの影響で大損失を出し、駒大は従来からの負債や利子などを含め、約二〇〇億円もの借金を背負うこととなった。
 当時の宮本延雄理事長は解任。経理部長など、責任者の多くも大学を去った。しかし借金返済やその後の学校経営改革などは、あまり順調に進んでいない。
 宮本前理事長の後任である佐々木孝一理事長の任期は三月末までだが、この後任候補もほとんど白紙に近い状態だ。借金返済については、今年度から毎年約一〇億円近い不足額が発生するのではと語る関係者もおり、「このままでは駒大はつぶれる」という声まで出始めている。
 このような危機に直面しながら、なぜ駒大はスピーディーな対応をとれないのか。それは同大の独特な経営構造と関係がある。


理事長は曹洞宗から
“お坊さん”が経営者に



 よく知られているように、駒大は仏教教団「曹洞宗」の流れを汲む大学だ。同大には仏教や曹洞宗の教えを講じる「仏教学部」もあり、多くの寺の子弟が学んでいる。大学の歴史も、一五九二年に東京・駿河台の吉祥寺に設立された僧侶の教育施設「旃檀林」をその始まりとする。そうした経緯から、駒大の最高経営責任者である理事長は大学内で選ばれるのではなく、曹洞宗が教団内で選んだ人物をそのまま就任させるという慣例が続いている。宮本前理事長は僧侶ではなかったが、大本山総持寺の関係団体に長く勤務していた人。佐々木現理事長は東京都文京区にある大林寺という寺の住職で、また曹洞宗教団の教学を管理・統括する「教学部長」の要職にある高僧だ。この大学と関係ないところで経営責任者が選ばれる構造が、現在の駒大のがんになっていると指摘する声は非常に多い。
「歴代理事長の多くは、その時々の高僧がそのまま送り込まれ、就任するという形だった。経営手腕どころか、やる気さえ疑わしい人もいた。着任後まともに働いていた人も少ない。それで決して少なくない額の給料をもらえたわけで、お坊さんから見れば割のいい名誉職だったと思う。ただ大学としてはそんな形で経営者が選ばれるようでは困る」
 ある教授は苦々しくそう語る。そして巨額損失事件も、駒大のこの「経営構造」が引き起こしたとする意見がある。
「損失事件の主犯は退職した元経理課長。彼は上司の許可もなく勝手に理事長印を使用し、独断で金融機関と投資契約を結んでいた。なぜならば、理事長に投資案件などを相談しても、経済のことなど何も知らないお坊さんでらちがあかない。大学経営に関心のある人もほとんどいなかったし、現場が独走してもおとがめなしだった。これは経理部門だけではない。現場の暴走体質は駒大全体の体質で、それをつくったのは曹洞宗なのだ」
 別の教授は、そう厳しく曹洞宗の責任を指摘する。
 曹洞宗が駒大に送り込んでいたのは理事長だけではない。企業の監査役に相当する「監事」も、長く曹洞宗の高僧たちが独占してきたポストだった。
「今は公認会計士を入れるなどして改善されたが、監事が全員僧侶というのはまずかった。しかもこれも、その人の経営の知識などとは何も関係ない基準で選ばれていた」とある曹洞宗僧侶は話す。
「曹洞宗と駒大は別法人。われわれが責任を問われる覚えはない」「監事といっても駒大に行くのは年に一回か二回。当時見せられた書類も数字ばかりで何のことか分からなかった」「私はすでに駒大の監事を辞職している。これ以上何かを言われる筋合いはない」
 損失事件の発生当時に監事を務めていた曹洞宗の宗務総長(事務上の最高責任者)、渕英徳氏が教団内の会合で発言した内容だが、あきれるばかりの無責任ぶりだ。「渕さんみたいな人がトップでは、曹洞宗に何を言っても期待できない」と、巨額の負債を前にしてハナから「お手上げ」の格好を見せる駒大関係者も少なくない。
「そもそもあの事件発生後に送り込まれたのが佐々木さんという時点で、曹洞宗には当事者能力がないことが分かった」と、ある教授。就任時点で七七歳。経済・経営など関わったこともない「教学部長」。そういう人物が、非常事態を前にしながら教団内の論理で送り込まれたことに対する反発は学内で非常に強い。


リーダーシップの不在
多々良学園の二の舞か



 駒大では、元巨人の中畑清氏らを輩出した名門野球部の練習場、祖師谷グラウンドの売却が検討されているというが、それ以外の対策はほとんど聞こえてこない。「学内にリーダーシップがない状況で、どう抜本対策を立てろと?」と、ある教授は吐き捨てるように語る。また曹洞宗側では、三月末で任期が切れる佐々木理事長の後任をいまだ決めかねている状況だ。
「われわれも、もう教団の論理で実務能力のない人を送り込むことはやめようと考えている。しかし恥ずかしいかな、人がいない。これが曹洞宗の現実だ」
 ある曹洞宗僧侶は沈痛な面持ちでそう証言する。
 資金繰りに困った駒大は先ごろ、曹洞宗に資金援助を要請。渕宗務総長はこれに応え、当座の資金として約一億円を準備しているという。しかしこれには教団内から猛烈な反発が巻き起こった。反対派の合い言葉は「多々良の二の舞を避けよ」だ。
「多々良」とは、かつて山口県にあった曹洞宗系の高等学校、多々良学園のこと。一九九九年に総工費約八五億円の校舎移転工事を始めたものの、計画のずさんさゆえに資金繰りが行き詰まり、二〇〇五年に民事再生法を申請。日本の私立高校で初めて倒産した学校だ。そしてこの学校も、その経営層に曹洞宗の高僧らが名を連ねていた。倒産直前には、曹洞宗から多額の支援金が送られている。
「多々良問題では、同校に融資をしていた山口県の金融機関などが『経営責任は曹洞宗にあり』として裁判所に訴え、いまだ係争中だ。その教訓も生かさず、言われたから『ハイ』と駒大に支援金を送ることなどできない。また曹洞宗が支援金を送るということは、その原資は全国の一般寺院から集めるわけで、つまり全国の信者からのお布施を送るということ。これで多々良の二の舞になったら、教団の存続問題にも発展しかねない」
 ある曹洞宗僧侶はそう指摘する。
 駒大の教職員に対してはすでに給与カットなどが行なわれ、若手教員の一部は駒大からの脱出をもくろんで転職活動に余念がないという。そうした中には「もうこの大学はつぶれますよ」と冷ややかに言い放つ向きも少なくない。
 問題の根源は、駒大の経営権を握りながら無為無策の迷走を続ける曹洞宗にある。そして曹洞宗には多々良という前例まである。また曹洞宗は駒大以外にも、愛知県の愛知学院大学(理事長=山路純正曹洞宗財政部長)や宮城県の東北福祉大学(同=須川法昭曹洞宗総務部長)などの、多くの「僧侶支配」の学校を抱えている。
 曹洞宗が駒大問題をどうさばくかは、駒大のみならず、こうした学校の将来にも影響を与えていくのではないか。
大川昭一・宗教ジャーナリスト

「国労の火を消したくない」
国労バッジ闘争の辻井さん勝利


 国労(国鉄労働組合)のバッジを着用することは「就業規則違反」だとして、JR東日本(清野智社長)から執拗な弾圧を受けていた同組合の組合員・辻井義春さん(六〇歳、JR京浜東北線・本郷台駅勤務)が、一月二六日の神奈川県労働委員会(関一郎会長)で、「処分は不当労働行為」と認定する勝利命令を勝ち取った。
 JR東日本は、出勤停止、期末手当減額など、合計五五回に及ぶ処分を辻井さんに乱発。さらに「(バッジを着用し続けるなら)定年後も再雇用をしない」と通告(その後二〇〇九年七月に、定年後の再雇用については確定)していた。神奈川地労委の命令書は、これらが「労働組合法第七条に該当する組合への不当介入であり、不当労働行為」と明言。〇八年一月から〇九年までの計一五日間の出勤停止処分の撤回と、それにより辻井さんが失った賃金、一時金減額分の支払いのほか、「今後、このような行為を繰り返さないようにいたします」と誓約する文書を、辻井さんに手渡すことなどを命じたのだ。
 辻井さんの全面勝利にも等しい今回の命令だが、そもそも縦一・一cm、横一・三cmの小さなバッジを、JR東日本がこれほど敵視するようになったのは二三年前、旧国鉄の分割民営化が発端だ。
 この際、一部の組合が民営化賛成に回る中、国労は最後まで反対。この時の対立が新会社に移行後も経営陣の嫌国労感情として継承され、今に至っていると言われる。
 後に社長も務めた当時の松田昌士常務取締役は一九八七年、「会社にとって必要な社員、必要でない社員の峻別は絶対に必要なのだ。(略)おだやかな労務政策をとる考えはない。反対派は峻別し、断固として排除する」(「昭和六二年度経営計画の考え方等説明会」での発言)として、あからさまな報復を開始する。
 九〇年にはJRへの再雇用を求めて不採用になった一〇四七人が国鉄清算事業団からも解雇されたが、この多くは国労組合員である。一方で国労バッジを着用する現役職員に対しても、「服装整正違反」として処分を連発したほか、昇進試験でもバッジ着用者には差別的待遇で臨み、組合組織の切り崩しを図ってきた。
 こうしたやり方に国労側も抵抗しきれず、二〇〇六年には国労東日本エリア本部が会社と和解。「バッジ闘争はしない」との方針決定により他の組合員が泣く泣くバッジを外す中、辻井さんただ一人が、「国労の火を消したくない」との思いから、拒み続けていた。度重なる処分を通じ、辻井さんが失った生涯賃金は一〇〇〇万円分にも相当。「家族の理解があったから闘えた」と語る辻井さんだが、一番辛かったのは「家族に経済的負担を強いたこと」とも語る。
 こうした辻井さんの抵抗を、「一人だから組合活動じゃない」との論理で弾圧してきたJR東日本だが、その正当性も今回の地労委命令で破綻した格好だ。「(発令後)もう辻井さんに謝罪したか」との本誌取材に対しては、「していない。今後の対応についても検討段階につき、答えられない」(同社広報)と回答する。
 辻井さんもこうした会社の姿勢を知り尽くすだけに、闘う意志を緩めるつもりはない。今回の命令について、「(神奈川地労委は)期待していた以上に踏み込んだ命令を出してくれた。今後、バッジを理由にした処分を禁じた意義も大きい。労働委員会がまだ労働者の味方であることを示してくれたと思う」と評価する一方で、会社に対しては、「簡単に命令を履行するとは思っていない。二月末には定年退職し、別の職場に移るが、中央労働委員会、最高裁まで闘い抜くつもりだ」と語る。
 これにJR東日本はどう応えるのか。同社の公益企業としての姿勢が、今さらながら問われている。
古川琢也・ルポライター


米軍機岩国移転強行を画策か
北澤防衛相、一方で
米軍住宅建設を明言せず


 防衛省は二〇一〇年度予算案で、米海軍厚木基地の空母艦載機を岩国海兵隊基地に移転させるための関連建設費を初めて計上した。北澤俊美防衛大臣は二〇日、岩国市を訪れ、「『米軍再編と岩国』を考えるフォーラム」に出席。移転強行の姿勢を示しながらも、焦点となっている移転に不可欠な米軍住宅の市内建設には明言を避けた。
 長年米軍機の騒音に苦しめられている同市では米軍再編に伴う新たな米軍機移転に不満が根強く、〇六年の住民投票では「反対」が圧倒的多数に。一方、「騒音軽減」を名目に米軍基地沖合移設工事のため愛宕山の土砂を削り、その跡地を住宅用地にする開発計画が住宅の需要不足で撤回された。それを機に、防衛省は、この跡地に移転に伴って必要となる米軍人・家族用の宿舎を建設することを狙っている。
 フォーラムでは、参加者が「米軍再編は民主党の選挙公約通りに見直すのか」「米軍住宅建設には市民の多くが反対している」と追及。これに対し北澤大臣は、「見直すと日米合意の前提がほどける」と、自民党と同じ言い分で回答した。
 さらに省が今年度予算案で「米軍住宅用地を視野に」と明確に表明して愛宕山の跡地を一九九億円で買い上げる予算を計上しておきながら、「跡地を米軍住宅にしたいとは言っていない」などと矛盾する発言をし、市民の間から「いったい何のための政権交代だったのか」と非難が飛び交った。このため、米軍住宅建設に反対する「愛宕山を守る市民連絡協議会」など地元住民の各団体は、今後さらに建設阻止運動を強化する構えだ。
成澤宗男・編集部

小樽に米海軍艦船が入港
「核兵器搭載なし」
と外務省疑い持たず


 米国海軍第七艦隊旗艦の揚陸指揮艦「ブルーリッジ」(排水量一万九二〇〇トン)が五日、北海道・小樽港に入港した。民間港の軍事利用に反対する市民団体や連合北海道、道労連などが抗議行動を行なった。米軍艦船の小樽港入港は昨年二月のミサイル駆逐艦「フィッツジェラルド」以来。
 ブルーリッジの小樽寄港は二〇〇八年二月以来八回目。前回寄港時は、港湾管理者の小樽市が接岸可能な埠頭が商船の利用でいっぱいと運営上の理由から港湾施設の使用をいったん断った。しかし外務省が“ゴリ押し”する形で寄港が実現した経緯がある。
 小樽市は、北海道で初めて「核兵器廃絶平和都市宣言」を制定した自治体。昨年九月の新政権誕生、日米両政府間の「核密約」報道の中での入港となった。小樽市の照会に対し、外務省(日米安全保障条約課)は一月二二日付文書で、「搭載能力がない以上、核兵器を搭載していないことにつき、我が国政府として疑いを有していません」と踏み込んだ回答をした。従来は「事前協議がないので核は搭載していません」との回答に終始していた。
 小樽市の山田勝麿市長は一月二五日の記者会見で、一月下旬に上京した際、外務副大臣に「政治主導なのだから、政務三役などから明確な回答をお願いしたい」と要望し、直接「今後検討する」との返答を得たことを明らかにした。
 ブルーリッジは、入港の目的を「友好親善」としている。だが「観光目的」は明らかで、「さっぽろ雪まつり」「小樽雪あかりの路」開催時に合わせた米軍艦船の寄港は常態化している。ブルーリッジは九日午前に小樽港を出港した。民間港の軍港化を防ぐための取り組みが一層求められる。
美藤聡・非組織記者

高学歴ワーキングプア
給付制奨学金を求めて
大学院生が申し入れ


 全国大学院生協議会(全院協)は一五日、日本学生支援機構(旧日本育英会)に対し、奨学金制度の拡充を求める要請を行なった。
 要請の内容は、(1)給付制奨学金の創設、(2)無利子奨学金の拡大、(3)個人信用情報機関の利用(ブラックリスト化)の撤廃、(4)(奨学金の)返還猶予上限(五年)の撤廃と返還免除枠の拡大、(5)(保証人を立てることが困難な学生に対する)機関保証制度の保証料の減額だ。
 大学院生は高額な学費、生活費、研究費を低賃金のアルバイトで賄っているのが現状だ。全院協のアンケート調査でも、「経済上の不安を抱える大学院生」は六七・七%に達する一方、「奨学金の返済に不安を感じて借りなかった大学院生」は二六・五%に上る。さらに、博士課程の就職率は約六割であり、年収二〇〇万円ほどの非常勤講師が常態化するなど「高学歴ワーキングプア」の温床となっている(本誌二〇〇九年九月二五日号参照)。
 学部時代から七年間にわたり奨学金を受けてきた博士課程三年の女性は「就職の見通しもなく、七四〇万円の借金からのスタートになる。機関保証の保証料もアップして将来が不安だ」と涙ぐんだ。別の大学院生は「非常勤講師では収入がなく、奨学金を返したくとも返せない。(経済的な負担が重く)自殺者も出ている」と深刻な実態を話した。
 日本学生支援機構は「奨学金は国の施策であり、実施機関である同機構が(給付制奨学金を導入)できるものではない」としながらも、梶山千里理事長が給付制奨学金の必要性に言及した雑誌を示し、理解を求めた。だが、ブラックリスト化の撤廃などの要請に関しては、何ら進展はなかった。
平舘英明・ジャーナリスト

水俣病特別措置法
「新チッソは責任継承を」
胎児性患者ら訴え


 水俣病に関する特別措置法(特措法)が認めている原因企業チッソの分社化について、水俣市の生活支援事業所「ほっとはうす」に通う胎児性水俣病患者らは二月一日、初めてチッソ本社を訪問し、分社化後も子会社(新チッソ)が責任を継承するよう申し入れ書を提出した。
 現在四〇代から五〇代の胎児性患者は、働きたくても仕事に就くことができない。彼らにとって、チッソと結んでいる「補償協定」は、命綱といっても過言ではない。しかし、この命綱が断ち切られるおそれがでてきた。
 分社化によって事業部門を新チッソに譲渡後、補償だけを担当することになる現在のチッソは、いずれ子会社株を売却し倒産する。堀尾俊也チッソ総務部長は、「チッソが存在する間は新チッソの利益で責任を果たす」と述べつつも、「その条件が変わるのは売却するとき」と付け加えた。
 患者の松永幸一郎さんは、
「チッソは水俣病を引き起こした企業なのだから、私たちが生きているかぎり、補償する義務がある。私たちから逃げないで下さい」
 と訴えた。
 後藤舜吉チッソ会長は年頭所感で「新チッソは水俣病の債務は負わない。(略)水俣病の桎梏から解放される」と発言。計画的なチッソ倒産後、新チッソが責任を引き継ぐことは考えていないようだ。となると、誰が加害企業なき後、責任を負うことになるのか。
 分社化には環境大臣の認可が必要なため、胎児性患者らは同日、田島一成環境副大臣を訪問し、新チッソが責任を継承すること、あるいは国がその責任を引き継ぐことを文書で示すよう要望した。二〇〇四年の関西最高裁判決では、国と熊本県の被害拡大責任が認められている。環境省は中立的立場ではなく、チッソとともに、被害者の不安を取り除くよう責任を全うすべきである。
奥田みのり・フリーライター

住基ネット差止札幌訴訟
「危険性なし」と訴え棄却


 北海道在住の一五人が、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)からの離脱を求めた裁判で、札幌高裁(末永進裁判長)は一九日、一審同様に訴えを棄却した。これまで全国で一六の住基ネット差し止め訴訟が起こされてきたが、うち一四訴訟で住民側敗訴が確定。上告を決めた北海道住民訴訟と熊本訴訟の最高裁判決を残すだけとなった。
 北海道訴訟で住民たちは、一人ひとりに固有の住民票コード(一一桁の番号)を割り振って一元的に情報管理する住基ネットが、憲法一三条に基づくプライバシー権を侵害している、などと主張。行政機関が構築する膨大な住民情報データベースから、コードを鍵に特定個人の情報を一気に名寄せされてしまう「データマッチング」の危険性を強く訴えてきた。
 だが同高裁は<複数の個人情報データをコンピュータを通じて適法に入手すること自体が極めて困難であるから、データマッチングの抽象的危険性すらなく>(判決要旨)人権侵害はない、と結論。
 また、住民側が裁判で明らかにした住基ネットのコストパフォーマンスの悪さについて、<権利の制約の正当化根拠として住基ネットの有用性を論ずる必要はない>と切り捨てた。
 判決後、控訴団長の矢口以文・北星学園大学名誉教授は「住基ネットは便利に見えて実は危険だ、という僕らの主張を、裁判官は理解していない。ふざけた憲法判断」と、険しい表情で語った。
平田剛士・フリーランス記者


ジェンダー



【国会】夫婦別姓に関する動き 千葉大臣「覚悟」決め、亀井大臣「反対」 2月19日
 千葉景子法務大臣は19日、閣議後の記者会見で鳩山由紀夫首相が夫婦別姓に「賛成」を表明したことについて、「大きな後押しになる発言だ。首相が先頭に立っていただければうれしい」と述べたうえで、「覚悟を決めてぜひやりたい」と意欲を示した。これは、夫婦別姓について亀井静香金融担当大臣(国民新党代表)が反対を表明していることから、3月中旬までの閣議決定を目指す法務大臣の強い決意表明と見られる。しかし、亀井大臣は同日夜、「国民新党は絶対反対。民主党がどんな手続きを進めても無駄」と、改めて反対する意向を表明した。
 一方、超党派の保守系議員による議連「創生『日本』」(会長・安倍晋三元首相)は19日、自民党本部で会合を開き、選択的夫婦別姓導入を含む民法改正案についても協議を行なった。夫婦別姓については「悪影響が大きい」との意見が大勢を占めた。
 同議連は2月5日、「真・保守政策研究会」から名称変更し、「永住外国人地方参政権や夫婦別姓など、問題法案に反対する」などの運動方針案を採択している。


【政府】第33回男女共同参画会議開催 2月18日
 第33回男女共同参画会議(議長・平野博文内閣官房長官)が18日、総理大臣官邸で第3次男女共同参画基本計画などをテーマに開かれた。
 第3次男女共同参画基本計画策定について、専門調査会の鹿嶋敬議員から専門調査会の議論の経過報告の後、福島みずほ男女共同参画担当大臣が計画策定に当たっての考え方を示した。男女共同参画が進まなかった現状を分析し、基本計画を実効性のあるものにすることや、性差別禁止や固定的役割を前提とした制度慣行を見直し、ジェンダー統計やジェンダー予算、アンペイドワーク、社会制度の個人単位化を盛り込み、ジェンダーの主流化を目指すとしている。また、女性に対する暴力の根絶や国際的な理念の重視、政策決定過程にNGOの意見も反映させることなどが盛り込まれている。このほか重要課題として、千葉景子法務大臣から民法改正について、西村智奈美外務大臣政務官からは女性差別撤廃条約選択議定書について報告があった。


【NGO】「先住民族女性の民衆法廷への支援」のお願い
 昨年12月に女性人権活動奨励賞(やより賞)を受賞したグアテマラの「戦時下性暴力の被害者から変革の主体へ」プロジェクトが3月3日、4日に戦時下性暴力を裁く民衆法廷を開く。1960年~1996年の内戦下の性暴力は反乱鎮圧戦略の一環として行なわれた犯罪であったことを明らかにし、国家の責任を問うためのもので、戦時下性暴力の問題を広く社会に訴える目的もある。法廷では100人のサバイバー女性(マヤ民族)が全員証言を行なう。
◆民衆法廷のためのカンパ募集中(一口1000円、何口でも)
送り先:郵便振替口座 00110-7-567396 日本ラテンアメリカ協力ネットワーク ※備考欄に「民衆法廷」と記入してください。


裁判予定



3月1日(月)
日産自動車事務系「業務偽装」「派遣切り」 事件
10:00~ 東京地裁 631号法廷 ※裁判後、報告集会あり
事件内容:人材派遣会社アデコ(株)に登録され、日産自動車(株)本社にて形式上、「事務用機器操作業務」(専門26業務の1つ)を担う派遣社員として勤務してきた女性が、契約終了通告をされた、日産自動車に対して期間の定めのない労働契約上の地位を有することの確認、不法行為に基づく損害賠償などを請求。また、派遣元のアデコ(株)に対し、不当利得返還請求した訴訟
期日内容:原告から求釈明への回答、不法行為に関する主張など
IHI粉飾決算被害事件
13:30~ 東京地裁 610号法廷 ※裁判後、原告説明会あり
事件内容:(株)IHI(旧石川島播磨重工)が粉飾決算を隠蔽していた時期に、粉飾決算を知らずに同社の株式を購入した投資家が、被った損害の賠償をIHIに対して求めた訴訟
期日内容:口頭弁論
神田駅超高架化差止訴訟
10:00~ 東京地裁 103号法廷
事件内容:JR東日本が進めている東北縦貫線計画で、神田駅を中心に1.3kmにわたる高さ約30mの二重高架の建築工事計画がある。神田住民らが建築工事の差止めを求めた訴訟
期日内容:被告側の主張


3月2日(火)
日の丸君が代強制反対裁判 ~東京「日の丸・君が代」処分取消し訴訟第1次訴訟
15:00~ 東京高裁 101号法廷 ※傍聴抽選予定
事件内容:都教委が出した10.23通達直後の卒業式・入学式等において、職務命令に従わなかったとして2004年に懲戒処分を受けた都立学校の教員173名(元教員含む)が、懲戒処分の取消し及び慰謝料を請求した訴訟の控訴審
期日内容:口頭弁論


3月3日(水)
牛丼すき家「偽装委託」「名ばかり管理職」事件
16:00~ 東京地裁 ※傍聴希望者は裁判開始時間前に民事第19部前に集合した上、首都圏青年ユニオンに傍聴希望を申し出。裁判後、報告集会あり
事件内容:2005年9月から2006年10月分までの期間の残業代相当額合計40万2499円および労基法114条の付加金請求として同額を原告に支払うこと。さらに、原告福岡淳子について、賠償させた金員56万円の返還を、「すき家」を経営する(株)ゼンショーに対して請求した訴訟
期日内容:弁論準備手続き


3月4日(木)
ストップ! ザ八ッ場ダム~誰のための公共事業?
13:10~ 東京高裁 822号法廷 ※宇都宮市に対する訴訟
事件内容:ダム建設を阻止するための住民訴訟
期日内容:第3回口頭弁論

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